
| 連載 | オフショア開発時代の「開発コーディネータ」(11) |
本当は付き合い残業したくない
〜中国に無言の圧力
| - | 中国に進出したものの、現地化に苦しむ日系ベンダ |
「中国人学生の間では、『入社2年目までが最高。3年目からは最悪』と一般的にいわれているそうです」(ジェトロ上海センター所長/China Walker 2005年6月号)
○入社3年目以降は、将来に期待が持てないのが日系企業
中国では、日系企業の評判が良くないという噂をよく耳にします。実際には、日系企業の幹部社員としていきいきと活躍する中国人もいるのですが、残念なことに「日系企業は最悪」という雰囲気が形成されているのも事実です。前出のジェトロ上海センター所長のコメントには、続きがあります。
「日系企業の社内教育は、OJT(on the job training)を代表として入社3年目まではきめ細かく行われます。しかし、その後には能力主義の弱い人事システムにより、優秀な中国人にとって、入社3年目以降の社内教育には将来に期待が持てないのが日系企業の内情なのです」
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あなたの会社では、日本人とまったく同じ社内教育を画一的に中国で展開していないでしょうか。入社時期や保有スキルによって、変化させることの必要性について考えてみましょう。いまのやり方では、優秀な中国人人材の流出の波は止められないでしょう。
| - | 現地採用はすべて本社決裁、では間に合わない |
「新しく日本語通訳を採用したいと思って候補者に内定通知を出したのですが、日本本社の稟議中に他社に取られてしまいました」(上海日系ベンダ/採用責任者)
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上海近辺の日本語通訳の給与相場がどれくらいかご存じでしょうか。日本への留学経験なし&技術音痴というレベルですと、およそ2500元前後(手取り額)とされています。日本円にすると約3万5000円です。ただし、「日本での就業経験あり」「仕様書が読める」「顧客と一対一で会話できる」などの条件がそろうと、月給は青天井となります。しかし、現実には月給3万5000円の人を雇うために、日本本社の承認が必要なのです。周囲の中国人社員は、上海拠点の日本人責任者には「責任」がないと嘲笑しているかもしれません。
筆者が上海で定期開催する「上海オフショア開発交流会」では、参加者の1人が日本企業に対して、発注責任の在り方を根本的に見直す必要があると厳しく指摘しました。
「1990年代、日本企業がインド・バンガロールの会社に発注するときには、英語が堪能な社内トップクラスの人材をアサインしたものです。ところが、中国企業が相手だと話がまったく異なるのです。発注担当者は、中国語をしゃべることができないばかりか、社内でも2流の人間ばかりだ」というのです。
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| 工業製品が展示されている大連展示センター |
| - | 「技術研修」一辺倒から、「人材育成」へ |
○中国オフショア開発の人材育成に欠かせない3ステップ
従来の中国オフショア開発の現場では、個人の技術習得だけに目が奪われて、チームワークや部下の指導といったビジネス面が著しく劣っていました。これからは、中国人の若い世代に対して、ソフトウェアの品質意識やテスト技術に関する研修を実施していくべきでしょう。
上海を拠点に活動するオフショア開発コンサルタントの末富昌幸氏は、「開発現場を想定した具体的なケーススタディー形式で学ぶことが有効」と指摘します。そして、中国オフショア開発の勝敗を決する大きな要因は、「いかに優秀なリーダークラスの人材を多く獲得、育成、定着できるか」だと力説します。
「獲得」……新卒採用にも力を入れる企業が増えつつある
「育成」……「技術研修」一辺倒から「人材育成」へ
「定着」……給与以外の魅力でリーダークラスの人材を定着化させる
成功の鍵は優秀な中国人リーダー層を引き付ける人事評価システムの重要性に始まり、日本語トレーニングや日本的ビジネス感覚の習得といった方面に展開します。「(人材を)カネで釣ったらカネで逃げる」、これは万国共通の法則です。中国人は「就社」ではなく「就職」と考えます。あなたの会社には、採用や人材育成の前提となる明確な事業戦略があるでしょうか? もう1度、見直してみましょう。
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