思いついた未来を軽量言語で実装してみよう

プロトタイピングツールとしてのLL


佐藤 伸吾
株式会社ケイビーエムジェイ

2008/10/24

電脳スターラリー

 神南TVというインターネット放送局があります。24時間インターネットライブ放送を毎年8月の最終土曜日から日曜日にかけて実施しており、今年で8年目となります。

 この放送に合わせてアイラボの代表取締役である伊藤剛氏が自転車を絡めた企画を毎年実施されています。2007年は「24時間で挑む!自転車のGPS軌跡で地上絵作成!」ということで、一都三県にまたがる巨大な「愛」の字を描かれました。

一都三件にまたがる「愛」の文字

 今年は「電脳スターラリー」と題して、あらかじめ都内各所に電脳スター(実世界ブックマーク)を設置しておき、電脳スターの位置をリアルタイムに確認できる拡張現実システムを搭載した自転車で、すべての電脳スターを24時間以内に回収するという企画を実施しました。

左)拡張現実システム搭載自転車
右)電脳スター

 位置情報連動口コミ共有サイト「ジオクリ」、拡張現実システム搭載自転車、そして観戦ページ。この3つをつなぎ合わせる役目を果たしたのが「電脳スターラリーサーバ」です。

 電脳スターラリーサーバのアプリケーションはRuby on Railsで構築しました。「ひらめいたアイデアを素早く実装して形にしてみる」という用途にも、 Ruby on Railsは絶大な威力を発揮します。

電脳スターラリー観戦ページ

自走式Webサーバ

 Ruby on RailsからチョロQを操縦するシステムを発表した際に、「チョロQの運転席からの眺めを見ながら操縦できたらよかったのに」というご意見をいただきました。チョロQにWebカメラを搭載すれば、Ustream.tvなどのWebサービスを用いて動画中継ができそうです。

 しかし、チョロQにWebカメラを搭載するのは難しそうです。小さなチョロQがWebカメラの重量を支えたまま走行できるとは思えません。そこで「チョロQではなく、いっそのこと本格的なラジコンを制御してみてはどうか」「せっかくだからWebカメラだけではなくノートパソコン、つまりWebサーバ自体をラジコンに搭載し、自走するWebサーバを制作してみてはどうか」というアイデアを思い付きました。

 ラジコンを制御するとなるとチョロQの制御に比べて大幅に難易度が上がりそうでしたので、メカロボショップ岩崎修氏に相談し、ハードウェア側の制作についてご協力いただきました。

 RCサーボの制御にはPololu Corporation社のマイクロシリアルサーボコントローラを採用しました。PCのUSB端子に接続してシリアル通信を行うだけで、RCサーボの制御を行えます。送信コマンドも非常にシンプルです。

 Rubyにはシリアル通信を行うためのライブラリも存在しており、シリアル通信などのハードウェア制御も比較的簡単に行えます。

未来のコンピューティング

 現在のITはWebが主役であるといえると思います。天気や電車の乗り換えを調べたり、友達とSNSでコミュニケーションをしたり、非常に便利な世の中になりました。

 一般的にはあまり意識されていないかもしれませんが、ネットに接続されているのはコンピュータだけではありません。さまざまな計測器やセンサーなどもネットに接続されています。ところが、そのことは広く一般的に知られているとはいえないのではと思います。

 私たちの生活において身近なハードウェア、例えば、現在ではデジタルとまったく関係のない傘立てまでもがネットに接続され、玄関を出るタイミングで自動的に「傘を持っていくことをお勧めします。今日は17時ごろに帰宅予定ですが、15時から20時くらいにかけて雨が降りそうです」とお知らせしてくれる生活を想像してみてください。

 この傘立ては、玄関での人の出入り、顔認識による家族内での個人特定、オンラインカレンダーからの予定取得、ネットからの天気予報情報取得、これらのデータを基にしたせりふの作成、および音声合成によるお知らせという構成要素をつなぎ合わせれば実現できそうです。

 そして、これらの構成要素はすでにネットサービスおよび各種ライブラリにて実現されています。後はのり付けを行う多少のロジックを記述すれば現状でも制作可能です。こういったアイデアを気軽に実装するためのツールとして、LLは非常に魅力的であると思います。

 今後、日常生活の中のさまざまなシステムにおいて、各種ハードウェアの制御システムやGPUによる高度かつ高速な画像処理システムなどがインターネットによって結合され、私たちのデジタルライフスタイルがより便利に快適になっていくと私は考えています。

 私は今後もLLを活用して、さまざまなアイデアを形にして、未来のデジタルライフスタイルを模索していきます。皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

2/2
 

Index
思いついた未来を軽量言語で実装してみよう
  Page1
プロトタイピングツールとしてのLL
RailsからチョロQを操縦する
「電脳メガネのようなもの」を自作する
Page2
電脳スターラリー
自走式Webサーバ
未来のコンピューティング

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