2019年もWindows Updateとの格闘は続くらしい……山市良のうぃんどうず日記(146)(1/2 ページ)

新年早々の2019年1月2日(日本は3日)に、Office 2010(MSI)向けに新元号関連の4つの更新プログラム(もちろん新元号は含まれていません)がリリースされ、数日後に配布が停止されました。これらの更新プログラムの影響でExcel 2010がクラッシュするなどの問題が発生したからです。2019年もWindows Updateに油断は禁物。新元号に関連したWindows/Officeの更新問題は今後も散発、あるいは続発するかもしれません。

» 2019年02月05日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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山市良のうぃんどうず日記

2019年、仕事始めの“Excelが使えない”騒動

 Office 2010(MSI版)向けの「新元号関連の更新プログラム」が取り下げられたのは、2018年11月に続いて2回目です。Office 2010(SP2)のサポートライフサイクルは「2020年10月」までですが、SNSでのこの問題の発信や拡散状況を見ると、Office 2010ユーザーは意外と多いようです。

 業務でOffice 2010を使用していて、2019年1月4日が仕事始めだった場合は、Windows Updateで問題の更新プログラムがインストールされて、仕事に支障が出た人もいたことでしょう。その日に問題に気が付かなくても、週明けにExcel 2010がいつものように使えなかったかもしれません。

 2019年1月の定例(日本では第二火曜日の翌日)のWindows Updateは9日であり、この日にも別のOffice 2010向けセキュリティ更新プログラムが配布されたため、トラブルの原因特定に苦労したかもしれません。そして、このセキュリティ更新プログラムでも、Excel 2010やAccess 2010がクラッシュする問題が確認され、10日後にこれらの問題(1月4日と1月9日の両方)を解消する更新プログラムが配布されました。

 Office 2013以降(MSI版およびC2R版)にも新元号関連の更新プログラムが何度か提供されていますが、これらは取り下げられるような重大な問題は引き起こしていません。

 Office 2013以降のOfficeはWindows 7以降で動作するため、Windows XPやWindows VistaにもインストールできるOffice 2010との違いが出ているのではと予想しています。Windows XPやWindows Vistaに対しては、OSレベルで新元号対応の予定はありません。そして、Officeの新元号対応は、OSレベルの新元号対応と組み合わせて実現されている可能性があるからです。

 新元号の名称公表と切り替えは数カ月後に迫っています。Office 2010の新元号関連更新プログラムの問題が繰り返されているのを見ると、本当に間に合うのかどうか心配になります。

 念を押しておきますが、Officeが対応しているかどうかに関係なく、サポートが終了したWindows XPやWindows Vistaは、OSレベルで新元号に対応する予定はありません。仮想化環境(XPモードなど)に塩漬けしたレガシーな業務システムはありませんか? これまでは使えていても、これからはまともに使えなくなるかもしれませんよ。

 2019年1月のWindows向けの更新プログラムでは、2018年12月の更新プログラムで追加、あるいは修正されなかった既知の問題の多くが未修正のままであり、セキュリティの更新が中心だったようです。以下のように、1月の更新プログラムでも、よくもまぁこれだけと思うほど、さまざまな問題が噴出しました。

  • サードパーティー製アプリケーションでホットスポットの認証が困難になる問題(Windows 8.1/10)
  • KMSライセンス認証の問題(Windows 7)
  • ローカル管理者アカウントでネットワーク共有にアクセスできなくなったり、リモートデスクトップ接続が認証エラーになったりする問題(Windows 7/Server 2008/2008 R2)
  • Microsoft Edgeで「http(s)://ローカルサブネットのIPアドレス/」に接続できない問題(Windows 10 バージョン1703以降)
  • Microsoft Jetデータベースのセキュリティ更新の影響でAccess 97形式のデータベース(32文字より長い列名を持つ場合)が開けなくなる場合がある問題(サポートされるWindowsの全バージョン)
  • 自動配布されるべきではないオプションの更新プログラムが一定期間自動配布対象になっていた(KB4481031)

 これらの問題で、PCの利用や業務に影響を受けたユーザーも多かったのではないでしょうか。その後の修正情報など、詳しくは、更新プログラムのサポート情報で確認してください。何かおかしいなと感じたときも、更新の履歴から、直近の更新プログラムのサポート情報で既知の問題を調べてみましょう。

 前置きが長くなりましたが、今回は筆者が年末年始に経験した“アンビリーバブルなWindows Update体験”を3つご紹介します。

[体験1]Windows Server 2016の異様に長い更新! 2027年まで大丈夫?

 Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)を利用しているところは少ないと思いますが(延長されているEnterpriseおよびEducationのサポートは2019年4月に終了)、10年の長期サポートが提供されるWindows Server 2016を導入している企業は多いと思います。既にWindows Server 2019がリリースされていますが、これからWindows Server 2016をあえて導入するところもあるでしょう。

 筆者のHyper-Vホストには、2018年10月にWindows Server 2016(2018年2月版インストールメディアを使用)をクリーンインストールしたばかりの、同一構成の仮想マシンが2台あります。評価用に作成したもので、クリーンインストールしてWindows Updateを実行しているだけの状態で、システム設定もほぼ一緒です。唯一の違いは、配置先のHyper-Vホストのストレージですが、同程度のI/Oパフォーマンス(高速ではありません)のものです。これまで特に問題のなかった2台の仮想マシンですが、2019年1月9日のWindows Updateでその挙動に大きな違いを見せました。

 一台は「更新プログラムをダウンロードしています 90%」「95%」のところで異様に長い時間がかかり、「更新プログラムをインストールする準備をしています X%」に切り替わるまで7時間以上、その後、なぜか再び「ダウンロード」ボタンが表示されて、同じことを繰り返しているかのように見えた後、8時間以上経過したところで「電源が切れたため失敗」のような表示になりました(画面1)。

画面1 画面1 一台は5時間経過してもまだダウンロード95%、もう一台は2時間ほどでインストール準備が始まった

 もう一台は、3時間ほどで何の問題もなく更新が完了しました(3時間も長いと思いますが、8時間に比べれば我慢できる範囲です)。更新に失敗した方の一台は、チェックポイントを適用して12月の更新状態にロールバックしました。すると、その後のWindows Updateは3時間ほどで終了しました。ただし、今回は実行中だった「SilentCleanup」タスクを終了させ、「Sconfig」ユーティリティーで更新しました。あの8時間は何だったのでしょうか。

 Windows Updateは謎が多過ぎます。もしかすると、めったに起動しない仮想マシンだから、スケジュールされたタスクと競合したのかもしれません(後述する「ディスクのクリーンアップ」など)。同様の現象は、より多くのリソースを割り当てたAzure仮想マシン(8コア、14GBメモリ構成。ただし、古い仮想マシンのためクラシックタイプ)でも発生するケースがありました。

 あるAzure仮想マシンは6時間ほどかかって更新に成功し、また別のAzure仮想マシンは8時間以上経過して失敗に終わり、「C:\Windows\SoftwareDistribution」ディレクトリをリセットすることで正常化できました。Azure仮想マシンもまた、1カ月に1回、または数回起動するだけのもので発生するような気がしています。

 Windows 10やWindows Serverの後継バージョンでは、Windows Updateが改善されているはずですが、Windows Server 2016は2027年1月までサポートが続きます。現在の状態のまま、サポート期限まで運用できるのかと心配になります。2018年11月にWindows Server 2016の高速インストールファイルによる更新(Express Update)が再開(2017年10月ごろに問題が確認され、停止されていました)されましたが、利用者から見れば、全く高速ではありません。

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