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“AWSはコストを引き下げる、だがそれだけではない”AWS初のグローバルユーザーカンファレンス「re:Invent」

Amazon Web Servicesの総責任者であるアンディ・ジャシー氏は、同社初のグローバルカンファレンスでAWSのコスト低減効果をさまざまな角度から語った。だが、同氏の基調講演にはそれ以外のメッセージも含まれていた。

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 Anazon Web Serivces(AWS)初のグローバルなユーザーカンファレンスである「re:Invent」が11月28日(米国時間)に開幕、AWSの総責任者であるアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏はカンファレンスのタイトルどおり、クラウドサービスを使って顧客企業がビジネスを「reinvent」(再発明、再創出)できることを強調した。


AWS総責任者のアンディ・ジャシー氏

 11月28日のジャシー氏による基調講演に登場した米NetflixのCEO、リード・ヘイスティングス(Reed Hastings)氏は、壇上でのジャシー氏との対談の最後に、「値下げをありがとう」といって降壇した。ジャシー氏がその前に、ストレージサービスAmazon S3の利用料を、12月1日に24〜27%引き下げると宣言したからだ。

 NetflixはAWSの大口ユーザーとして有名。だがビデオストリーミングサービス事業において、皮肉にもAWSの母体である米Amazon.comからの低価格攻勢を受けている。「AWSの利用料はわれわれのサービスの価格に直結する」(ヘイスティングス氏)。このため、同氏はAWSがAmazon.comとは独立した事業として運営されていることを評価するとともに、AWSのサービス利用料値下げを歓迎したのだ。


Amazon S3の新利用料の例(米国東部リージョン)

 コスト低減は、これまでどおりAWSにとって最大の売り文句だ。

 ジャシー氏は基調講演で、AWSを採用することによるTCO削減効果を複数の角度から説明した。AWSが2006年から23回にわたり、各種サービスの値下げを実施してきたこと、AWSと社内システム構築を比較した場合、AWSではITリソースへの払いすぎも、リソース不足による機会損失も発生しないことなどを説明した。基調講演で発表されたデータウェアハウスサービス「Amazon Redshift」についても、1TB当たりの年間コストを、社内におけるシステム構築と比較して19〜25分の1に削減できるという試算結果を示した。

 さらに、オラクル、IBM、HPの決算報告などでの高マージン維持に関する言及を引用し、これらの企業は、いい意味での薄利多売をビジネスモデルとするAWSを真似することができないと「口撃」した。「高マージン狙いは正当なビジネスモデルだが、当社のビジネスモデルではない」(ジャシー氏)。


企業名には直接言及していないが、どの企業のことを言っているかはこれを見れば分かる

 これらが印象的だったため、コスト低減が今回の基調講演のメッセージだと受け止めた人が多いかもしれない。だが、実はより深いテーマが各所にちりばめられていた。

 この基調講演には、ゲストとしてNASAやNASDAQが登場した。NASAは火星探査車Curiosity着陸のリアルタイムWebキャストでAWSを利用。ピーク時には120万の同時接続があったという。NASDAQは金融機関向けの新たな情報サービスでAWSのサービスを活用している。大統領選挙におけるオバマ氏陣営の選挙キャンペーンでAWSがどう使われたかについても、ジャシー氏は説明した。


オバマ氏の選挙キャンペーンでは、選挙日当日だけでも、これだけの活動があったという。全投票者のプロファイリングを行うデータベースもAWSでホストされた

 これらはすべて、AWSでしか実現できないようなサービスとして紹介されている。それだけではない。NASDAQは、「金融業界のビジネスは再発明が必要だ。われわれも新たな収益源を必要としている」と基調講演で語っている。

 これを敷衍すれば、次のような話にもなる。AWSは、各種のオンラインサービスを効率的かつ柔軟な形で提供したい事業者のためのサービスだととらえ、一般の企業は関係ないと思う人は多いだろう。だが、さまざまな業界で、生き残りをかけてITを自らの事業に直結した形で活用し、あるいはITの直接的な活用で事業自体を変えていかなくてはならないと考えている人たちがいる。

 こうした人たちは新たなアプリケーションやサービスを迅速に立ち上げ、あるいは資産としてのIT支出に足を引っぱられずに新たな取り組みができなければならない。複雑なシステムになると、ITに関するさまざまな実験的実装と検証を繰り返さなければならなくなるかもしれない。そうしたニーズに応えられるのはAWSだけ、というのがジャシー氏の一番言いたかったことなのではないか。

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