課題を資産に変えるデータ基盤になるか――IBMが「Watson Data Platform」の新製品と機能強化を発表:データのカタログ化や精緻化などでAI活用をサポート
IBMは「Watson Data Platform」の新製品と機能強化を発表した。これらはデータのカタログ化や精緻化などを実現し、AIアプリケーション用にデータの分析や準備を容易に行えるようにすることを目的としている。
IBMは2017年11月2日(米国時間)、「IBM Cloud」と同社のコグニティブ技術「Watson」をベースにしたデータプラットフォーム「IBM Watson Data Platform」の新製品と機能強化を発表した。これらはデータのカタログ化や精緻化などを実現するもので、データの構造や保存場所にかかわらず、開発者やデータサイエンティストがAIアプリケーション用にエンタープライズデータの分析や準備を容易に行えるようにすることを目的としている。
今回の発表の概要は以下の通り。
「Data Catalog」と「Data Refinery」
これらの製品は、クラウドや既存システム、サードパーティーソースなどにさまざまなフォーマットで存在するデータセットを集約し、機械学習を適用してそれらの処理とクレンジングを行い、AIアプリケーションに取り込めるようにする。
Data CatalogとData Refineryから引き出されたメタデータを使って、タグ付けを行ったり、顧客のデータガバナンスポリシーの強制を支援したりする機能
この機能はチームにとって、機密データの共有時にリスクを容易に特定する根拠になるという。
現在、AI機能を搭載するアプリケーションの開発が活発に行われているが、さまざまな場所に存在し、複雑さを増すデータの意味を理解することや、データを安全かつ継続的に取り込んでアプリケーションの機能向上につなげることが、開発上の課題となっている。
IBMは、これらの課題に対応するためにWatson Data Platformのアップデートを進めている。Watson Data Platformは、IBM Cloud上のツール、サービス、データの統合セットであり、データサイエンティストや開発者、ビジネスチームが、業務にとって重要なデータから洞察を引き出せることや、機械学習、AI、分析のようなサービスに簡単にアクセスできることを目指して設計されているという。
IBMのWatson Data Platform担当ゼネラルマネジャーを務めるデレク・ショトル氏は、「AIの活用を成功させる重要な出発点は、強力なデータ基盤だ。こうしたデータ基盤が、取り込むデータの量やスピードを、課題から資産に変えてくれる。企業がAIを使ってイノベーションや競争を行うには、あらゆるソースから入ってくるデータを把握し、整理する方法が必要であり、その完全なデータインデックスをあらゆる意思決定や取り組みのバックボーンに据える必要がある」と説明している。
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