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「95%の消費者は買い物でロボットに話し掛けたいと思わず」――3カ国での調査店舗内のセルフ決済キオスクなどに期待

Oracle NetSuiteなど3社の共同調査により、米国と英国、オーストラリアの消費者は店舗やオンラインで買い物をする際に、ロボットに話し掛けたいとは思っていないことが分かった。成功のカギは必ずしも先進技術にはないという。例えば店舗に在庫がない商品を購入できる店舗内キオスクなどの改善策があるという。

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 Oracle NetSuiteは2018年1月15日(米国時間)、調査会社Wakefield Researchや小売りコンサルティング会社The Retail Doctorと共同で実施した調査により、消費者は店舗やオンラインで買い物をする際に、ロボットに話し掛けたいとは思っていないことが分かったと発表した。

 米国と英国、オーストラリアの消費者1200人と小売業者の経営幹部400人を対象に調査を実施。小売環境やソーシャルメディア、パーソナライゼーションの他、チャットbotや人工知能(AI)、仮想現実(VR)といった先進技術分野で買い物客が求めるものと、小売業者が提供するものが大きく食い違っていることを浮き彫りにした。

 The Retail DoctorでCEOを務めるBob Phibbs氏は、次のように述べている。

 「顧客を混乱させたり、不安にさせたりすることを望んでいる小売業者はいないが、半数以上の回答者が買い物中にそのように感じていることが分かった。常識に反して、(2000年代初頭までに生まれた)ミレニアル世代は店員に助けてほしいと願っている。さらにほとんど全ての回答者が実店舗を重視していると答えた。店員が顧客の手助けとなるような相互作用を形成することが重要なのだ」

 調査結果の概要は次の通り。

小売業者と消費者のすれ違いが目立つ

 小売業者は、オンラインと店舗内の両方について顧客のエクスペリエンス向上に多大な投資を続けているが、急速に変化する顧客の期待に対応できていない。

  • 小売幹部の73%は、過去5年間に小売店の全体的環境の魅力が向上したと考えている。だが、そう考える消費者は45%にとどまり、19%は、魅力が低下したと答えている。
  • 小売幹部の80%は、店舗内スタッフがより積極的に接客すれば、消費者が喜ぶと考えている。これに対し、そう考える消費者は半分未満(46%)で、28%は、煩わしさが増すとしている。
  • 小売幹部の79%は、チャットbotが顧客ニーズを満たしていると考えている。だが、3分の2の消費者はそう考えていない。現在のチャットbotはショッピングエクスペリエンスに役立つよりも、エクスペリエンスを損なっているとの声が出ている。
  • ほぼ全ての小売幹部(98%)が、ソーシャルメディアによる顧客とのエンゲージメントは、顧客との関係を強化する上で重要と考えている。これに対し、このエンゲージメントが、ブランドに対する考え方や感じ方に重要な影響を与えると考える消費者は、12%にすぎない。

パーソナライゼーションが提供できていない

 半数近く(42%)の消費者、ミレニアル世代ではほぼ3分の2(63%)が、パーソナライゼーションの高度化に対して対価を支払う意向を示している。

 だが、パーソナライズされたエクスペリエンスを消費者に提供するために必要なツールをスタッフが持っていると確信している小売幹部は、11%にすぎない。パーソナライゼーションの高度化に対する消費者の需要と、小売業者がそれを実現する能力のギャップが、顧客エクスペリエンスを損なっている。

  • 消費者の80%は、店舗内でもオンラインでも、パーソナライズされたショッピングエクスペリエンスを自分が受けているとは感じていない。
  • 消費者の過半数(58%)は、小売店が技術的な手段で提供しているショッピングエクスペリエンスのパーソナライゼーションの改善方法に不満を持っている。半数近く(45%)は、オンラインでパーソナライズされた提案を受けると、否定的な感情を感じると答えている。
  • 消費者の半数以上(53%)は、最後に店を訪れたときに否定的な感情を感じており、現在の小売店に信頼を感じる消費者は39%にとどまる。

新技術は特効薬ではない

 小売業者は、急速に変化する顧客の期待に応えるために必要なツールや情報を持っていないことを自覚している。だが、この調査では、AIやVRといった現在もてはやされている技術でも、この状況は解決されないことが明らかになった。

  • ほぼ全て(90%)の小売幹部は、先進技術によるショッピングエクスペリエンスのカスタマイズが、消費者ニーズを満たしているという自信を持っていない。
  • 小売幹部の79%は、店内でAIやVRを使用することで、売上高を伸ばせると考えている。だが、技術が購入決定に大きく影響すると考える消費者は、14%にすぎない。
  • ほぼ全て(98%)の小売幹部は、店内のAIやVRが来客を増やすと考えている。これに対し、消費者の48%は、店を訪れる可能性にAIやVRが影響するとは考えていない。

シンプル化や効率化が支持される

 オンラインショッピングは確かに人気を博している。だが、小売業者がショッピングエクスペリエンスを簡単かつシームレスに保つことができれば、消費者は今後も実際の店舗で買い物を続けると予想される。

  • ほぼ全て(97%)の消費者が、実際の店舗に足を運んで品物を買う必要があるという認識を示しており、70%が、魅力の高い小売店は、ショッピングエクスペリエンスをシンプル化し、効率化する機能を備えていると考えている。
  • 消費者が実際の店舗の魅力的な機能として挙げている項目の上位は、オンラインとの一貫したオプション(36%)やシンプルな店舗レイアウト(35%)、モバイルデバイスでの注文(29%)、店舗にない商品を購入できる店舗内キオスク(23%)だ。
  • 消費者が店舗やオンラインで買い物時に利用したい先進技術として挙げている項目の上位は、セルフ決済キオスク(38%)やVR試着(23%)、モバイル決済(15%)だ。最も利用したい技術としてロボットやチャットbotを選んだ消費者は5%にすぎない。

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