Database Watch 3月版 Page 1/2

SQL Server 2000に
低価格版が加わるらしい……


加山恵美
2005/3/16

 2月末に米国マイクロソフトからSQL Server 2005の新価格も含めた製品体系についてのプレスリリースがありました。日本での価格はどうなるのでしょうか。商用RDBMSの価格競争に一石を投じることになりそうです。今月はSQL Serverの新たな動向と、架空の世界から個人情報を考えてみます。

SQL Server 2000/2005に10万円を切る(?)Workgroup Edition

 日本ではほとんど話題にされていませんが、米マイクロソフト社は2005年2月24日(米国時間)に次期データベース製品「SQL Server 2005」の製品体系を発表しています。

  • プレスリリース (Microsoft Announces Expanded SQL Server 2005 Product Line to Meet Customers' Growing Demands)

 新たな製品体系は以下の4つになるそうです。

  • SQL Server 2005 Enterprise Edition
  • SQL Server 2005 Standard Edition
  • SQL Server 2005 Workgroup Edition New!
  • SQL Server 2005 Express Edition

 従来の体系に「Workgroup Edition」が新たに追加されるわけです。ところで、このプレスリリースを詳しく読んでみると、Workgroup EditionはSQL Server 2000にも適用されると書いてあります。気になるのはその価格です。予想小売価格(ERP:estimated retail price)は1プロセッサ当たり3899ドル、あるいは1サーバ+5クライアント(CAL:client access license)で739ドル。後者を1ドル=110円で日本円に換算すると8万1290円となります。「SQL Server 2000 Workgroup Edition 日本語版」の正式な価格は未発表ですが、かなり挑戦的な価格戦略となることは間違いありません。もちろん挑戦相手は「Oracle 10g Standard Edition One」の9万7650円(5ユーザー・ライセンス)と見てよいでしょう。どうやら4月上旬にはマイクロソフト(日本法人)からWorkgroup Editionに関する何らかの発表があるもようです。

人生の挙動を網羅するデータベース

 先日テレビで和尚さんが子どもに法話を聞かせている和やかな場面を見ました。壁の地獄絵を見せながら「人間は死ぬとえんま様のところに連れて行かれるんだよ。えんま様の台帳には生きていたときのすべての行いが記録されていてね、悪いことをしていたら罰せられるんだよ」と、ここで好奇心に火が付いてしまいました。人生の行動を網羅するデータベースがあるなんて。どんなシステムでしょうか。

 架空の話を引き合いに出すなんてやぼですが、現実と比較してみると意外と面白いです。このえんま様台帳とは「あらゆる人のすべての行動履歴を記録する」データベースで、主要な機能は行動履歴を個人単位で抽出できるレポートです。

 どのようなアーキテクチャならうまく機能するでしょうか。例えば常に世界全体をモニタリングしてログを記録し続け、特定の人物がえんま様を訪問したときにデータを抽出するか。または出生から死亡まで人生に常駐してログを記録するタスクを個人ごとに起動するか。これらのシステムリソースを比較したらどちらが効率的でしょうか。

 そのデータ量たるや、どのくらいの規模になるでしょうか。動画形式なら膨大でしょうけれど、テキスト形式で記述できればかなり小さく収まりそうです。「地獄界標準人生行動履歴XML」とかあると便利かもしれません。またえんま様の裁判業務を効率化するため、問題となる行動を分かりやすく表示する機能があると望ましいはずです。そのためにはどんな情報を基に問題行動の容疑をかけていくのかも興味がわきます。

 さてシステムで重要なのは個人情報の持ち方です。この行動履歴データは、人生を網羅するように包括的かつ連続的でなくてはなりません。逆にいえば実在する個人情報データベースとは、特定の個人に関するデータの一部を目的別に誰かが収集したものでしかありません。だから部分的であり、どこかで途切れてしまう可能性が常にあります。例えば学生の成績なら保有するのは学校で在学中の試験結果のみ、購買履歴なら保有するのは販売元で顧客とその企業との間の購買履歴のみで限定的です。特定の個人からすれば、人生における情報の一部でしかありません。

 こうした「個人」をデータの単位にするとき、何を基準に1レコードとするかの定義と、レコードごとに割り振るIDのルールが要点となります。一般的にIDとしてよく用いられるものを考えてみます。固定電話の番号(イエデン)だと基本的に家屋に1つなので複数の人間で重複する可能性があります。またメールアドレスだと1人で複数持つ可能性があります。1人につき必ず1つとなるユニークなIDとして流用できるものは意外とありません。

 行政的には公的身分証明書にある「氏名」が個人の識別情報になるのでしょうけれど、同姓同名を区別するために本籍や生年月日などの情報と組み合わせる必要があります。また諸般の理由で改姓や改名することもありますので、氏名だけではユニークなIDとして扱うには無理があります。

 では実際にユニークなIDに相当するものには何があるかと考えると、免許証番号や旅券番号があります。ただしこれらは申請しないと番号が割り振られませんし、再作成で番号が新しく割り振られることもあります。そういえば最近は納税者番号制度も話題となっていますが、これはどういう番号の管理がされるのでしょうか。

 ほかにも住民基本台帳にある11けたの住民票コードがあります。これは出生時に割り振られ住所や氏名に変更があってもそのままなので、えんま様台帳システムのIDには理想的です。ところが、そうするわけにはいきません。住民票コードは住民基本台帳のみで利用するためのもので、ほかの行政機関や民間企業のシステムで個人情報を一元化するために用いてはならないことになっています。

 現実の世界では架空の世界のように、個人の情報を網羅することは望まれません。個人情報は連続的かつ包括的でない方が、多くの人にとって好ましいのです。もし現実に個人情報を一元管理できるシステムがあったとしたら、恐ろしいことになるかもしれません。個人情報は流出することのないように、誰かに危害を加えることのないように気を付けなくてはなりません。だから人生の挙動をすべて把握するなんて、現実なら問題があると理解しておく必要があります。(次ページへ続く)

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 Index
連載 Database Watch 3月版
SQL Server 2000に
低価格版が加わるらしい……
Page 1
・SQL Server 2000/2005に10万円を切る(?)Workgroup Edition
・人生の挙動を網羅するデータベース
  Page 2
・企業に課せられた情報を管理する責務


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