連載
改革現場発!
製造業のためのIT戦略論 第3回

使われるPLMのための
3つの条件

2004/8/17
ネクステック
安村 亜紀

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これまで2回にわたって、部品レベルでの経営戦略の有用性と、それを実現するPLMの重要性について解説してきた。今回は、PLMを実現する実装手段について考えていく(記事要約<Page3>へ→)


<編集局より>
本連載は、製造業専門のコンサルティング会社「ネクステック」のコンサルタント、プロジェクトマネージャの取材を基に、受注生産型産業、半受注生産型産業、部品点数が多い量産産業(自動車、自動車部品)など、組み立て製造業特有の経営課題やIT導入に関する問題解決を考えていきます。それぞれのテーマに合わせ、登場人物が変わります。取材・執筆はネクステックのマーケティング担当・安村亜紀氏です。

■PLMプロジェクトの難関──実装段階の勘所

 製造業のIT化を考える際に重要な点として、

  • 品目/ユニットといった“モノ”の単位で戦略を取ること
  • その戦略を可能とするPLMの要素を含んだアプローチを取ること

の2つを、前回までの2回にわたって解説した。

 PLMは、トランザクション・システムではなくマスタだ。そのため、製品情報データのモデリングを軸としたアプローチを取ることが重要になる。そこで今回からは、PLMをシステムに実装する場合、どのような点に気を付けて実施するべきなのかを解説したい。

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 ネクステックはコンサルティング色が強いので、意外と思われる読者も多いだろうが、産業機械や車両など、部品点数が数万点ある巨大産業にPLMシステムをスクラッチ開発して提供してきたケースが多数ある。

 PLMプロジェクトは非常に難しい。なぜならPLMは、設計・開発・生産・営業など複数の部門にまたがるシステムだからだ。まずコンサルティングフェイズの段階から、組織横断的に沢山の業務と関係者をまとめていかなければならない。大規模かつ少々難解なプロジェクトなのだ。

 そしてコンサルタントたちが美しい絵を描いて実装チームへ“よろしく”と渡す。開発部隊は、その絵をシステムで実装して現実のものとしなければならない。また、システム実装のフェイズに入ってもさらに難しさは加速する。既存システムとのインターフェイス、コード体系の統一、業務統合する/しないなど、コンサルティングフェイズが終わっているとしても、システム実装の段になってから、課題はどんどん発生する。

 実装の際は、クライアントと要件を取り決め、仕様を落としていく作業がキーとなる。しかしどんなに素晴らしい設計によるシステム仕様ができても、最後に最大のボトルネックになってくるのはシステムのレスポンス問題、つまりパフォーマンスの問題だ。

 第3回では、PLMをシステム実装する場合の勘所をネクステックで手掛けるシステム開発導入プロジェクト全体の指揮を執る取締役テクノロジディベロップメント部 ディレクター 山口博之氏の話を基に、PLMシステム開発プロジェクトの勘所を明らかにしていく。

●今回の取材先
ネクステック 取締役 テクノロジディベロップメント部 ディレクター 山口博之氏


関西学院大学経済学部卒業。日本ユニシス・ソフトウェアで製造業向けシステム開発導入に従事した後、椿本チエインでFAをはじめとした制御システム開発に従事。その後国内ソフトウェアベンダにて製造業向け生産管理システムおよびPDMパッケージの開発に従事し、2001年ネクステックに移籍し、会社立ち上げに参画、現職に至る。現在、重工業メーカーや機械メーカーのPLMやBOMシステムの開発導入プロジェクトマネジメント、および自動車関連産業のPLMや生産管理システムのアドバイザリ業務に従事。同時に、ネクステックで蓄積したシステム開発導入、データモデリングノウハウの体系化に従事。

■パフォーマンス・拡張性・保守性が最大の課題

 業務改革やIT導入では、実際にエンドユーザーが新しい仕組みを十分に活用して初めて効果が上がる。どんなに素晴らしいプランが描けたとしても、それだけでは意味がない。まずは、PLM関連の業務改革やシステム導入に関係するユーザー企業からの声に着目してほしい(図1参照)。

図1 ネクステック2002-2004調査結果。有効回答PLM関連の業務改革およびシステム導入関係者1356件(複数選択)

 PLMは関係する部門も人も膨大であるうえ、データの量もユーザー数もほかのシステムの比でない程多く、かつ永続的に増え続けていく。そのためPLM導入に際しては、必ずといっていいほどパフォーマンス(レスポンス)が問題になってくる。「動く」といいつつ、レスポンスに数十時間要するパッケージ製品も市場にはかなりある。数十時間? 例えば、品質に問題がある部品を製品の構成上から逆展開して、その部品が使われている製品はどれなのか検索をするのに一晩かかる計算になる。夜間バッチじゃあるまいし、それは果たしてシステムが動いたと言っていいのだろうか?

 また、製造業は業種業態や取り扱い製品も各社各様なので、パッケージカスタマイズやシステムの大規模な変更に関して難易度が高い。扱う製品の特性と仕事の仕方を組織横断型に反映したシステムでないと、現場では使ってもらえない。システムの運用設計やデータモデリングが不十分な場合、「情物の不一致」が起き、エンドユーザーから信用されなくなり、強いては使われないシステムになっていく。

 図1のデータは、製造業のPLM/CPCシステム導入を経験したユーザー約1500名から取ったアンケートに基づいて構成されているので、この結果が現実界としてのファクトといえる。

 これらの事実から、PLMやBOMシステムの実装・定着に際しては、特にシステムの「パフォーマンス」と、「拡張性」「保守性」を十分考慮したアーキテクチャとテクノロジの選択が必要であることが分かる。では具体的に、この3点を実現する手段について解説しよう。

第2回
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 INDEX
製造業のためのIT戦略論(3)
 使われるPLMのための3つの条件
Page1
 ・PLMプロジェクトの難関──実装段階の勘所
 ・パフォーマンス・拡張性・保守性が最大の課題
  Page2
 ・パフォーマンスとの戦いは最初から始まっている
 ・拡張性・保守性を確保するアーキテクチャとは
  Page3
 ・低速通信環境でも使えるシステム作りとは

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