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エバ・チェンが語る「個人と企業の境界線がなくなった世界」をどう守るか?Trend Micro DIRECTION

2014年11月21日、トレンドマイクロは情報セキュリティカンファレンス「DIRECTION」を開催した。基調講演「三年後のセキュリティをよむ」では同社代表取締役社長(CEO)エバ・チェン氏が、サイバーディフェンスの近未来を語った。

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2018年までに35%のコンシューマーが業務で個人所有デバイスを使うようになる


トレンドマイクロ 代表取締役社長(CEO)エバ・チェン氏

 基調講演でエバ・チェン氏は、企業がコンシューマーのように、また個人は企業のように振る舞うようになると述べた。

 個人が持つデバイスの状況として、2018年までに全体の35%のコンシューマーが業務で個人所有のタブレットやスマートフォンを利用する「BYOD」(Bring Your Own Device)が進むとともに、65%の家庭がホームネットワークを持ち、平均10個のインターネット接続されたデバイスを所有する。さらに企業においては87%の組織がパブリッククラウドを利用し、企業が使用するクラウド上のアプリは平均461個もある、とチェン氏は指摘する。

 モバイル化とクラウド化が進むことで、企業と個人の垣根がなくなり、境界線を守るというこれまでのコンセプトとは異なる守り方を考えなくてはならない、という現状があると語る。


変化するサイバー攻撃

 さらに、サイバー攻撃は時代とともに変化し、現在では「標的型サイバー攻撃」「モバイルへの攻撃」が増え、国際的なサイバー犯罪が毎年約4000億ドル以上の損失をもたらしている、とチェン氏は述べる。ただし、この損失額はあくまで直接的なものであり、間接的な影響は決して少なくない。例えば米小売り大手のTargetにて発生した1.1億件のデータ漏えいでは、その後34%もの大幅な利益減少をもたらすだけでなく、CIO、CEOの辞職、さらには7名の役員への訴訟も計画され、企業が無視できない被害をもたらした。


米Targetが起こした情報漏えいに対する間接的な“被害”

 そんな状況において、チェン氏とトレンドマイクロは「サイバー攻撃は個人だけが対象ではないし、企業のIT部門だけのものでもない。デジタルの世界において、サイバー攻撃は皆の責任で、皆で守らなくてはならない」と述べる。

「ダークネット」の闇取引、OSSへの攻撃増加——2015年のサイバー世界を予測する

 チェン氏はトレンドマイクロのビジョンを「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」と説明し、サイバー脅威の一歩先を行くためのソリューションとして、三つのキーポイント「ユーザー保護の徹底」「カスタムディフェンス」「クラウド&データセンターセキュリティ」を挙げる。その上で、2015年以降に発生するであろう八つのトレンドを提示した。


トレンドマイクロが考える、2015年以降に発生するであろうサイバー脅威のトレンド

 チェン氏は「ダークネット」と呼ばれる会員制フォーラム内に閉じた闇取引が増加することや、モバイル端末への攻撃が増えることにより、高齢者や子どもも脅威にさらされることについて、対処すべきであると述べる。

 チェン氏は「2015年、脅威の展望は残念ながら明るい未来ではない。しかし“善”を行う救世主からのイノベーションが大きな解決策を見いだすと考えている」とした。


トレンドマイクロが考える「今後求められるセキュリティ戦略」。スレットディフェンスの保護、検知、分析、対処については、改めて別記事にて紹介する予定

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