事例研究

Javaシステムで.NETテクノロジを採用する理由とは?

― 大規模J2EEシステムへの.NETテクノロジ導入事例とその効果 ―

山田 祥寛
2005/03/05
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 @ITでは、2004年12月13日から20日にかけ、@IT読者761名を対象にした「ITプラットフォーム選択に関するWebアンケート調査」を実施した。以下の図は、この調査の中で「現在関わっている情報システムが採用しているITプラットフォーム」を確認した結果だ。

現在関わっている情報システムが採用しているITプラットフォーム
2004年12月13日から20日にかけ、@IT読者761名を対象にした「ITプラットフォーム選択に関するWebアンケート調査」より抜粋。

 この図をご覧いただければ分かるように、Microsoft .NETが38.8%に対して、オープンソースJava+商用Javaを総合したJava陣営が44.1%と、ほぼ拮抗している。.NET Framework 1.0が正式リリースされたのが2002年2月と歴史の浅いことを思えば、.NETが着々と浸透してきている実情が分かる結果となった。

 もちろん、よりドリルダウンしたシステム規模別でのプラットフォーム比率では、まだまだ対象ユーザー数が1000人以上の大規模システムではJavaに一日の長があった。これは、先発のJavaが蓄える導入実績や開発/運用実績を思えば、無理からぬところかもしれない。しかし、ここでむしろ注目したいのは、対象ユーザー数が100人未満の小規模システムでは.NETの採用がほぼ半数を占めていたという点だ。筆者の所感ではあるが、この結果から、.NETを評価した企業がまずはパイロット的に小規模システムへの導入を進めている傾向がうかがえるように思える。今後、このような準備期間を過ぎた後、プラットフォームの勢力分布がどのように変動するのかが楽しみなところだ。

 さて本稿では、こうした過渡期にあって、これまでJavaによる開発を主体に行ってきたユーザーが、いま、.NETをどのように捉えているのかを紹介する。インタビューに応じていただいたのは、日本電気株式会社 資材部IT企画部主任の渡辺将人氏、NEC情報システムズ 基幹業務ソリューション事業部の安西剛氏である。

今回のインタビューに応じていただいた日本電気株式会社 資材部IT企画部主任の渡辺将人氏(写真右)、NEC情報システムズ 基幹業務ソリューション事業部の安西剛氏(写真左)

資材調達システム「Pegasus」の概要

 両氏が手がける資材調達システム「Pegasus」は、Javaをベースに構築されたNECグループ共通の社内基幹システムだ。2005年3月現在、PegasusはNECグループ内外、約35社に展開/導入が完了しており、今後はソフト/サービス系のグループ会社に向けて、さらに利用会社を拡大予定であるという。

資材調達システム「Pegasus」の機能概要

 このPegasusシステムの規模を以下に示す。

項目 概要
利用者数 NEC社内:約2万8000ユーザー、取引先:約1万5000ユーザー
総開発費用 約900百万円(ソフトウェアのみ)
画面数 約1800画面
プログラム数 Java:約1800画面、PL/SQL:2230本
バッチ処理数 約750処理
Pegasusのシステム規模

「プロジェクト評価レビューシート」機能の概要

 今回、両氏から話を伺ったのは、Pegasusシステムの中でも「プロジェクト評価レビューシート」と呼ばれる機能である。この機能は、Pegasusシステムに対してアドオンされた.NET Framework+Excelベースのアプリケーションだ。

 次のExcelの画面は、ユーザーが実際に利用するプロジェクト評価レビューシート機能の「ビジネス・レビューシート」画面である。


 
プロジェクト評価レビューシート機能のビジネス・レビューシート画面
「レビューシート出力条件入力」ダイアログ(画面上)から入力された検索条件に基づいて、XML Webサービス経由でデータベースを検索する。検索結果はExcelシート(画面下)に展開され、表/チャートを自動生成する。

 プロジェクト評価レビューシート機能は、Pegasus上で管理されている開発案件(オーダー)とそれに対する事業部/資材部評価を半期単位で集計し、Excelワークシートとして出力するための機能を提供する。最終的な出力結果であるレビューシートは、資材部が取引先と来期の折衝を行ううえでの資料となるものだ。

プロジェクト評価レビューシート機能の概要
この機能は、Pegasus上で管理されている開発案件(オーダー)とそれに対する事業部/資材部評価を集計し、Excelワークシートとして出力する。

 これまで、NECではこのような取引先管理をLotus Notes上で行っていたが、評価の回収や集計には(当然)多くの工数を費やす必要があった。しかし、プロジェクト評価レビューシートを導入することで、同等の資料を圧倒的に短期間で作成できるようになったという。

 以下に、Pegasus本体とプロジェクト評価レビューシート機能の関係図を示しておこう。

プロジェクト評価レビューシート機能の構成図
プロジェクト評価レビューシート機能を直接に制御しているのは、Windows+IIS(図左下部のWillサーバ)。Pegasus DBサーバ(Oracleデータベース)から取得した集計・検索データをXML Webサービス経由でクライアント・アプリケーションに送信する。WebOTXは、NECが提供するサービス構築基盤である「ActiveGlobe」製品群の中心に位置づけられているアプリケーション・サーバ。

 レビューシートでは、最初にExcelブックを開いたタイミングで、サーバ上にあらかじめ配置されたアセンブリを取得する。Excel側では、このアセンブリを介してXML Webサービスと通信を行い、サーバ認証、検索処理、結果データの展開などを行っている。サーバ側でアセンブリが更新された場合にも、更新されたアセンブリが自動的にダウンロードされるので、クライアント側では常に最新のアプリケーションを利用できる。

 

 INDEX
  [事例研究]Javaシステムで.NETテクノロジを採用する理由とは? 
  1.Javaベースの資材調達システム「Pegasus」
    2..NET Framework採用のポイントは「Officeとの親和性」
 


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