連載:問題発見能力を高める(6)

スキルの相互関係を理解し、
問題発見力を高める!

リアルナレッジ
秋池 治
2004/12/23

○日本史と世界史

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  ちょっと高校生のころを思い出してみてください。当時、歴史を“日本史”と“世界史”の2つの科目として勉強しましたね。筆者も「いや虚しな(1867年)、大政奉還」なんてごろ合わせをなぜだかいまでも覚えています。ほかにも「銃ごよみ(1543年)、鉄砲伝来種子島」など意外に覚えていたりします。

 そのくせ本当に歴史を理解しているかというとそうでもないのです。

 今年のNHK大河ドラマは新撰組でした。去年たまたま知人から紹介された新撰組に関する書籍(「新選組―時代に翻弄された誠」)のリアルな時代描写により幕末に興味を持ち、当時を少し勉強し直してみました。

 そこでクイズです。

問1 このころのアメリカではどのようなことが起きていたでしょう?
問2 このころのフランスは誰が統治していたでしょう?
問3 このころ生まれた企業の創始者にはどのような人物がいるでしょう?

 そして解答です。

解答1
アメリカは南北戦争の時代です(1861〜1865年)
アメリカではイギリスからの独立戦争が終わり、国を2つに分けた南北戦争の真っただ中で、リンカーン大統領の時代
解答2
フランス皇帝ナポレオン3世(1769〜1812年)の時代
  皆さんもご存じの“ベルサイユのばら”のフランス革命(1789〜1799年)を経て、ナポレオン3世の時代
解答3 豊田織機の創業者である豊田佐吉(1867〜1930年)、フォードのヘンリー・フォード(1863〜1947年)などが誕生している

 新撰組が活動していた幕末をさらに大きな視点(メタ思考)でとらえてみると、19世紀末の産業革命がイギリスからヨーロッパ、アメリカに広まっていました。産業革命によって飛躍的に伸びた生産性、それによってもたらさせる経済力や軍事力によって勢力を拡大しようとするイギリス、フランスをはじめとするヨーロッパ各国は植民地を求め東へ東へとその勢力を拡大していました。また、ヨーロッパから西方のアメリカ大陸へ目を移すと、アメリカがイギリスからの独立を求めた独立戦争(1775〜1783年)を経て、南北戦争(1861〜1865年)のさなかでした(映画「風と共に去りぬ」は南北戦争の時代を舞台にした作品で、新撰組と同じ時代だったことを最近知りました)。

 こうして見ると、イギリスをはじめとするヨーロッパ各国が東周りにアジア進出することに対抗し、西周り(太平洋)からアジアに進出したいアメリカ。さらに北からアジアに南下するロシア。このような背景から、世界の各国が日本に開国を迫るのは当然のことだったのでした。

 産業革命、ヨーロッパの国々の力関係、アメリカ、ロシア、そしてアジアの中の日本。この関係こそが幕末当時の日本を取り囲む時代の“フレームワーク”です。

 筆者の場合、日本史、世界史という別々の教科として学び、ごろ合わせによって年号を暗記したはずの歴史ですが、それぞれの歴史的出来事の関連性を理解し、当時の“時代感”を正しく認識していたとはいえませんでした。

 新撰組が結成された1863年、ロンドンでは地下鉄が開業し、経済誌の「エコノミスト」はその20年も前にイギリスで創刊されていました。このような日本と諸外国のギャップは幕末に最大となり、その後明治を迎えると急速にその差を縮めてゆきます。現在世界各国が生産拠点として、そして世界最大のマーケットとして中国への進出を進めています。ここ数年の中国は情報伝達や経済の成長、そしてビジネスの観点で、当時の日本と共通する部分がありそうです。とすれば当時の日本で起き急成長したサービスなどは、現在の中国でも急成長する可能性があります。このように断片的な知識としての歴史は活用の機会がありませんが、フレームワークを理解し知恵とした歴史は現在や未来にも応用し活用することが可能です。

 今回は問題発見力の強化のために「問題発見力」のフレームワークとフレームワークそのものの重要性についてお話ししました。次回はこのフレームワークの基礎であり、問題発見力の最も重要なスキルである構造化スキルについて詳しく解説する予定です。

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 INDEX
スキルの相互関係を理解し、問題発見力を高める!
  Page1
・知恵と知識とフレームワーク
・「問題発見力」を構成する各スキルの相互関係(フレームワーク)
Page2
日本史と世界史


要約
今回は問題発見力の強化のために、「問題発見力」を構成する各スキルの相互関係について考えてみる。問題発見力は、「理解力、論理展開力(構造化スキル)」「プレゼンテーションスキル」「ヒアリングスキル(コミュニケーションスキル)」「柔軟な発想力(解決案の発想)」の4つのスキルから成り立っている。

これらのスキルは、仮説構築、仮説の検証、問題の理解、解決案の発想、解決案の提示という5つのステップごとにそれぞれ必要なものが定められており、それらの相互関係を理解することが重要だ。例えば、仮説構築や問題の理解においては構造化スキルが、解決案の発想では柔軟な発想力が特に重要となる。

この必要なスキルとステップを“フレームワーク”として理解することで、これらの複雑な関係を理解しやすくなる。例えば、日本史や世界史では、年号をごろ合わせで覚えている場合が多いが、年号を覚えるだけではその背景までは理解できていないため、それぞれの歴史的出来事の関連性を理解することが難しい。このように、フレームワークを持たずに断片的な情報を暗記しても、あまり実用的ではない。

Profile
秋池 治(あきいけ おさむ)
株式会社リアルナレッジ 代表取締役
横浜国立大学卒。メーカー系情報システム会社にてシステム企画とシステム開発に従事。その後、ユーザー系企業でデジタルビジネスの企画および社内改革に取り組む。2003年に数名の仲間とともに株式会社リアルナレッジを設立、業務プロセスの可視化やプロセスの最適化により、経験や勘に依存せず業務を遂行するためのパフォーマンスサポートを提供している。
著書に「情報エキスパート」(アプライドナレッジ刊)がある。
e-mail:akiike@realknowledge.co.jp


「問題発見能力を高める」


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