DevOpsが失敗する5つの原因を回避するためのコツとはGartner Insights Pickup(92)

DevOpsで、社内ユーザーの期待に応えることは難しい。ITインフラ&オペレーション(I&O)の担当リーダーは、DevOpsの基本原則を堅持することで、DevOpsが失敗する5つの原因を回避できる。

» 2019年01月18日 05時00分 公開
[Katie Costello, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 2023年まで、DevOpsの取り組みの90%は、社内の期待に完全には応えられないと予想されている。技術的な理由からではなく、リーダーシップアプローチに問題があるからだ。DevOpsプラクティスを導入する価値は大きいが、取り組みを成功させたければ、やり方を改めなければならない。

 「DevOpsが失敗する最も一般的な原因は、プロセスではなく人にある」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターを務めるジョージ・スパッフォード氏は指摘する。

 「多くの組織が変革に取り組むことなく、また、自らが自社にもたらす価値についても検討することなく、DevOpsツールに投資してしまう」(同氏)

 スパッフォード氏は、DevOpsの失敗の5大原因を特定し、ITインフラ&オペレーション(I&O)の担当リーダーが、どうすればそれらを回避できるかを以下のように解説している。

1.DevOpsが顧客価値を起点にしていない

 DevOpsの取り組みは、どのようなビジネス成果が得られるかを十分に検討せずに開始されることが多い。I&Oリーダーは取り組みに先立って、チームのスタッフと社内顧客が「DevOps」という言葉と、DevOpsがもたらす価値について理解を共有するよう導く必要がある。

回避策:社内マーケティングを行いながら、ビジネスにプラスになるようにDevOpsの価値を設定し、見積もり、実現する。「I&Oリーダーは、進行中のビジネスにおける顧客価値の理解を深め、チームの成果向上と柔軟な組織変革につなげることを目指さなければならない」(スパッフォード氏)

2.組織変革が管理されていない

 Gartnerの調査「Gartner 2017 Enterprise DevOps Survey」によると、回答者の88%が、組織がDevOpsを大規模に展開する能力に最も影響する、人に関連する上位3つの特性の一つとして「チームの文化」を挙げている。しかし、組織はDevOpsの実施に伴う変化にスタッフを適応させる取り組みの重要性を見過ごし、DevOpsツールの導入にばかり力を入れる場合がある。

回避策:「ツールは、文化の問題の解決策にはならない」とスパッフォード氏は語る。DevOpsプラクティスの適切な導入姿勢を模索する必要がある。チームワーク、責任、弛まぬ学習の本質的な価値を体現する個々人が、DevOpsの強力な担い手になる。

3.協力の欠如

 DevOpsの取り組みを成功させるには、全てのステークホルダーとの協力が必要になる。だが、大抵の場合、DevOpsの取り組みはI&Oチームだけで行われている。さまざまな部署と連携が取れていなければ、あるいはこうしたI&Oチーム単独の取り組みでは、DevOpsの「タイムトゥバリュー(価値実現までの時間)」を改善することはできない。

回避策:組織間の垣根を取り払い、チームとしての一体感を醸成する。取り組みを最適化するには、さまざまなチームがそれぞれサイロにこもってばらばらに活動するのではなく、力を合わせる必要がある。「チームを引っ張り、DevOpsを推進できる幹部を探すことが出発点になるかもしれない」(スパッフォード氏)

4.一度に多くのことをしようとする

 「ビッグバンアプローチ」――つまり、一気に大々的にDevOpsを始めると失敗するリスクが大きい。このことを理解することが重要だ。DevOpsは変数が多いので、大規模なIT部門では、この方法では成功しない。

回避策:漸進的で反復的なアプローチでDevOpsを導入し、組織が継続的な改善に集中できるようにするとともに、全ての部署による協力を確保する。スパッフォード氏は、まずチームが他部署と緩やかに連携し、DevOpsの価値を着実に実現して社内に広め、DevOpsへの信頼を高めていくことを勧めている。

5.DevOpsへの非現実的な期待

 DevOpsの取り組みを、顧客価値を起点に進めるのに苦労する場合が多いように、多くの組織では、DevOpsへの期待と、実際にできることが食い違っている。

回避策:DevOpsの目標と指標について合意を形成し、期待を管理する。マーケティングを行いながら顧客価値を設定し、見積もり、満たすようにする。期待の管理とマーケティングは1回限りのことではなく、継続して行わなければならない。

出典:The Secret to DevOps Success(Smarter with Gartner)

筆者 Katie Costello

Manager, Public Relations


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