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Mac OS Xでデータベースサーバを組む【前編】

OpenBase SQLを知る

 

田畑 英和
2008/05/26



本稿では、前・後編の2回にわたって、Mac OS X上でのデータベース環境について紹介していきます。前編の今回は、NeXTの時代から継承されてきたOpenBaseのMac OS X上での環境構築を紹介します。後編では、MySQLの導入と基本的な管理方法について触れますので、こちらもご期待ください。

 

サーバプラットフォームとしてのMac OS X

 iPodの快進撃とともに注目を集めるようになってきたMac OS Xですが、デスクトップ環境としてだけではなくサーバとしても利用することができます。大容量ストレージの管理、クラスタ環境、eコマースなどさまざまな分野でMac OS Xがサーバとして活躍しています。実際に筆者はこれまでMacによるシステム構築を手掛けており、データベースサーバとしてもMacを活用しています。

  Mac OS Xにはクライアント版のMac OS Xとサーバ版のMac OS X Serverがあり、どちらもUNIXを基盤としています。基本的にUNIXプラットフォームで利用可能なものはほとんどが利用可能です。サーバ版のMac OS X Serverはオープンソースのプロダクトを積極的に活用しており、MySQLが標準で付属していますので、データベースサーバをすぐに構築することが可能です。

 それではMac OS X上でのデータベースについて詳しく見ていきましょう。

LeopardはSUSv3/POSIX 1003.1準拠OS

 2001年にリリースされたMac OS Xは、ネクストのテクノロジーを取り入れたUNIXベースのOSとして、それまでのMac OSから新しく生まれ変わりました。その結果、FileMakerなど古くからMac上で利用可能であったデータベースソフトウェアに加え、MySQLやPostgreSQLといったオープンソース系のデータベースシステムも利用できるようになりました。さらに、OpenBase SQLなどのNeXT時代から存在していたプロダクトも加わり、データベース環境としての選択肢が一気に広がりを見せています。

  Mac OS Xはこれまで比較的短い間隔でバージョンアップを繰り返しており、2007年の10月にリリースされた最新版のMac OS X LeopardはSUSv3やPOSIX 1003.1などUNIXの標準規格に準拠したOSとなっています。

  Mac OS Xには標準で開発環境が付属していますので、データベースを活用したシステムの開発環境としても高いポテンシャルを秘めています。

 開発環境にはgccが含まれており、C言語はもちろん、C++やObjective-C注1が利用できます。スクリプト環境も充実しておりPerlをはじめRubyやPython、そしてPHPなどが利用可能です。Javaもサポートされています。Mac OS X用のJavaはアップルがメンテナンスをしており、サン・マイクロシステムズのリリースとは必ずしも同期していませんが、あらかじめシステムに標準で組み込まれているためすぐに利用できます。

 このようにMac OS X上ではさまざまなプログラミング言語が標準で利用できるため、あとはデータベースのクライアントライブラリがあれば、すぐにデータベースプログラミングを始めることができます。

  また、各種ネットワーク共有サービスも充実しており、Mac OS XとMac OS X ServerにはそれぞれWebサーバとしてApacheが搭載されています。

注1:C言語をベースとし、C++とは異なるアプローチでオブジェクト指向を実現した言語。

オブジェクト永続化もサポートするWebObjects

 Mac上でデータベースシステムの開発を行う際に忘れてはならないのがWebObjectsの存在です。WebObjectsとはJavaベースのWebアプリケーションサーバで、アップルはWebObjectsをさまざまなサービスで活用しています。

  Mac OS Xに付属する開発環境にはWebObjectsのフレームワーク一式が含まれており、この中にはデータベースへのオブジェクト永続化を実現するフレームワークがあります。このフレームワークはJDBCによるデータベースアクセスをサポートしており、OracleやMySQLなどへデータアクセスするプログラムを効率的に開発できます。

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 Index
知らないとはいわせないMac OS X特集:
Mac OS Xでデータベースサーバを組む【前編】
OpenBase SQLを知る
→ Page 1
・サーバプラットフォームとしてのMac OS X
・LeopardはSUSv3/POSIX 1003.1準拠OS
  Page 2
・NeXTから生まれたOpenBase SQL
 -無償のSoloライセンスでできること
 -Soloライセンス版のインストール方法
  Page 3
 -管理ツール「OpenBaseManager」の使い方
 -バックアップ方法を選択する

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