
| 連載 | オフショア開発時代の「開発コーディネータ」(6) |
中国オフショア開発における
生産性と品質のバランス
幸地 司
アイコーチ有限会社
2005/2/15
| - | 日本側の品質意識を理解してもらうのには2週間必要? |
先ほどは、こうした品質保証活動を「標準的な知識」だと紹介しました。ところが、先述したように中国オフショア開発では「理屈で分かっていても運用できない」という声が後を絶ちません。実際の開発現場では、次のような会話が毎日どこかで繰り広げられています。
◇日本人担当者
「当初のテスト実施計画では、システム規模○○に対してチェックリストを△△件、バグ摘出目標値が××件だった。ところが貴社のテスト実施報告によると、実際には約束したバグ摘出目標値より少ない。潜在バグがあるはずだ。いったいどういうことだ。その根拠を説明せよ」●中国側リーダー
「単体テスト用のテストクラスを作成しながらコーディングしたので、単体テスト時のバグ摘出件数は少ない。もちろん、コーディング中にはたくさんのバグを修正した。しかし、意味がないのでまったく記録していない(何か問題あるか?)」◇日本人担当者
「……」
中国オフショア開発では「計画と実態が異なる」という話は、「いった、いわない」の議論と同様に頻繁にお目にかかります。状況にもよりますが、品質については日本側が主導権を発揮すべきだと筆者は考えています。中国ベンダのやり方に少しでも疑念を持ったら、その問題は必ず顕在化します。これは有名なマーフィーの法則にも合致します。
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中国ビジネスでは、「約束事項が文書化されていたとしても中国側は納得していなかった!」なんてことはよく発生します。この事例では、中国側の主張にも一理あるかもしれませんが、長い目で見るとやはり基本原則を守ることを優先させましょう。
このプロジェクトを担当する中国ベンダ側のリーダーは、日本語が堪能で、なおかつ品質意識も優れていました。「ワンランク上の中国人リーダー」と評判の彼でしたが、日本の厳しい品質基準にすべて応えるのは無理があったようです。初めのうちは、現場で何度も押し問答をしていましたが、一向にらちがあきません。最終的には、中国ベンダの最高責任者を巻き込み2週間かけて問題を解決させました。日本側の品質意識を理解してもらうのに2週間必要だったともいえます。
◇
今回はプロジェクトマネジメントの話題が中心にお届けしましたが、次回は組織的なプロジェクト推進機能について言及しようと思います。ご期待ください。
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| ■要約 中国オフショア開発においては、日本人と中国人の気質の違いに関する問題で苦労する場合が多い。しかし、その“中国人気質”を理解し、うまく利用すれば、納得いく仕事ができるはずだ。今回は、中国人気質を上手に利用した「品質管理」方法を紹介する。 ある中華料理店では、中国人アルバイトの扱いに困っていた。そこで、従来の時給制から完全出来高払いに契約を変更したところ、このアルバイトは非常に働くようになった。一方で、効率を優先するあまり、品質低下が起こる可能性がある。出来高制にする場合には、この点に注意する必要がある。 ソフトウェアの品質管理では、テスト工程でのテスト件数やバグの発生率に着目した品質基準が有効だ。さらに、デザインレビューに関する品質基準を設けることで、中国人が本能的に持つ「レビュー指摘」に対する嫌悪感を緩和して、デザインレビューの活性化を図ることができる。 |
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オフショア開発時代の「開発コーディネータ」 バックナンバー
- 第1回 中国ソフトウェア業界の実力とオフショア開発の勘所
- 第2回 中国オフショア開発の成功と失敗の実態
- 第3回 なぜ、中国オフショア開発の見積もりは高いのか?
- 第4回 いいかげんにして! 日本企業─中国に嫌われる理由
- 第5回 続・いいかげんにして! 日本企業─理不尽な態度
- 第6回 中国オフショア開発における生産性と品質のバランス
- 第7回 中国オフショア開発の失敗を減らす組織的対策とは?
- 第8回 中国オフショア開発に向く仕事、向かない仕事
- 第9回 そんな指示じゃできません! 中国企業の叫び
- 第10回 ベトナムを徹底分析! 中国とどっちがいい?
- 第11回 本当は付き合い残業したくない〜中国に無言の圧力
- 第12回 中国人は質問したがり、したがらない、本当はどっち?
- 第13回 日本と中国の英語、現地ではこんな会話がされている
- 第14回 中国人ブリッジSEの意外な落とし穴
- 第15回 中国オフショア開発で日報を書かせる秘訣は?
- 最終回 中国人の日本型開発アプローチに対する本音は?
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