Database WatchDatabase Watch 2011年3月版

データベース業界の動向を総まとめ

加山恵美
2011/3/18

競争が激化する一方のBI/DWH市場

 最近のRDBMS業界では、RDBMSのソフトウェア自体の競争よりも、ハードウェアと組み合わせて提供する製品の競争が激しくなっています。主にデータウェアハウス(DWH)やビジネスインテリジェンス(BI)の領域で使うものです。大規模なデータベースシステムを構築するには、ハードウェア、ソフトウェアのどちらに関しても高度な知識とスキルが必要になります。導入までに長い時間も大きなコストがかかるのが普通です。そこで、DWHやBIのシステムをいかに早く、簡単に最適化した形で提供できるかという点で各社が競っているのです。

 オラクルはDWH、BI向けの製品として高速データベースサーバ「Oracle Exadata X2」があります。買収したサン・マイクロシステムズのハードウェア技術とオラクルのソフトウェア技術を結集したもので、DWHに限らず、Online Transaction Processing(OLTP)でも圧倒的な性能を叩き出すとのこと。ただオラクルは「アプライアンス」とはいわず「マシン」と呼んでいます。ここはちょっと興味深いと思いませんか。

 IBMはBI製品としてCognosを持っており、大規模システム向けRDBMSとしてはDB2 pureScaleという技術があります。さらに、2010年9月にはDHWアプライアンスベンダのネティーザを買収しました。このネティーザがなかなか面白い技術を持っています。詳細はいずれ。

 マイクロソフトもDWHやBIに力を入れています。DWH向けにはSMP(対称型マルチプロセッシング)型のアプライアンス「SQL Server Fast Track Data Warehouse」や、MPP(超並列プロセッシング)型アプライアンス「SQL Server Parallel Data Warehouse」があります。詳細は来月あらためてお伝えしますが、マイクロソフトは3月10日、DWHやBIの分野でHPと協業を発表しました。

一部の注目を集めるインメモリデータベース

 もう1つ、あまり目立ちませんが、一部ユーザーの間で注目を集めているのが、インメモリデータベースです。その名の通りメモリにデータを展開するデータベースです。いまデータベースのボトルネックとなるのはストレージの入出力速度といわれています。そこで、インメモリデータベースをRDBMSと組み合わせて使い、処理速度向上を狙うというわけです。ちなみに、インメモリデータベースには組み込みデータベースとしての用途もあります。

 現在、企業システム向けのインメモリデータベースとしては、オラクルのTimesTen In-Memory Databaseと、IBMのsolidDBがあります。

根強い支持を集める国産RDBMS

 地味ではありますが、国産RDBMSも見逃せない存在です。国産製品は官公庁などで普及しており、信頼性を評価するユーザーも少なくありません。日本で企業システム向けRDBMSを開発、販売しているのは日立製作所と富士通の2社です。

 日立製作所のHiRDBは汎用機の技術を受け継いだ製品です。2011年1月には最新版であるV9.1が登場しました。ほぼ毎年新しいバージョンをリリースしており、意欲的に製品開発を取り組んでる様子がうかがえます。

 富士通というとオラクルと親しいイメージがありますが、自社開発のデータベース製品Symfowareにも力を入れています。2010年1月にはSymfoware V10を発表しましたが、そのバージョンは何と「従来比10倍」の処理性能を達成したそうです。2010年1月には、Solaris版をラインアップに加えました。

オープンソース御三家も忘れずに

 最後にオープンソースのRDBMSの動向について紹介しましょう。企業システムで採用例が多いオープンソースRDBMSといえば、MySQLPostgreSQLFirebirdの3つでしょう。これらをまとめて「オープンソースデータベース御三家」と呼ぶそうです(特にFirebird周辺で)。

 オープンソースRDBMSの中で最も人気を集めているのがMySQLです。Yahoo!やGoogleなど有名なWeb企業が採用しているのが人気の要因の1つでしょう。オープンソースのソフトウェアでWebサイトを構築する際に必要なソフトウェアをまとめた“LAMP”(Linux、Apache、MySQL、Perl/PHP/Python)という言葉が有名になるくらい、MySQLはWeb開発者の間で人気を獲得しています。今ではオラクル製品の1つになり、2010年12月には最新版GA(正式版)となるMySQL 5.5が登場しました。

 LAMPがあるならLAPPもあります。MがPostgreSQLのPに変わったものです。特にPostgreSQLは日本での人気が根強いという特徴があります。それは日本のPostgreSQLコミュニティ(JPUG)が精力的に活動していることもありそうです。そのPostgreSQLの最新版は2010年9月に登場した9.0です。2011年2月25日には東京でPostgreSQL Conference 2011開催しました。私も参加しましたが大盛況でした。

 なお先日オープンソースとデータベースの新しい試験としてOSS-DBを紹介しました。基本となるデータベースはPostgreSQLになるそうですが、ほかのデータベースにも対応していくそうです。

 Firebirdというと日本ではあまり目立ちませんが、世界的にはかなりの人気を集めています。なかなか気付きませんが、組み込み機器で動作していることもあるとか。ほかのRDBMSが複雑に進化していく中、シンプルさを保っているのが人気の理由にありそうです。

 そのほかにも近年KVS(Key-Value Store)など「NoSQL」も注目を集めています。その1つMongoDB)のコミュニティは2011年3月に「MongoDB Conference」を開くなど活発に活動しています。ほかにもNoSQL関係のコミュニティは各地で勉強会を開催するなど、着実に成長を遂げているようです。

 ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!

前のページへ 2/2

Index
データベース業界の動向を総まとめ
Page 1
リレーショナルデータベースの歴史は実は長いのです
商用RDBMS御三家の現状
→ Page 2
競争が激化する一方のBI/DWH市場
一部の注目を集めるインメモリデータベース
根強い支持を集める国産RDBMS
オープンソース御三家も忘れずに


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