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プログラマを.NETに誘う数々の特別パッケージを設定したVS.NET 2003

―― 最新の統合開発環境、Visual Studio .NET 2003がWindows Server 2003とともにデビュー ――

デジタルアドバンテージ
2003/05/22


 2003年5月15日、マイクロソフトは、Windowsプラットフォーム向け統合開発環境の最新版である「Visual Studio .NET Version 2003(以下VS.NET 2003)」の発売日、製品構成や価格を正式発表した。ライセンス販売は6月2日(月)から、パッケージ製品は6月25日(水)からそれぞれ開始される。今回のVS.NET 2003は、Windows Server 2003に標準搭載される最新の.NET Framework 1.1に対応したもので、ライセンスおよびパッケージ発売日は、Windows Server 2003のそれと同日である。

 前バージョンであるVS.NET 2002と比較したVS.NET 2003の新機能、機能強化点としては、(1).NET Framework 1.1対応などWindows Server 2003に完全対応、(2)ASP.NETモバイル・コントロールなど、Windows CE .NETやPocket PCなどのモバイル・デバイス向けアプリケーション開発機能を統合、(3)IPv6対応(.NET Framework 1.1)、(4)イミディエイト・ウィンドウにおけるIntelliSenseサポートなど、統合開発環境の使い勝手や生産性の向上、(5)VB 6.0→VB.NETへの移行を支援するアップグレード・ウィザードの強化、(6)Visual C++のサポート機能を強化し、VB.NETやC#と同様にドラッグ&ドロップによるWindowsフォームのデザインを可能にし、ISO準拠の向上などを実施、(7)JDK 1.1.4相当のクラス・ライブラリをサポートするJava言語「Visual J#」を新たに搭載、などがある。

Windows Server 2003と同時発表された統合開発環境Visual Studio 2003の各パッケージ
左から「Enterprise Architect」「Enterprise Developer」「Professional」。

 VS.NET 2003のパッケージ構成は、前バージョンのVS.NET 2002のそれと基本的には変わらない。企業向けエディションの「Enterprise Architect」「Enterprise Developer」では、基本的な開発言語ツールに加え、複数メンバによる開発効率を向上させる支援するツールや、企業における分散アプリケーション開発を目的としてWindowsサーバOS(Windows Server 2003やWindows 2000 Advanced Server)やSQL Server 2000、Exchange 2000 Serverなどのソフトウェアを同梱する。これら企業向けエディションから、WindowsサーバOSや各種サーバ・ソフトウェア、チーム開発機能などを省略したものが「Professional」である。またこれら3つの統合開発環境パッケージでは、開発ツールやOS、開発用ソフトウェアなどの最新版の提供を1年間にわたり受けられるMSDNサブスクリプションの権利を付与した「MSDN Deluxe Edition」も選択できる。

本数限定ながら、破格値でVS.NET 2003 Professionalを購入可能

 2003年6月30日までにユーザー登録を行った前VS.NET 2002ユーザーに対しては、「特別アップグレード」として、相当するエディションのVS.NET 2003 CD-ROMが無償提供される。ただしこの特別アップグレードを利用できるのは、Professional以上のパッケージのみで、前バージョンで最も安価な単体言語パッケージ(「Visual Basic .NET」「Visual C++ .NET」「Visual C# .NET」の各Standardパッケージ)には適用されない。本来このStandardパッケージは、個人のホビー・プログラマや学生などを想定したものだったが、マイクロソフトの説明によれば、「お試し」目的を含めて、企業ユーザーも少なくないようだ。

 このようなユーザーの上位バージョンへの移行を促すため、今回は限定3万本という制限付きながら、従来のStandardパッケージ(Visual Basic .NET Standard 2002、Visual C++ .NET Standard 2002、Visual C# .NET Standard 2002)から、VS.NET Professional 2003に安価(3万9800円)にアップグレードできる「ステップ・アップグレード」パッケージが用意された。これらのStandardパッケージの価格(推定小売価格)は1万2800円である。VS.NET Professional 2003の通常パッケージ価格は12万8000円なので、新規にVS.NET Professional 2003を購入するなら、前バージョンのStandardパッケージ(1万2800円)と、「ステップ・アップグレード」パッケージ(3万9800円)を購入したほうが安価という計算になる(2つを合計しても5万2600円)。

 マイクロソフトの発表によれば、Standardパッケージを含め、VS.NET 2002のすべてのパッケージの販売は2003年8月をもって終了するという。前述したとおり、「ステップ・アップグレード」パッケージは3万本の本数限定である。新規にVS.NET 2003 Professionalを購入するなら、8月末までに「ステップ・アップグレード」パッケージのサービスを早期に利用するのが得策だろう。

Standardパッケージにアカデミック版を追加

 前述したとおり、従来のVS.NET 2002では、単体言語製品のStandardパッケージ(1万2800円)がアカデミック(学生など)を想定したものだったが、実際には入門用などとして、企業ユーザーなども少なからず購入していた。このため今回のVS.NET 2003では、各Standardパッケージ(Visual Basic .NET、Visual C++ .NET、Visual C# .NET、Visual J# .NET)を通常版とアカデミック版の2系統に分け、通常版は従来よりも値上げし(1万2800円→1万9800円)、アカデミック版は従来からさらに値下げした(1万2800円→7800円)。学生などの学校関係者は、さらに身近な存在になった。なおVisual J#.NETは、今回から新たに追加された単体言語パッケージである。

「MSDNサブスクリプション オペレーティング・システム」を実質値下げするパッケージも発表

Windows MSDN Deluxe Edition
実質的にMSDNサブスクリプション オペレーティング・システムに相当するパッケージ。過去のバージョンを含め、すべてのWindows OSを開発・評価用途で利用できるようになる。

 さらにマイクロソフトは、ソフトウェア開発やシステム評価用として、あらゆるWindows OS(Windows 9X、Me、NT、2000、XP、Server 2003)とSDK(ソフトウェア開発キット)、最新のServicePackなどの提供を1年間にわたり受けられる日本独自のWindowsパッケージ「Windows MSDN Deluxe Edition」を発表した。こちらもWindows Server 2003やVS.NET 2003と同じ6月25日から発売される。

 Windows MSDN Deluxe Editionの内容を見ると、実体は開発者向けにこれまでも提供されていたMSDNサブスクリプションの「オペレーティング システム サブスクリプション」(以下MSDN OS)と同等であることが分かる(マイクロソフトのMSDNサブスクリプション・レベルの解説ページ)。

 Windows MSDN Deluxe Editionには、通常版(推定小売価格9万4800円)と優待パッケージ(同5万9800円)がある(パッケージ内容は同じ)。このうち優待パッケージは、旧版(Visual Studio 6.0/VS.NET 2002など)のユーザーか、VS.NETと競合する他社製品を所有するユーザーが対象である。しかし前出のリリースを見ると、対象となる他社製品にEclipseやSun MicrosystemsのJDK(Java Development Kit)などの無償ソフトウェアが含まれている。

 マイクロソフトは公言しないが、つまりWindows MSDN Deluxe Editionとは、MSDN OSの圧倒的なディスカウント販売と考えてよさそうだ(MSDN OSの推定小売価格は、Windows MSDN Deluxe Editionと同じ9万4800円である)。しかもこちらは、期間限定も本数制限もない。これから本格的にVS.NETを利用したソフトウェア開発を始めるプログラマにとっては、テスト環境の構築と、情報収集という両面から、非常に価値の高いパッケージとなるだろう。

 パッケージの種類が多すぎて分かりづらいという意見も聞かれるが、もちろんこれはユーザーを混乱させるためでなく、幅広いユーザーに対して最もリーズナブルな価格で提供しようとした結果と考えるべきだろう。

 VS.NET 2002の発売からわずか1年足らずでのバージョンアップとなったVS.NET 2003。目新しい機能は多いとはいえないが、モバイル・サポートの強化やC++言語によるWindowsアプリケーション開発サポート、Java言語(Visual J#)サポートなど、.NETの本格的な普及に向けて、さらに一段とブラッシュアップされた。.NET Frameworkを標準搭載したWindows Server 2003も同時発売となる。いよいよ、.NETソリューションのための基盤製品は整ったといえるだろう。End of Article

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