Database Watch 8月版 Page 1

ハチの一撃、ビッグ3に地殻変動を起こせるか?


加山恵美
2004/08/14

 暑いですね。先日は日焼けしないように長袖を着て外出したのに、帰宅したら腕が焼けていて驚きました。いまはUVカットのブラウスを着ています。日焼けも怖いですが、熱中症には気を付けてくださいね。今月は各方面の「新しいバージョン」に目を向けてみます。

Stingerの投入でRDBMSシェアのトップを取れるか、IBM

 Oracleは4月にOracle 10gを出荷開始し、資格体系もこれに対応するなど、新しいバージョンは普及段階にあります。では他社製品のこれから出る新バージョンはどうでしょうか。8月はDB2の次期バージョンとされる「Stinger」を見てみましょう。

 DB2 UDBの現行バージョンはV8.1です。次期バージョンのコードネームはStingerと呼ばれ、常に親指を上げている筋骨隆々としたハチがキャラクタです。Stingerとは、ハチから想像がつくかもしれませんが、チクッと刺すものの「痛烈な一撃」という意味があります。転じて、物語の最後に明かされる「衝撃の事実」という意味でも使われるそうです。ついでですがブランデーを使ったカクテルにもStingerと名の付くものがあります。

 さて本題であるDB2のStingerですが、米国IBMにあるStinger公式サイトでは概要や最新情報が着々と公開されています。日本のDB2公式サイトでも4月20日に開催された「DB2 Partners Day」での講演の内容をStinger紹介ページで報告しています。これらのサイトではβ版もダウンロードできるようになっています。また日本IBMでは「DB2 Day 2004」を9月10日に開催し、Stingerの新機能を紹介するそうです(セミナー申し込みページ)。

 新バージョンStingerにおける機能強化点は「オートノミック」「アプリケーション開発環境」「オンデマンド情報基盤」とされています。オートノミックでは「設計アドバイザ」というツール群により、インデックスやパーティションなどを自律的かつ統合的にアドバイスしてくれるようになるそうです。アプリケーション開発環境ではマイクロソフトの.NET環境への対応が強化されています。また共通動作環境(CTR)のサポートやEclipse対応のプラグインなども用意され、Javaから.NETまで幅広くサポートされることになります。

 オンデマンド情報基盤には「High Availability Disaster Recovery(HADR)」と呼ばれる可用性の強化が挙げられます。このHADR技術はInformixで定評のあった「Enterprise Replication(ER)機能」と「High Availability Data Replication(HDR)機能」をDB2に搭載したものです。ほかにもLinuxカーネル2.6に対応し、Linux対応でも先進性を前面に出しています。

 Stingerは出荷開始予定が年内とされ、これから数カ月で徐々に針の威力が明らかになってくることと思います。余談ですが、IBMといえばけっこう前に「Eye Bee M(アイ・ビー・エム)(リンク先はIBMドイツ)としゃれをきかせた「目とハチとM」のイラストを販促グッズに付けていた時代がありました。出回っていたのは私が社会人になる前だと思います。Stingerはあのときのハチの子孫か生まれ変わりなのかしら、なんて思っています。

 それから詳細は次回以降にしますが、Microsoft SQL Serverの次期バージョンはMicrosoft SQL Server 2005です。出荷は来年を予定しています。8月3日から開発環境のVisual Studio 2005と併せてβ版が公開開始となりました。

快進撃を続けるMySQL

 オープンソースのRDBMSも着々と進化を遂げています。今回はMySQLを見てみます。現在使用が推奨されているMySQL 4.0の最新版は4.0.20です。MySQL 4.0は、2003年3月にリリースされた4.0.12から安定して運用できると宣言され、それ以降は細かなバグフィックスを重ねています。

 これから出るバージョンとして、4.1と5.0があります。現時点では4.1.3がβで、5.0.0がαで公開されています。最近では8月3日にSnapshot 5.0.1-alphaが公開されました。

 4.1は待望の副問い合わせが実現したり、Unicodeや文字コード関係の機能が強化され国際化が進みました。ほかにもセキュリティ面の強化、使い勝手を向上させるための細かな機能追加も見られます。

 5.0ではストアドプロシージャの採用に加え、クエリの高速化、HEAPテーブルの改善、アップデートログの廃止など速度の向上に力が入れられています。それもエンタープライズでの利用が強く意識されているためのようです。(次ページへ続く)

@IT関連記事
 
エンタープライズ市場に向かうMySQL 5.0[前編]
エンタープライズ市場に向かうMySQL 5.0[後編]

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 Index
連載 Database Watch 8月版
ハチの一撃、ビッグ3に地殻変動を起こせるか?
Page 1
・Stingerの投入でRDBMSシェアトップを取れるか、IBM
・快進撃を続けるMySQL
  Page 2
・純国産XMLデータベース、着々と地歩を固める
・元祖「おら!オラ!Oracle」はココ
・SQL Serverユーザーの聖地巡礼
・またしても資格体系が変更となったORACLE MASTER


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