“構造化スキル”を鍛えて、 問題発見力を高めよう!問題発見能力を高める(7)(1/3 ページ)

前回は「問題発見力」を構成する各スキルの相互関係について考えた。今回はその中でも、理解力や論理展開力を高めるために必要となる“構造化スキル”について説明する。

» 2005年02月25日 12時00分 公開
[秋池 治@IT]

 前回は「問題発見力」を構成する各スキルの相互関係についてお話ししました。今回はその中で理解力や論理展開力を高めるために必要となる“構造化スキル”について説明します。

「問題発見力」と必要なスキル構成

 第5回 質問力を鍛えて問題発見能力を強化しよう!では、“ヒアリングスキル”についてお話ししましたが、このヒアリングスキルも単独ではその効果が少なく、構造化スキルと組み合わせて併用することで仮説検証の効果を高めることができます。また、“構造化スキル”は解決案の提示においても“プレゼンスキル”と組み合わせて利用しますし、“その他仮説構築”や“問題の理解”でも必要なスキルであり、問題発見(問題解決)を行うための根幹を支える非常に重要なスキルといえます。

理解力と論理展開力は同じスキルによって成り立っている

 理解力はほかの人との会話や会議でのやり取りなどで、その内容を把握すること、または書籍や議事録、仕様書などのドキュメントを通してその内容を把握することなど、情報を受け取るときに利用する受動的な場面で使う能力といったイメージです。それに対して論理展開力は、ほかの人との会話や会議で自ら発言する際や、プレゼン資料の作成時や設計など自らの考えを相手に伝えるときに利用する能動的な場面で使う能力といったイメージがあります。

 このように理解力と論理展開力は用途が違うのですが、それぞれの力を発揮する際に必要なスキルは、形のないものを頭の中で組み立てて認識する“構造化スキル”という共通のスキルです。

 例えば、Aさんが最近読み学ぶべき点が多かったビジネス書をBさんに説明している場面を思い描いてみてください。AさんはBさんに書籍の内容を理解してもらえるように懸命に頭を働かせています。また一方で、Aさんの説明をできる限り理解しようとするBさん。

 このとき2人は、いまそこに“モノ”として存在していない「書籍」を頭の中でイメージし共有するという共同作業(コミュニケーション)をしているといえます。このとき両者のイメージのずれが少ないほどコミュニケーションの質が高まります。そのキーポイントが“構造化スキル”というわけです。

 ビジネスにおいても、このようなケースが多くあるのではないでしょうか。

  • 情報システム部門のSEが、社内のほかの部門の担当者から業務プロセスの説明を受ける
  • SEが顧客から業務上の問題点を説明してもらう
  • マネジメント上の課題を部長と課長で話し合う
  • etc.

 このような場面では、説明資料を用いてやり取りをすることが多いですが、それぞれの初期の段階では会話の中でそのきっかけをつかむことも少なくありません。特にソリューションを提供する初期では、資料がない中で相手の問題点や課題を的確につかみ上げることが重要です。

 その際に“構造化スキル”によって理解力や論理展開力が強化されていれば、相手も気付いていないような潜在的な問題に対するソリューションを提供することも可能になります。

構造化スキル

 では、構造化スキルとはどのようなものなのでしょうか。第6回では水の分子構造を表す分子モデルを紹介しました。

 これは次のようなこと(文章)を説明しているものです。

  「水分子というのは、酸素原子1つに、水素原子2つが結び付きできている」

 このように対象を構造化して表したものを“構造図”や“マップ”といいます。そして対象を上記のように構造に置き換えて、理解したり考えたりするスキルを“構造化スキル”といいます。

 “構造化スキル”を高めることにより理解力や論理展開力の強化が可能になりますが、実際にはどのようにしてトレーニングすればよいのでしょうか。

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