Insider's Eye

Microsoft .NET Developers Conference 2001
―― 飛行機やホテルの擬似予約が可能なWebサービスの公開実験をデモ ――


デジタルアドバンテージ 遠藤孝信
2001/05/31

 

基調講演を行う鈴木和典氏
基調講演では、同日に発表されたWebサービスの公開実験サイトなどが紹介された。

 2001年5月30日〜31日の2日間にわたり、マイクロソフトは、Microsoft.NET開発者を対象とする「Microsoft .NET Developers Conference 2001 東京」を開催した。

 セッションに先駆けて行われた基調講演では、マイクロソフト取締役 エンタープライズ・セールス/マーケティング部門担当 兼デベロッパー・マーケティング本部長の鈴木和典(すずき・わてん)氏がスピーカーを務め、Microsoft.NETの主要機能であるWebサービスと、徐々にその概要が見え始めたHailStorm(ヘイルストーム)についてプレゼンテーションを行った。

Webサービスの公開実験サイトを紹介

 スピーチの冒頭では、開催日当日に同時発表となった、JTB、イースト、マイクロソフトの共同開発によるWebサービスの公開実験が紹介され、デモンストレーションが行われた(この公開実験に関するニュース・リリース実験サイトはこちら)。この公開実験では、JTBによる航空券/ホテルの予約サービス(仮想的なサービス)を、Webサービスとしてインターネット上で公開し、プログラムから呼び出し可能にしたものである。デモンストレーションでは、ローカル・マシン上に構築した出張申請システムと、このWebサービスを連携させて、ユーザーが自社の出張申請を行う過程で、航空便やホテルの検索/予約を可能にするというものだった。ユーザーから見ると、社内の出張申請システム(Webアプリケーション)を使っているだけなのだが、その背後ではSOAP経由でJTBのWebサービスが呼び出される。

JTB、イースト、マイクロソフトの共同開発により公開されたWebサービスの公開実験サイト
プログラムから公開されたWebサービスをアクセスし、航空券/ホテルの検索・予約の議事予約を行うことが可能。
http://net.est.co.jp/jtb/about/

見え始めたHailStorm

 マイクロソフトが提唱するネットワーク情報サービスのHailStormについては、その概要と、ビデオによるデモンストレーションが行われた。現時点で明らかになっているHailStormは、myCalendar、myAddress、myDocumentsなどのmy〜と名付けられた十数個からなるWebサービスのセットで、ユーザーの個人情報を管理し、一体として統合的な情報サービスを提供する仕組みである。ビデオでは、主要なオークション・サイトの1つで、すでに.NET対応を表明しているeBayにおいて、.NET時代のショッピングがどのように変わるのかが紹介された。

会場風景
会場には.NETに関心を持つ多数の開発者が集まった。

 まずユーザーは、ログインなしでショッピングを始めることができる。これは個人認証を行うPassportがWindows XPに統合され、Windows XPにログインすることで、Passport認証(サイン・イン)も同時に実行されるからだ(Windows XPのPassport対応に関する詳細は別稿「Windows 2000 Insider:Windows XP ベータ2日本語版クイックツアー」を参照)。買った品物は手元まで配送されるが、このとき必要な住所などの情報は、HailStormを利用してシステムが自動的に取得する。またオーダーした品物が発送された旨のメッセージは、Windows Messengerサービスにより通知される(ちなみに、Windows Messengerがメッセージを受け取ったときに画面右下からせり上がって表示されるメッセージは「トースト」と呼ばれるらしい)。

 Passport認証のもう1つの利点は、使用しているコンピュータや場所によらないシングル・サイン・インが可能になることだ。つまり、現在ユーザーがデスクトップPCを使用しているのか、あるいはPDAを使用しているのかをシステムが識別し、その状況やデバイスに合った情報サービスを提供できるようになる。例えば携帯電話に関するビデオ・デモンスレーションでは、携帯電話宛に残されたボイス・メッセージをデスクトップ上のWindows XPで再生していた。この際ユーザーは、残されたメッセージがあることを「トースト」で知ることができる。

クリックすると画面が拡大表示されます
HailStormのロードマップ
HailStormは、2001年10月に米国で開催されるPDCにて技術情報が公開され、ベータ1が2001年末にリリースされる予定。

 このほか、「各人のカレンダーを参照しながら旅行の計画を立てる家族」「友達と電話で会話しながら好きなバンドのチケットを買う女の子」「新しく開発した自転車を販売してくれるビジネス・パートナーをUDDIで探し、担当者と連絡をとる女性」という3つのビデオが放映された。これらは以前のカンファレンスでも放映されたものだが、今回のデモンストレーションでは、各サービスとHailStormとの具体的な関連が説明された。まだまだ五里霧中の感は否めないものの、HailStormも実サービスに向けて前進していることを伺わせた。

 プレゼンテーションでは、HailStormと.NET開発環境のロードマップも提示された。これによれば、HailStormは、2001年10月に米国で開催が予定されているPDC(Professional Developer Conference)にて技術情報が公開され、ベータ1が2001年末にリリースされる予定だ。また、Visual Studio.NETおよび.NET Framework ベータ2については、米国版は2001年夏に米国で開催されるTech・Ed 2001にて、日本語版は8月に開催されるTech・Ed 2001 Tokyoにてそれぞれ配布される予定になっている。米国版の配布についてはすでに報じられていたが、ベータ2日本語版の公開スケジュールが公式に説明されたのはこれが初めてとなる。なお最終的な製品リリース予定は2001年内となっている。

.NET Framework SDKベータ2待ちの今は我慢の時期?

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.NETテクノロジのロードマップ
Visual Studio.NET/.NET Framework ベータ2米国版は、2001年夏に米国で開催されるTech・Ed 2001にて、日本語版は8月に開催されるTech・Ed 2001 Tokyoにてそれぞれ配布される予定。

 基調講演に続き、午後からは.NETの各要素技術に関するセッションが行われた(31日は終日セッションを開催)。今回は、参加者全員にVisual Studio.NET日本語版ベータ1のCD(.NET Framework SDKベータ1を含む)と、Visual Basic.NETに関するサンプル・プログラムや資料を収めた「Visual Basic.NET Resource and Samples CD for Beta1」(英語版、CD1枚)、そして日本人著者による書き下ろしの書籍『C#プログラミング リファレンス』(矢島 聡 著/リックテレコム発行。出版社の解説ページ)が配布された。

 しかし聞くところでは、セッション中のデモンストレーションなどでは、まもなく発表予定の.NET Frameworkベータ2を使っているらしい。一説によれば、ベータ2では、クラス・ライブラリの仕様などがかなり変更されているという。ベータ2の公開を目前にした微妙な時期だけに、マイクロソフトとしても苦渋の選択といったところのようだ。

 .NETテクノロジやHailStorm、Passportなど、.NET時代に向けたパズルのピースは明らかになった。今後はこれらがどのように組み合わされて、次世代の情報サービスを構成するのか、ベータ2の登場を期に、マイクロソフトが温めているシナリオが一気に展開されるものと期待したい。End of Article

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