福島編:冬はスノボ、夏はジェットスキー!―ー多拠点プロジェクトで働く“会津っぽ”の幸せなエンジニアライフITエンジニア U&Iターンの理想と現実(54)(2/2 ページ)

» 2018年12月18日 05時00分 公開
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通勤、住宅、天候――社会人のインフラ事情

 会津若松は、首都圏と違って毎朝の通勤ラッシュとは無縁です。

 また、ファミリー向けの住宅が市内なら7万円程度で借りられるので、職場から15分圏内に住む「職住近接」が実現できます。私も東京在住時は通勤に片道1時間かかっていましたが、今では15分程度に短縮でき、朝夕に家族と一緒に過ごせる時間が増えました。

 天候は、世間でいわれる「雪国」にくくられます。例年12月上旬頃から雪がちらつき始め、3月下旬頃まで除雪が必要です。

 しかし「雪が降るのが当たり前」であるからこそ、「降雪時の対応が万全」です。行政による「除雪車出動」の他、主要道路に設置された「融雪装置」、「凍結抑制剤の散布」など、さまざまな対応策が施されているので、雪が降って交通網がマヒしてしまうことはそうそうなく、慣れてしまえば特に不便ではありません。

 これは何も私が“会津っぽ”であるから言っているわけではなく、雪なし県から来た同僚からも証言を取ったので、間違いありません(笑)。しかし、雪が降ると、自宅の雪下ろしや自家用車の周りを除雪する手間は掛かるので、大雪の日には普段よりも15分程度早く自宅を出るようにしています。

 なお、アクセンチュア日本法人は全社レベルでフレックスタイムや在宅勤務制度を導入しているので、自宅周辺の除雪に時間がかかる時は出社を1時間遅らせたり、大雪でどうしても外に出られない場合は在宅勤務に切り替えたりと、雪国ならではの「もしも」にも柔軟に対応できます。

スキルアップや会津ならではのプライベートの楽しみ方とは?

 一方、地方在住のエンジニアとして私が課題に感じているのが、スキルアップについてです。

 例えば、英語力。わが社はグローバル規模のプロジェクトが少なくないので、英語力の向上は欠かせません。このため、社内の有志が業務後に集まり、TOEICの勉強会を週1回程度開催しています。おかげで、私は3カ月の勉強で約50点、馬藤も約100点の点数アップを達成できました。ネイティブレベルの海外社員のボランティアと週1回30分の会話練習ができる社内向けの研修制度を利用し、英語力向上に取り組んでいる同僚もいます。

 本業であるエンジニアとしての技術力向上のため、Excel、PowerPointなどの基礎スキルから、AI(人工知能)、アジャイル開発といった最新のトピックに関する勉強会も社内外のメンバーを集めて実施しています。都会のエンジニアに負けないよう、最新の技術についてどのようにキャッチアップしていくかについては、第2回の記事で詳しく紹介しますので、お楽しみに。

 最後に“会津っぽ”の余暇の楽しみ方を軽く紹介しましょう。

 冬はスキーやスノーボードを楽しむ「アクティブ派のエンジニア」が数多くいます。会津若松市内からわずか30分程度車を走らせれば、アルツ磐梯などのスキー場に到着できるので、同僚の中には仕事終わりにナイターに出かけてひと滑りという人もいます(笑)。

 夏は湖水浴やジェットスキーなどのマリンスポーツを楽しむことができます。近くにある日本で4番目に広い猪苗代湖は淡水湖なので、水遊びの後に身体が塩水でべとべとになるということがありません。

 アクティブな人にとって、会津は絶好の地といえるのではないでしょうか。

宝の山と称される磐梯山。冬は雪化粧を施し、一面が銀世界になります

次回予告

 今回は「会津で働くこと」を紹介しました。会津で働くイメージはつきましたでしょうか? 次回は、会津若松市の施策や、教育、施設を例に取り上げながら、「なぜ会津がエンジニアにとってアツいのか」を深く掘り下げていきます。

@IT式 U&Iターンスタイル

全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えます。Uターン、Iターン、Jターンに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

ご当地ITライター募集

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添田智之(そえたともゆき)

アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 シニア・アナリスト

1989年生まれ、福島県会津若松市出身。大学時代まで会津若松市ですごし、大学卒業後に東京で5年間エンジニア生活を送るものの、会津の人や土地のぬくもりが忘れられず、妻の妊娠を機にUターンを決意。2016年11月からアクセンチュア 福島イノベーションセンターでエンジニアとして勤務開始。妻と1歳の娘の3人家族で、プライベートではカメラや動画作成などが趣味。「会津の三泣き」に代表されるように、会津の自然は過酷だが、人の温かさがある会津で場所にとらわれない柔軟な働き方を確立し、東京と会津の垣根をなくしていきたいと考えている。

馬藤宏一(ばとうこういち)

アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 シニア・アナリスト

1987年生まれ、石川県中能登町出身。大学時代を会津ですごしたことをきっかけに、慣れ親しんだ会津若松から全国に展開できるICTサービスの実現を目指し、2017年7月からアクセンチュア 福島イノベーションセンターに所属。「東京ではできないが、会津ではできることは何か」を日々考えながら、エンジニアとしての技術習得や新たなスキルアップにいそしむ毎日です。

アクセンチュア福島イノベーションセンター

2011年8月に東日本大震災の復興支援、および地域産業の活性化を目的に設立。国や会津若松市、会津大学や企業と連携し、IoTやアナリティクスなどの実証事業を数多く推進している他、国内開発拠点の一つとして地域の課題や実情を踏まえたイノベーションの創出などにも取り組んでいる。


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