検索
特集

2018年、奥手なエンジニアは転職サイトを使いこなせ――マイナビ転職・荻田編集長特集「Connect 2018」

エンジニア不足といわれているが、本当にエンジニアは転職しやすくなったのか。良い求人情報はどうやって見つけたらよいのか、転職サイト「マイナビ転職」の編集長に伺った。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 転職のためにどのようなサービスを使うかは人それぞれ。どのようなサービスも、最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるものだ。今回は、求人情報掲載数トップクラスを誇る転職サイト「マイナビ転職」の編集長 荻田泰夫氏に、エンジニア不足時代に転職サイトが担う役割などを伺った。

実はそれほど売り手市場でもない、2018年の転職事情

――エンジニアの転職市場は、2018年どのようになると予想されますか?


「マイナビ」マイナビ転職 編集長
荻田泰夫氏

 2017年以前から、転職は「売り手市場」だと世の中は盛り上がっています。それに伴い、求人件数も劇的に増えていると思われがちですが、そうでもありません。

 大手企業の求人が増えるにつれ、「うちのような会社が募集しても、戦えないだろう」と採用を諦める中小企業が出始めるなど、求人案件数そのものは微増しているものの、激増するには至っておりません。

 では、大手企業の採用がうまくいっているかというと、必ずしもそうではありません。自社プロダクトやコンシューマー向けのサービスを展開している企業は採用できているようですが、そうではない企業は、自社の魅力を求職者にうまく伝えきれず、採用に至らないケースがあります。

 そんな中、われわれ転職情報サイトの役割は、「求人企業の魅力を正しく求職者に伝え、求職者にご自身の可能性を見いだしていただく、そのお手伝いをすること」だと考えています。2018年は「マイナビ転職」も、そうした部分により一層注力したいと考えています。

――大手企業でも採用がうまくいかないケースとは、どのような場合なのでしょうか?

 本音でいえば、どの企業も転職者には「即戦力」を求めています。これは、大手も中小企業も変わりません。しかし、理想を100%満たす人材は、容易に見つかるものではありません。そうなると、80%、60%、もしかすると30%でも満たしていれば「後は入社後に育成する」という気構えが必要です。

 ところが大企業の中には、人事と現場、あるいは現場と経営層の間に意識の隔たりがあり、人事が現場から上がってきた「必要なスペック」のみで合否の判断をしてしまうこともあるようです。そうなると、「希望のスペックには足りないけれど、それを補うくらいの良さがあるから採用しよう」「スペックは満たしてしているけれど、社風に合っていないように感じるから現場のメンバーにも会ってもらおう」などの柔軟な判断ができなくなるのです。

 その点、中小企業は、経営層や現場責任者が直接採用に関わるケースが多く「技術が満たなくても、人物面が良ければOK」などの判断が即座に下ります。

 ただし、大手企業でもうまくいっているところはあります。ある大手外資系IT企業は、「ここからここまでの枠に該当すれば採用する」という方針を、あらかじめ人事や現場、経営層との間で擦り合わせています。採用基準に幅を持たせ、面接で人物面もきちんと見ているため、ミスマッチが起こらず、採用がうまくいっているようです。

奥手なエンジニアにこそ、転職サイトが向いている?

――では、転職を考えるエンジニアは転職サイトをどのように活用すればよいのでしょうか?

 エンジニアに限った話ではありませんが、求職者の転職活動が変わりつつあります。「エージェントに任せよう」と考える人もいますし、「話を聞きに行く」などのアプローチをする新たなサービスを利用する人もいます。社員の紹介、ソーシャルサービス経由など、転職手段が多様化しています。

 そんな時代だからこそ、転職サイトには他のサービスにはない良さがある、とお伝えしたいです。

 エージェントや企業の中の人に「会う」のはまあまあ勇気がいるものです。転職の意思が強い積極的な人には良いかもしれませんが、世の中そういう人ばかりではありません。対人での接触に抵抗がある方、まだ具体的ではないけれど、漠然と「転職してもいいかな」と考えている方なら、転職活動の「最初の窓口」として転職サイトに登録して、オンラインでいろいろな情報に触れてみるというのが良いのではないでしょうか。

 スキルやキャリア、希望などの情報を登録すれば、いろいろな転職先がレコメンドされますので、そうしたものの中から、自分が好きなことや、やりたいことが見えてくると思います。そうした行動を通じて「本当にやりたい仕事は何か?」を見つけていくことが、転職を成功させるために重要だと思います。

――エンジニアが気になるのは“いい会社”の見極め方です。転職サイトで、それを判断するコツはありますか?

 “いい会社”が何を基準にするかは人それぞれなので、一概に言うのは難しいのですが、媒体任せではなく採用に積極的に取り組んでいる企業は、「入社後の育成」まで、きちんと考えているケースが多いかもしれませんね。

 その見極め方は、いろいろあります。例えばマイナビ転職には「スカウトメール」というサービスがあります。求職者が登録したスキルやキャリアなどの情報を見て、求人企業が送るダイレクトメールです。スカウトメールを社長や役員といった決裁者が書いている場合は、「経営層が採用に積極的に関わっている」と判断できます。

 当座の業務だけでなく、入社後の未来まできちんと書いているかも判断基準になります。求人情報に「ゆくゆくは、こんなお仕事もお任せしたい」などと書かれていれば、「入社後に育てていこう」という方針を定めることができるでしょう。

「可能性を広げる」お手伝いをしたい

――マイナビ転職は、今後、どのように変わっていくのでしょうか?

 「マイナビ転職」は「求職者の“可能性”が見つかるサービス」にしなければならないとも考えています。

 「転職者の7割近くが、自分のやりたいことを見つけ出せていない」と聞いたことがあります。「いや、勤務地と職種ぐらいは決まっているだろう」と思うかもしれませんが、そうでもありません。「なぜ転職したいのか」もよく分かっていない人も多いというのが実情です。そこで、まずは「自分のやりたいことが分かる」という仕組みを作らなければなりません。

 ただし、「就活」ではなく「転職」なので、単純な希望だけでなく「自分は何ができるのか」とセットで考える必要があります。そのためには、それこそAIなどを導入して、サービス内にキャリアアドバイザーに相当する仕組みを用意したいですね。AI導入となるとハードルが高く、まだ先の話になってしまいますが……。

 最近は、「可能性を見つける」ためのアプローチを幾つか試しています。例えば「あなたの『〜したい!』で探そう」は、勤務地とキーワードを選ぶだけで、思いがけない適職とのマッチングを体験できる診断ゲームのようなコンテンツです。

 1月20日から実装された「気になるボタン」も、その1つです。求人情報で気になるボタンを押すと、「どこが気になったのか」を選択形式で選べます。企業はそれを見て、求職者にスカウトメールを送るかどうかを判断します。

 個人情報が企業に開示されるわけではありませんので、気軽に押してください(笑)。スカウトメールが来れば、あなたが採用対象であることが分かりますし、メールの内容を読んで気が進まなければ応募しなければいいだけなので、気負う必要はありません。

 今後もいろいろなサービスを提供しますので、既に転職を考えている人はもちろんですが、今すぐ転職を考えていない人も、まずは登録してみてください。自分では気が付かなかったあなたの可能性が広がると思いますよ。

写真:くろださくらこ


特集:「Connect 2018」

 「IoT」に代表されるように、今やITであらゆる物事が「つながる」ようになりました。全ての物事がつながる今、企業はITに対するスタンスやビジネスに対する考え方を大きく変える必要があります。他の企業とどう協力するかという戦略も、成長に必要不可欠だといえるでしょう。

 本特集では、ベンダーやユーザー企業、ITやOTなど、さまざまな垣根を超え、全ての物事がつながる「未来」の姿を企業のトップに聞いていきます。


特集ページはこちらのバナーから!

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る