変化しなかったら大企業でも倒産する時代――DXに取り組む上で「大切な要素」とは:ダウンタイムで発生する損失は2180万ドルという試算も
Veeam Softwareアジア太平洋・日本担当 シニア・バイス・プレジデントのShaun McLagan氏はデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む上で「大切な要素」を話した。失敗しないDXのために企業は何に対して気を付けるべきなのだろうか。
Veeam Softwareは2017年11月16日、デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるアベイラビリティ(可用性)の重要性について、記者向けの説明会を行った。
「今や自動車は、さまざまなテクノロジーが使われ、オフィス以上に高性能だ。将来、自動車自体がオフィスになる可能性もある。世の中の物事は、速いスピードで変わってきている。その中で企業が生き残るには、DXに取り組むことが重要だ」と話すのは、Veeam Softwareアジア太平洋・日本担当 シニア・バイス・プレジデントのShaun McLagan氏だ。
Veeam Softwareは、バックアップおよびリカバリーのソフトウェアベンダー。企業が常に稼働し続けるエンタープライズ環境「Availability for the Always-On Enterprise」の実現を目指している。
「米国にはBlockbusterというビデオ、DVDのレンタルチェーンがあった。2003年には従業員が6万人いて、約550億ドルも売り上げていたが、2010年に倒産に追い込まれてしまった。なぜなら、DXに取り組まず変化しなかったからだ」(McLagan氏)
昨今、既にDXに取り組んでいる企業も少なくない。成果を出すには、どんなことに注意してDXに取り組むべきなのだろうか。
「『ビジネスの継続性』と『ユーザーからの信用』が重要になる。もしユーザーが必要な情報に欲しいタイミングでアクセスできなかったら、信用が失われてしまう。一度失われてしまった信用を取り戻すのは難しい」(McLagan氏)
企業がDXを推進していく上で、「エラー」は最悪なパターンの1つだという。ユーザーがECサイトで買い物をしたり、検索エンジンで調べ物をしたりしているときに、エラーが出てしまうと、信用が失われて、別のサービスに流れてしまう可能性が高いからだ。そのため、「DXでは、システムの『アベイラビリティ』の確保を重要視する必要がある」(McLagan氏)としている。
エラーをはじめとするダウンタイムの問題は、今も頻繁に起きており、以下の図のようにビジネスや生活に大きな影響を与える。
Veeam Softwareが発行している「2017 Veeam Availability Report」によると、ダウンタイムによって企業に毎年発生する損失の平均額は、2180万ドルにも及ぶという。「ダウンタイムは、財務的な問題にとどまらず、ユーザーからの信用喪失やブランドへのダメージ、社員からの信頼低下などにもつながる」(McLagan氏)
またVeeam Softwareは、クラウドプラットフォームにおけるアベイラビリティの重要性が2018年にはさらに増すとみている。
「2018年は、マルチクラウド環境が一般化したり、クラウドネイティアプリケーションが急増したり、クラウド上でミッションクリティカルなアプリケーションが現実のものになったり、クラウドを前提とする人工知能(AI)が普及したりするだろう。顧客やパートナーへのソリューション提供にクラウドプラットフォームが必然となった今、クラウドにおけるアベイラビリティの確保は一層避けて通れない課題になるはずだ」(McLagan氏)
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