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» 2019年01月09日 10時00分 公開

日本企業のクラウド化を阻む“最大の要因”とは?:IBM Cloudなら「国内AZ」で安全・確実に移行できる、これだけの理由

金融、製造、流通など、あらゆる業種で「既存システムのクラウド移行」の議論が進む中、企業がクラウドに求める要件も高度化しつつある。では今、多くの企業が求めている「エンタープライズシステムに不可欠な要件」とは何か? IBM Cloudはそれにどう応えているのか? 国内AZ(アベイラビリティゾーン)の提供をはじめ、リフト&シフトの技術的・心理的ハードル解消に向けて大掛かりなアップデートが施されたIBM Cloudの強化ポイントを聞いた。

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企業がクラウドに求める「新たな要件」とは

 クラウド化の波は、基幹業務に象徴されるミッションクリティカルなSoR(System of Record)領域にも及び始めている。言うまでもなく、SoRは数秒のダウンタイムも許されない強固な堅牢性と安定性が求められる領域だ。必要な可用性はシックスナイン(99.9999%)、セブンナイン(99.99999%)が当たり前で、99.9%程度が一般的なパブリッククラウドには適さないと見られてきた。クラウド移行に伴うシステム改修が一つの障壁となり続けてきたのも周知の通りだ。

 だが、SoRを含めた「既存システムのクラウド移行」のハードルは、クラウド技術の進展とともに年々下がりつつある。例えば、クラウドでありながら物理環境を提供するベアメタルサービス、シックスナインレベルの可用性を保証する仕組み、既存の仮想環境をそのままクラウド上に展開できるサービスなどだ。これを受けて、クラウド移行に取り組む企業が着実に増えつつある中で、「企業がクラウドサービスに求める要件」もまた、高度化しつつあるようだ。日本IBM クラウド事業本部の安田智有氏は次のように話す。

ALT 日本IBM クラウド事業本部
ワトソン&クラウドプラットフォーム
第二テクニカル・サービス シニア・アーキテクト 部長
安田智有氏

 「エンタープライズ企業がパブリッククラウドに期待する要件は、基本的に大きく3つあります。既存環境からの移行による『コスト削減』、オンプレミス環境の延長として使う『拡張性』、そして『災害復旧対策』です」

 例えば、既存システムをそのままクラウドに持って行く(リフトする)だけでもデータセンターのハードウェア/運用コストを削減できる。ビジネスを拡張する際もクラウドなら対応が容易だ。災害対策も、例えばテープに収めたデータを物理的に他の場所に保管するといった手間なく、クラウドなら別のデータセンターを指定するだけで済む他、DRサイトもコスト効率良く構築できる。

 ただ安田氏は、「これらは各種パブリッククラウドに寄せられている“一般的な期待”に過ぎません」と指摘する。

 「既存システムのクラウド移行を進める動きが活発化する中で、昨今はコスト削減、オンプレミス環境の拡張といった目的に加え、『可用性』という付加価値を求める傾向が非常に高まっているのです。IBM Cloudは『SoRシステムをいかに合理的にクラウド移行させるか』という視点でも継続的にサービスを強化してきました。特にIaaSについては2018年、大きなアップデートを施し、SoRに求められる可用性や信頼性を十分に担保できる仕組みを整えたのです」

国内アベイラビリティゾーンでIBM Cloudの可用性・信頼性を大幅に強化

 IBM Cloudに施された機能強化は大きく5つある。1つは「アベイラビリティゾーン(AZ)」の提供を開始したことだ。周知の通り、アベイラビリティゾーンとは地理的に離れた3つ以上のデータセンター拠点を1つの単位でまとめ、データを分散させて保存したり、サービスを冗長稼働させたりするもの。複数拠点のうち1拠点がダウンしても、残りの拠点でサービスを継続できるため、高可用性・信頼性を確保できる。安田氏はIBM Cloudのアベイラビリティゾーンの特長についてこう話す。

ALT 図1 東京リージョンでのアベイラビリティゾーン提供開始により、一層の可用性・信頼性を担保《クリックで拡大》

 「アベイラビリティゾーン自体は他のクラウドサービスプロバイダーも提供していますが、物理的に離れたデータセンターを組み合わせて全体を冗長化するため、データセンター間のレイテンシーが課題になりやすい側面があります。IBM Cloudではこれに対処するため、拠点間を毎秒1.2テラバイトの広帯域ネットワーク複数本で接続し、リージョン間通信のレイテンシーを2ミリ秒以下になるよう設計しています。東京リージョンは地盤の異なる関東近郊の3カ所に配置しています。電気系統、機器、ネットワーク機器は他のゾーンとは共有されず、各ゾーン間で共有される単一障害点も存在しません

 このアベイラビリティゾーンは東京の他、ダラス、ワシントン、フランクフルト、ロンドン、シドニーの6リージョンで提供。東京リージョンのアベイラビリティゾーンができ、オンプレミスと同等の可用性や信頼性を担保したことは、データガバナンスなどの面でデータを国外に出せない金融、医療、製造などの企業にとって、クラウド移行のハードルを大幅に下げたといえよう。

 具体的な構成としては、後述するロードバランサ機能を提供する「Cloud Internet Services(CIS)」を使ってデータセンター拠点を冗長化する。

ALT 図2 アベイラビリティゾーンを利用した「Webシステム+コンテナ」の実装例。IBM Cloud の提供サービスの1つ、「グローバルロードバランサー(CIS)」によってアクセスを3つのデータセンターに分散し、可用性を担保する。なおCISは、CDN / DNS / FW / WAF/DDoS 対策機能を包括的に提供(記事本文で後述)

 「あるデータセンターに既存システムを移行すれば、その複製が各データセンターに自動的に分散配置されます。つまり高可用性・信頼性が自動的に担保されるのです。新たに開設される大阪のデータセンターを災害対策サイトとして活用することもできます」

 この他、「どのデータセンター拠点に、どうサービスやデータを分散するか」を明示的に指定できることや、仮想マシンサービスの他、データベースサービス、オブジェクトストレージなどのストレージサービス、コンテナ管理ソフトウェア「Kubernetes」のクラウドサービス「IBM Cloud Kubernetes Service(IKS)」なども、このアベイラビリティゾーンに対応していることも見逃せない。これは既存システムのクラウド移行や、運用管理部門の業務効率化だけではなく、アプリケーション開発者にもメリットをもたらす。

 「例えば、SoEアプリケーションをコンテナ上で開発し、そのデータをクラウドに保管するシステムを考えるとします。保管されたデータはアベイラビリティゾーンの3カ所に分散保管され、自動的に高可用性・信頼性が担保されますから、開発者は細かな運用の仕組みを気にせず開発に集中することができます。コンテナ以外でも同様に便利なサービスがご利用いただけます。具体的には、開発環境を提供するIBM CloudのPaaSサービス『IBM Cloud Foundry Enterprise Environment』を使ってアプリケーションを開発し、そのデータベースとしてIBM CloudのNoSQLデータベースサービス『IBM Cloudant』を利用する、といった使い方です。IBM Cloudでは、オンプレミスかクラウドか、物理的配置を意識せずに、高可用性・信頼性を担保したサービスを開発することも可能になるのです」

 このように、運用管理担当者、開発者ともに、IBM Cloudの各種サービスを広帯域、低遅延、高可用性、信頼性の下、安全に利用できることがIBM Cloudのアベイラビリティゾーンがもたらす最大のメリットといえるだろう。

仮想・物理サーバ、ストレージ、ネットワークサービスも大幅アップデート

 この他、IBM Cloudには4つの強化ポイントがある。2つ目のポイントは「仮想サーバ関連機能の充実」だ。まず、課金を一時停止できる「サスペンドビリング(Suspend Billing)」を追加。閑散期など、インスタンスを稼働させる必要がないときに仮想マシンをサスペンド状態にし、その間の課金を最小限にすることができる。一般に、こうした機能では、サスペンド時にIPアドレスが開放され、次に起動したときに異なるIPアドレスに変更されてしまう。IBM Cloudの場合、課金を一時停止しているときもIPアドレス情報などはそのまま保持される。このため、必要なときに、すぐ元の環境を立ち上げられるのが大きな特長だ。

 この他、1年または3年の予約で最大70%強、利用料金が割引になる「リザーブド」インスタンスや、よりリーズナブルに利用できる「スポット」インスタンスも提供開始。仮想サーバのラインアップも増え、最大64vCPU、512GBメモリを搭載したサーバや、「Tesla V100」などが選択できる「GPU付きサーバ」、より低価格な「Transient」サーバも用意。まさしく必要なときに、必要なスペックのサーバを、よりコスト効率良く利用できるようになった格好だ。

 3つ目のポイントは、オブジェクトストレージ「IBM Cloud Object Storage」の機能強化だ。データの保管先を「リージョンの中に閉じるか閉じないか」を選択可能になった。閉じる場合は「リージョナル」と呼ばれる同一リージョン内の3カ所のデータセンターにデータを分散配置。閉じない場合は「クロスリージョン」と呼ばれる異なるリージョン内の3カ所のデータセンターで分散配置する。これにより、日本国内にデータをとどめ海外への転送を防ぎたい場合はリージョナルを、あえて海外に保管したい場合はクロスリージョンを、といった具合に、目的に応じてデータを保管できる。

 長期保管向けのアーカイブ機能「Archive」も追加。事前にポリシーを設定し、指定期間が過ぎたオブジェクトを自動的にアーカイブするなど、データ保管の効率化に役立つ。アップロードを高速化する機能「Aspera」も無料で利用できるようになった。

 4つ目のポイントは、「物理サーバのラインアップ拡充」。CPUのラインアップに「Skylake」「Kaby Lake」といった最新モデルを加えた他、不揮発性メモリNVMe(PCIe SSD)搭載サーバなどのモデルも充実させた。この辺りは、以前から物理サーバの選択肢を提供してきたIBM Cloudならではの強みといえるだろう。

 この他の強化ポイントとしては、CDNやセキュリティ機能などをオールインワンで提供する「Cloud Internet Services(CIS)」が挙げられる。前述したアベイラビリティゾーンのグローバルロードバランサ(GLB)として機能する他、DDoS、WAF、CDN機能といった各種セキュリティ機能を提供する。

日本企業の業務/システム環境に即したフルスタックサービスを提供

 以上のように、アベイラビリティゾーンをはじめとする各種機能強化により、既存システムのクラウド移行は、より安全・確実なものになったといえるだろう。IBM Cloudが以前から備えてきたメリットも、“クラウドにまつわる不安”にとらわれてきた多くの企業にとって、一層享受しやすくなるはずだ。

 例えば、「既存のVMware環境をそのまま移行したい」といったニーズについては、クラウド上でVMware環境を提供するとともに、オンプレミスとクラウドのVMware環境を統合管理できる「VMware on IBM Cloud」を以前から提供してきた。アベイラビリティゾーンによって一層の可用性・信頼性を獲得したことは、既存システムのクラウド移行やハイブリッド環境構築に向けて、企業の背中を力強く押すはずだ。

ALT 図3 「既存のVMware環境をそのまま移行」できるVMware on IBM Cloudを利用したオンプレミスとのハイブリッド環境の構成例。アベイラビリティゾーンがもたらす高い可用性・信頼性の下で、安全・確実なリフト&シフトを実現する《クリックで拡大》

 また、パブリッククラウドと同じアーキテクチャ、ミドルウェア環境で、オンプレミスにプライベートクラウド環境を構築できるプライベートクラウドプラットフォーム「IBM Cloud Private(ICP)」は、既存システムの「リフト」だけではなく、まさしくクラウドネイティブへの「シフト」を支援する。

ALT 図4 オンプレミスにプライベートクラウド環境を構築できるプライベートクラウドプラットフォーム「IBM Cloud Private(ICP)」の概念図《クリックで拡大》

 コンテナオーケストレータ「Kubernetes」をベースに、コンテナに対応したアプリケーションサーバ、データベース、セキュリティなどを統合したフルスタックのクラウドプラットフォームであるICPでオンプレミスにプライベートクラウドを構築し、同等の環境であるIBM Cloudとのハイブリッドとすることで、データとアプリケーションのシームレスな保存/移動が可能になる。

 また、ICPはIaaSレイヤーを限定せず、あらゆる基盤で稼働する。このため、オンプレミスに限らず、IBM Cloud以外のパブリッククラウド上で稼働させてIBM Cloudと連携させるなど、まさしくベンダーをまたいだマルチクラウド環境を構築できる点もポイントだ。

 なお、安田氏によると、企業が「IBM Cloudを利用したい」と考える動機の一つとして「Watson」を挙げるケースも多いという。Watsonはすでにコンテナに対応し、ICP上でも稼働する。よって、オンプレミスにICPでプライベートクラウドを構築すれば、社外に出せないデータでもオンプレミスでWatsonを利用できる他、エッジのWatsonとクラウドのWatsonを組み合わせたデータ解析なども行えるという。

ALT 図5 IBM Cloudなら、Watsonをはじめコンテナ化された多数のミドルウェアやOSSを効率的に利用できる《クリックで拡大》

 以上のように、IBM Cloudは仮想サーバ、物理サーバ、コンテナ、PaaS、Watsonなど多岐にわたるリソースをそろえる他、既存システムのクラウド移行からハイブリッドクラウド、さらにはマルチクラウドまで、今回のアベイラビリティゾーン提供によるエンタープライズレベルの高可用性・高信頼性の下、企業のクラウドシフトを各社に最適な形で支援できる格好だ。

 特に注目すべきは、クラウドサービスプロバイダーの多くが、例えばITサービスの開発環境など、主にSoE領域の用途で利用されてきたプラットフォームを、SoRシステムの移行先として発展させてきたアプローチであるのに対し、IBM Cloudは、SoR領域を含めた既存システムをいかにクラウドシフトするかという、エンタープライズの視点に立ったアプローチで機能を発展させてきたことだろう。これについて安田氏は、「“日本企業の実情”に即したサービス提供アプローチを採っていることが、IBM Cloudの大きな特長です」と話す。

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが各業種で進展しています。金融、製造、流通といった一般的な企業は、長年の間、自社が立脚してきた既存業務/既存システムをしっかりと守りながら、経営環境に合わせてモダナイズすることが大前提となります。その点、IBM Cloudは既存システムをリフトするだけで移行できるケースが多く、リスクを冒してモダナイズする必要もなければ、無駄なコストや手間、時間をかける必要もありません。また、SoR領域のシステムを安全かつ効率的にクラウド移行できれば、SoE領域のクラウドネイティブアプリケーションの企画・開発にかける時間とリソースを捻出し、DXに注力できるようになるはずです。SoRとSoEの取り組みは分けて考えることが大事。IBM Cloudは、エンタープライズに不可欠な可用性・信頼性を担保したプラットフォームで、その双方の推進と連携を支援します」

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月8日

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