Database Watch 7月版

データベース業界の戦国地図をウォッチ!
Page 2

加山恵美
2004/07/16

オブジェクト指向/XMLデータベース

 ここではオブジェクト指向データベースとXMLデータベースのカテゴリで見ていきます。

 インターシステムズ社のCachéは長い歴史を持ち、特に医療分野で高い実績があります。米プログレスソフトウェア社のObjectStoreは独自のキャッシング技術により高可用性があり、ECサイトでの高い実績があります。この2製品については、試用レポート記事「オブジェクト指向データベースの復権」を予定していますので、お楽しみに。

 関連記事リンク  
個性派DB「Caché」、RDBの牙城を崩せるか

 これまで紹介してきたRDBMSでも、現在のバージョンでは大抵のものはXMLを処理できて当たり前ですが、XMLデータのツリー構造をそのまま格納できるものをネイティブXMLデータベースと呼びます。XMLの普及により、多様な製品が出てきています。

 例えば、検索の高速性が特徴のNeoCore XMS、その無料評価版Xpriori(ユーザー総合情報サイトXMLDB.jpより入手)、BeaconITが提供するトランザクションに強いTamino、ソニックソフトウェア社が提供する分散XMLキャッシュが高速化を図るSonic XISがあります。

 純国産なら、メディアフュージョン社が提供するYggdrasill/EsTerraがあります。EsTerraはテラバイト級のXMLストレージで、10の12乗を意味するテラ(Tera)とローマ神話の地の女神や大地を意味するテラ(Terra)をかけているのかもしれません。Yggdrasill(イグドラシル)はXMLデータベースエンジンで、北欧神話に出てくる巨大な樹が由来でXMLのツリー構造を例えているそうです。

 このほかにも海外のオープンソース系なら、Apache Software FoundationのApache Xindice、別系統でdbXML Group社がGNUライセンスで提供しているdbXMLがあります。後者のdbXMLは当初は商用でしたが、バージョン2.0からGNUライセンスに切り替わりました。

 ネイティブXMLデータベースに関する詳しい情報は、XML & Web Servicesフォーラムで掲載中の下記記事を参考にしてください。

 関連記事リンク  
XMLデータベース製品カタログ 2003
Xindice:無料で使えるXMLデータベース

データベース関連ツール

 データベース製品を直接提供していなくても、各種製品に対応したツールや独自のツールを提供しているところもあります。

 運用管理なら、システムインテグレータ社からはOracleの統合開発型ツールとなるSI Object Browser、BMCソフトウェア社からはOracleやMicrosoft Windows Serverに対応した運用管理パッケージSmartDBA、Insight Technology社からはOracle管理やパフォーマンスチューニングとなるPerformance Insightなど、ベリタスソフトウェア社からは商用RDBMSのパフォーマンス管理製品が提供されています。

 アプリケーション開発ツールなら、マックインターフェイス社のDB+Forceは各種データベースエンジンに対応した開発支援および移行ツールになっています。こうした商用RDBMSベンダ以外から提供されているツール群も徐々に発掘していければと思います。


開発者コミュニティ

 エンジニアにとって頼もしいのが開発者コミュニティです。生きた知識を吸収したり、製品に対する率直な要望を語り合ったり、困ったときには助け合いの場になることもあります。

 商用RDBMSでも開発者コミュニティを支援したり、ポータルサイトを提供しているところは多くあります。こうしたオフィシャルサイト以外にも数多く派生しているものがあるとは思いますが、オフィシャルなら、IBM DB2のポータルサイトはDB2.jp、Oracleの公式技術サイトはOracle Technology Network(OTN)、SQL ServerユーザーグループはPASSJがあります。

 こうしたコミュニティならオープンソースも当然のことながら活発です。日本PostgreSQLユーザ会、Firebird日本ユーザー会、日本MySQLユーザ会では、オンライン活動を中心に懇談会や各種文献の翻訳を提供しています。オープンソース系はまさにこうした開発者コミュニティによって支えられています。


各種試験情報

 コミュニティがエンジニアの支援なら、各種認定試験は1つの試練ともいえるかもしれません。こうした認定のために勉強することで体系的な知識を整理したり、認定を得ることでスキルのアピールにつなげることもできます。

 データベースエンジニアに関連する資格試験には、まず国家試験となる情報処理技術者試験があります。上位のテクニカルエンジニアではデータベースのカテゴリがあり、かなりの難関となっています。

 より一般的に普及しているのが、ベンダ認定試験です。こちらは随時受験可能で、難易度も多様に分類されています。有名なデータベース関連試験といえば、OracleのORACLE MASTER、IBMのDB2ならDB2グローバルマスター、MicrosoftならMCPやMCAなど幅広くMicrosoftラーニングから資格情報が参照できます。それぞれ、受験対策用のeラーニングや、書籍も充実しています。

 来月からはこうしたサイトを中心にデータベース分野の話題を提供していこうと思います。ではまた来月、お会いしましょう。

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 Index
連載 Database Watch 7月版
データベース業界の戦国地図をウォッチ!
  Page 1
商用RDBMS
オープンソースRDBMS
Page 2
オブジェクト指向/XMLデータベース
データベース関連ツール
開発者コミュニティ
各種試験情報


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