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Microsoft、「量子コンピュータ」向けプログラミング言語とシミュレーターを公開Microsoft Ignite発表まとめ Microsoft 365の強化、Linux対応SQL Server正式版など(1/2 ページ)

Microsoftが法人顧客向け年次イベント「Microsoft Ignite」で多数の新世代技術や新サービスを発表。クラウド、AI、MRといった技術を用いて顧客のビジネスを積極支援していく方針を示し、量子コンピュータ関連の研究開発の取り組みや、法人向けの広範な製品やサービスの新展開も発表した。

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 Microsoftは2017年9月25日(米国時間)、米国で行われた法人顧客向け年次イベント「Microsoft Ignite」で、クラウド、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、MR(Mixed Reality:混合現実)技術を使い、顧客のビジネスをこれまで以上に積極支援していく方針を示した。

 併せて、同社が新世代のコンピューティング環境と位置付ける「量子コンピュータ」に関連する研究開発状況とともに、量子コンピュータ用プログラミング言語とシミュレーターを一般公開。さらに法人向けの広範な製品やサービスである「Microsoft 365(Office 365、Windows 10、Enterprise Mobility + Security)」「Microsoft Azure」「Dynamics 365」「Microsoft AI」の新展開や開始スケジュールを告知した。

 Microsoft Igniteで発表された主な内容は以下の通り。

「量子コンピュータ分野」の研究開発が前進、プログラミング言語とシミュレーターを公開

 Microsoftは過去12年間にわたる投資の成果として、スケーラブルな量子コンピュータ(トポロジカル量子コンピュータ)のシミュレーターと量子コンピュータの活用に最適化された新たなプログラミング言語を開発し、2017年内に一般提供すると発表。併せて、同言語を統合開発環境「Visual Studio」と密接に統合できるようにした。

 この新しいプログラミング言語は2017年9月現在、開発者向けにβ版が無償提供されている。開発者はVisual Studio上でデバッグなどの開発支援機能を利用でき、ローカル上、Microsoft Azure上を問わず、同量子コンピュータのシミュレーターを実行できる。

ワークプレースソリューションの拡充

 法人向けサービス群「Microsoft 365」の大きな拡張も行われる。

 1つはセキュリティ/コンプライアンス面の強化。2018年5月の施行を控える欧州連合(EU)による「GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)」への準拠を中心に、顧客の安全性とコンプライアンスの維持を支援するためのセキュリティ機能とIT管理機能を一層強化する。

Microsoft 365 F1/Educationを追加

 Office 365、Windows 10、Enterprise Mobility + Securityをセットで提供する「Microsoft 365」には、「F1」「Education」と呼ばれるラインアップを追加する。

 F1は、業務の最前線で働く「ファーストライン」(販売、工場、医療の各現場、顧客サービスなどの担当者)向けに展開。担当者が自身のスケジュールを管理するためのアプリ「Microsoft StaffHub」なども含まれる。

 Educationは、学生と教育機関向けに用意。Office 365、Windows 10、Enterprise Mobility + Securityの他に、「Minecraft Education Edition」が含まれる。

 また、HP、Lenovo、Acer、富士通などから、Microsoft 365をバンドルした法人向けWindows 10 Sデバイスが登場する。価格は275ドル(約3万円)から。PC初期コストを抑えられる他、顧客がセルフサービスで展開でき、またIT管理とエンドポイントセキュリティ管理の簡素化、法人の総保有コスト削減などを実現する。

Skype for Business、Cognitive/Data Servicesを「Microsoft Teams」へ融合

 新しいIntelligent Communications構想として、「Skype for Business Online」の機能を「Cognitive Services」や「Data Services」とともに「Microsoft Teams」に取り込む計画が示された。

 これにより、Microsoft TeamsへIM(インスタントメッセージ)、音声通話、ビデオ通話機能も融合される。「Office 365をベースに、チームワークを実現するための真のハブになる」とMicrosoftは述べている。

「検索」がさらに賢く便利に

 AIと機械学習の進展によって、Microsoft 365のどこで検索を行っても、組織内外でパーソナライズされ、また文脈でも整理される仕組みによって、さらに関連性が高い結果が得られるようになる。これには「Bing for business」のプライベートプレビューも含まれる。

LinkedInプロファイルと連携

 LinkedInのプロフィール情報とMicrosoftの「Outlook Web Access」「SharePoint」「OneDrive for Business」といったアプリやサービスを連携できるようになる。また、組織内外で協同作業を行うメンバーの情報をOffice 365上から提供できるようになる。

一部ベンダー製PCで「Windows AutoPilot」をサポート

 HPとLenovoが、PCの業務環境自動セットアップツールである「Windows AutoPilot」に対応したPCを2018年1月から販売する。

Microsoft 365のセキュリティ強化

 Microsoft 365では、Advanced Threat Protection(ATP)の強化、フィッシング攻撃への対応機能の向上、SharePoint OnlineやOneDrive for Business、Microsoft Teamsの保護の拡張、クラウドとオンプレミス間のアイデンティティー脅威検知機能の統合など、セキュリティ機能を大きく強化する。

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