連載:.NET中心会議議事録

第7回 .NET開発者向けのアジャイル開発の進め方(2012年版)

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2012/03/09

 2012年1月21日(土曜日)、@IT/.NET開発者中心コーナー主催のオフライン・セミナー「第7回 .NET中心会議」(スポンサー:グレープシティ)が開かれた。

会場の様子

 今回のテーマは、依然として開発者間で人気の高い「アジャイル開発」。2012年最新のアジャイル開発に関する情報にキャッチアップするためのセッションを開くとともに、まだアジャイル開発を実践できていない開発者に対して、どのようにアジャイル開発を進めればよいかを議論した。セミナーの構成は、下記のとおり。

  1. 基調講演『これからの「アジャイル」の話をしよう 2012 ―― 今を生き延びるための開発手法とエンジニアに求められるスキル』
  2. アジャイル開発セッション『.NET開発者は知らないと損する、アジャイル最新基礎知識(2012年版)』
  3. パネル・ディスカッション『現場目線で議論する、.NET開発者向けのアジャイル開発の進め方(2012年版)』
  4. 懇親会

 本稿では、基調講演および各セッションのUstream中継の動画を視聴・閲覧できるようにしている。なお、Twitter上でさまざまなコメントがツイートされたが、その内容は「第7回.NET中心会議の反応まとめ - Togetter」に残されている。

基調講演『これからの「アジャイル」の話をしよう 2012』

基調講演では、アジャイル開発現場の最前線を見てきた永和システムマネジメントの木下 史彦 氏が、アジャイル開発をベースにした新しい受託開発形態「価値創造契約」(=初期費用は0円で解約手数料はない、SaaSビジネス・モデルに近い受託開発)について説明した。

講師 永和システムマネジメント
木下 史彦 氏
仕事としてアジャイル・プラクティスを実践している現場への指導・助言などを行っている。翻訳本に『アジャイルプラクティス』や『アート・オブ・アジャイル デベロップメント』などがある
講師のプロフィール

 基調講演の詳しい内容については、以下のプレゼン資料とUstream中継の動画を閲覧・視聴してほしい。

基調講演のUstream中継の動画
Video streaming by Ustream
セッションは2分00秒から56分まで。

アジャイル開発セッション『アジャイル最新基礎知識(2012年版)』

 続いてアジャイル開発セッションでは、小井土 亨 氏が、.NET開発者向けのアジャイル開発の基礎知識(=2007年のVB研セミナー「第3回 実践! .NETで変わるVB業務アプリ開発 − @IT」の振り返りと、その後から現在までの流れとして「アジャイルへの要求の変化」「スクラム」「チケット駆動開発」など)を整理し、さらにソフトウェア・アーキテクチャやソフトウェア開発の自働化についても触れた。

講師 小井土 亨 氏 OSK株式会社(大塚商会グループ)でパッケージ・ソフト開発に従事するプログラマー。プログラミング作業以外にも、ほかの開発者の質問に答えて開発をスムーズに進めるためのラインを作る「ライン・ビルダー」もしている
講師のプロフィール

 アジャイル開発セッションの内容については、以下のプレゼン資料とUstream中継の動画を閲覧・視聴してほしい。

アジャイル開発セッションのUstream中継の動画
Video streaming by Ustream
セッション開始は57分から。

パネル・ディスカッション『.NET開発者向けのアジャイル開発の進め方(2012年版)』

 パネル・ディスカッションでは、「概要は知っていても、なかなか導入に至らない」という開発者を主な聴講対象として、「どのようにアジャイル開発に取り組めばよいのか」を、そういった現場をよく知っているパネリストの方々を交えて議論した。ご登壇いただいたのは、下記の方々である。

パネリスト 永和システムマネジメント
木下 史彦 氏
(前述のため省略)
小井土 亨 氏 (前述のため省略)
日本マイクロソフト
長沢 智治 氏
日本マイクロソフトのエバンジェリスト。ソフトウェア開発のライフサイクル全般を経験後、「開発する側」から「開発を支援する側」にまわって10数年。日本の開発チームにお役に立てることは何かを常に妄想しながら活動中。TwitterBlog(1) (2)
モデレータ デジタルアドバンテージ
小川 誉久
@IT Insider.NETフォーラムを運営しており、Windows Server Insiderを中心に記事編集・執筆・企画などを行っている
登壇者のプロフィール

 以下は、パネル・ディスカッションで筆者が重要だと思ったポイントである(以下、敬称略)。ここに書き出している以外にも注目すべき発言が多々あったので、興味がある方はぜひUstream動画を視聴してほしい。

―― どうやってアジャイル開発を導入すればよいのか?

木下 「弊社の場合、初めてアジャイル開発を導入したときには、アジャイル開発のコーチを呼んだ。」

小井土 「日本XPユーザグループなどのアジャイル開発のコミュニティで、経験者に相談して、細かくアドバイスをもらうとよい。」

―― トップ層とボトム層は新しいものにスッと変われるが、中間層は変わりにくく、アジャイル開発もなかなか受け入れられない。どうすればよいか?

小井土 「困っていることに対して、代替案がないなら、中間層は反対できない。例えば『ソース・コード管理がなければ、バージョンが前に戻る「デグレード」が発生してしまう可能性がある』といった、困っていることを中間層に訴求すれば、響きやすい。」

――(懇親会にて) アジャイル開発を採用するのは、何人ぐらいのチームがベストなのか?

木下「一般的には『7±2人ぐらい』だと言われている。」

―― 単体テストが定着しない。どうすればよいか?

小井土 「プログラマーとして、メリットを体験することが大切で、それにより抵抗なく使えるようになる。」

木下 「確かに、設計・開発・テストのサイクルを短くしてソフトウェアを少しずつ作り上げる『イテレーション』の採用は定着しやすいが、『テスト駆動開発』までは定着しにくい。そういう場合は、人から人へ伝承で、一緒に実施してみせるのが大切。」

長沢 「お勧めは、ペア・プログラミング。これを実施して、分かる人が分からない人に教えていくことで定着していく。」

―― アジャイル開発を支援するツールは何を使えばよいか?

長沢 「NUnitMSTestなど、ツールは多岐に渡ってある。では、『どれを導入すればよいか?』『全部、導入した方がよいのか?』という質問には、『分かりません』と答えるしかない。というのもツールは、プロジェクトの課題や目標に合わせて導入するものだから。」

小井土 「プロジェクトによってはExcelで仕様書を作らなければならないこともある。そういうケースでは、自作ツールを開発して仕様書作成の効率を高めたり、オープンソースのツールをカスタマイズして導入したりするなど工夫している。各プロジェクトの状況に最適なアジャイル開発の支援ツールを自作するというのも考えてみるとよい。」

―― これからアジャイル開発を始めるとして、まず手始めにどこから手を付ければよいか?

小井土 「前述したように、まずは困っているところを見付ける。それから、アジャイル開発の本を一冊全部読んでみる。今一番のお勧めは『アジャイルサムライ』。」

木下 「アジャイル開発のプラクティスの中から、自分に合ったものから始める。アジャイル開発の仲間を見付ける。そして、弊社からコーチを呼ぶ(笑)。」

長沢 「アジャイル開発セミナーに参加してみて、そこでの“気付き”を会社や開発現場に持ち帰って周りに話して共有してみる。」

パネル・ディスカッションのUstream中継された過去動画
Video streaming by Ustream
セッション開始は4分から。

 次回の.NET中心会議のテーマとしては、「Windows 8登場後の未来において、.NET技術者は(WinRTだけでなく、.NETやSilverlightも含めて)どのような指針で技術選択をすればよいのかを、参加者も一緒になって考えること」を検討中である。5月ごろには開催できる予定なので、ご期待いただきたい。また、Windows 8が正式にリリースした後には、Windows 8開発に特化した内容のセミナーも開催したいと考えている。end of article


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