特集
マイクロソフトのクライアント戦略

次期Windows 7とOffice 14はどう進化するのか?

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2008/11/26
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3.ついにWeb版が提供される次期Office 14

 以上のようにWindows 7のコンセプトに組み入れられたソフトウェア+サービスのアプローチは、次期Office 14でも見られる。このアプローチを採用することで、「PC、携帯電話、Webをつなげる」というビジョンを達成することを目指している。これが実現すれば、ほかのOfficeの作業者とつながり、PC/携帯電話/Webの境界をまたいで、シームレスに情報を共有する機能が提供でき、Officeをより高い生産性を発揮できるツールへと進化させられるからだ。

 その一翼を担うWebの機能が、Office 14の一部として提供される「Office Web Applications」(Office Web)である。

Office Web Applications+Office Live Workspace

 Office Web Applicationsは、Internet Explorer、Firefox、Safariといったブラウザ内で動作する軽量版Officeで、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteのドキュメントを参照、編集、コラボレーション(共同作業)できる。Silverlightで作られているので、ズームもでき、テキストの見栄えもよい。さらにOffice Web Applicationsではリボンも提供される。

 以下の画面は、Office Web Applications(Word、Excel、PowerPoint、OneNote)の実行例だ。

Microsoft Word 14のWeb版(マイクロソフト提供の画像)

Microsoft Excel 14のWeb版(マイクロソフト提供の画像)

Microsoft PowrPoint 14のWeb版(マイクロソフト提供の画像)

Microsoft OneNote 14のWeb版(マイクロソフト提供の画像)

 Office Web ApplicationsというWeb版Officeが加わることにより、PC(通常のOffice)、携帯電話(Office Mobile)、そしてWeb(Office Web Applications)というトライアングルが完成する。これらで作成したデータをOffice Live Workspace(ドキュメント・ストレージ・サービス)上で動的に共有(ダイナミック・コラボレーション)すれば、ユーザーの作業生産性が高まることが期待できる。例えば携帯電話で写真を撮り、Office Mobileでそれを貼り付けたドキュメントを作成し、Office Live Workspaceに発行することでデータが保存され、即座にほかの人と共有でき、その内容を共同でアップデートすることも簡単だろう。なお、この際の共有はOffice Live Workspaceだけでなく、将来Live Meshフォルダでも可能になる予定だ。

 以上のようにシームレスに接続された作業環境が生み出す新たな生産性が、次期Officeのビジョンとなっている。

 以上、Windows 7とOffice 14の新機能を簡単に紹介した。これが今後の開発を進める中で何らかの参考になれば幸いだ。

 ちなみに、Windows 7のより詳しい情報は、PDCを凝縮した日本向けのカンファレンス「Tech Days Japan 2009」でもセッションが用意されている。より詳しい情報を効率よく集めたい場合には、これに参加するのも悪くないだろう。筆者もWeb上の記事や書籍を読むのはついつい後回しになってしまうが、こういうカンファレンスに参加するとそれだけに打ち込めるので、結果的にそれが一番速い情報収集の手段となることが多い。

 無償ではないため(参加費用は約5万円)、会社からなかなか承認が降りない人も多いかもしれないが、参加費用が25万円程度もかかるPDC 2008と同等レベルの内容を日本語で直に聞ける(らしい)ので、それを考えるとずいぶんと安い。数年に1度のイベントなので、可能であればぜひ上司を説得して参加してみてはいかかがだろうか(ちなみに次回のPDC 2009は、2009年11月17日〜20日開催予定となってる)。End of Article

 

 INDEX
  [特集] マイクロソフトのクライアント戦略
  次期Windows 7とOffice 14はどう進化するのか?
    1.次期Windows 7に搭載予定の主な新機能
    2.「ソフトウェア+サービス」化するWindows 7
  3.ついにWeb版が提供される次期Office 14
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