可用性要件を満たすシステム構成とは
株式会社アシスト
データベース事業部
佐瀬 力
データベース事業部
佐瀬 力
前回までは、リレーショナルデータベースの設計やOracle Databaseの基本アーキテクチャ、データアクセス方法について説明してきました。今回は、データベースシステムに求められる非機能要件について整理し、中でも優先度の高い可用性要件を満たすデータベースシステムの構成について解説します。
データベースシステムに必要な非機能要件とは
システムの要求仕様には、機能要件と非機能要件があります。機能要件は利用者の要求を満たすためにソフトウェアが実現しなければならない、システムの動作や処理内容のことです。非機能要件は機能要件以外の要求仕様であり、性能や信頼性(可用性)、セキュリティなどに関する要件を指します。
表1 非機能要件の一覧| 非機能要件 | 説明 |
|---|---|
| 可用性 | システムがどれぐらい障害に強く、安定して稼働すべきか要求する項目です。平均故障間隔(MTBF)や平均故障修復時間(MTTR)で表現されます |
| スケーラビリティ | ユーザー数や処理量の増加に伴う負荷の増大にどの程度対応できるかを要求する項目です。ハードウェアの台数を増やして対応するスケールアウトとハードウェアを高性能なものに置き換えるスケールアップがあります |
| 性能 | システムの応答速度や処理のキャパシティに対する要件です。処理の平均もしくは最大応答速度やスループット(単位時間当たりの処理量)で表現されます |
| セキュリティ | システムのデータ保全をどのようにすべきか要求する項目です。監査証跡の保存や暗号化、アクセス制御といったものが挙げられます |
| トランザクション | 関連する複数の処理を行った際、整合性を保持するか要求する項目です。Oracle Databaseにはトランザクション機能があるので、この要件を満たします |
| ユーザビリティ | インターフェイスの使いやすさを、どの程度、誰をターゲットに作成するか要求する項目です。 |
| インターオペラビリティ | 組織内や企業間などでのシステム同士の接続性要件です |
| ポータビリティ | 異なるハードウェアやソフトウェア環境で動作することを保証するものです |
| 保守性 | システムメンテナンスにどれほど柔軟に対応できるか示す項目です |
| 再利用性 | そのソフトウェアをほかのシステムでも利用できるか示す項目です |
| 運用容易性 | 教育や高いスキルを必要とせず運用可能か示す項目です |
データベースシステムにおいても、これらの非機能要件を実現するハードウェアやソフトウェア(RDBMS)の機能をうまく取り込んだシステムを構築することが求められています。
今回はこれらのうちでも重要な可用性に注目して、可用性を実現するデータベースシステムの構成について紹介します。
可用性要件を考える際の観点
データベースシステムの可用性で考えるべきことは、「どのポイントの可用性を高めるか」という点です。例えばシングルインスタンス構成のOracle Databaseを考えてみましょう。
Oracle Databaseは、データを格納するデータファイルおよびそのほかのファイルで構成されるデータベースと、その管理を行うプロセス、そしてメモリ領域のインスタンスで構成されます。これが最も基本的な構成である図1のシングルインスタンス構成です。
図1 シングルインスタンス構成の例
※図中のSGAはOracle DatabaseのSystem Global Areaを示します。
シングルインスタンス構成では、インスタンスとデータベースが1対1の関係となっているため、インスタンスが稼働するサーバでハードウェアに障害が発生すると、ハードウェアが復旧するまでサービスを提供できなくなります。また、データベースを構成するファイル群が格納されているストレージに障害が発生すれば、バックアップから復旧させるまではサービスを提供できません。
この、「サーバ」と「ストレージ」に対する可用性をどのように考えるかが、データベースシステムの可用性要件を満たすうえで必要な最初の観点です。
| 1/3 |
| Index | |
| 可用性要件を満たすシステム構成とは | |
| Page 1 ・データベースシステムに必要な非機能要件とは ・可用性要件を考える際の観点 |
|
| Page 2 ・サーバの可用性を高めるには |
|
| Page 3 ・ストレージの可用性を高めるには ・最後に |
|
| ゼロからのリレーショナルデータベース入門 |
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