XML Webサービスのキラー・アプリが登場?!

インフォテリアネットワークス株式会社
吉松 史彰
2002/04/13


 WWWの成長期に最も活躍したキラー・アプリケーション(市場を推進するようなアプリケーション)といえば、ご存じサーチ・エンジンだ。「Yahoo!」をはじめとする多くのサーチ・エンジンが登場し、Webのキラー・アプリケーションと呼ばれた。人々はこれを手がかりにWebを使い始めたというわけだ。

 ここ何年(?)か、筆者が使っているサーチ・エンジンは「Google」である。おそらくこのエンジンを日常的に使っている人は@ITの読者の過半数を超えるのではないだろうか。そのGoogleがついにやってくれた。

 少し前から、Rubyというスクリプト言語のメーリング・リストへの投稿をきっかけに注目されていたのだが、そのGoogleがXML Webサービスのインターフェイスを公開したのである。Googleのサーチ・エンジンがSOAPで呼び出せるというわけだ。さっそく開発者キットをダウンロードして作ってみたアプリケーションが次のようなものである。

GoogleのXML Webサービスを使って自作したアプリケーション

 作ってみたのは、テキスト・ボックスに検索したい文字を入力して検索すれば、結果がリスト・ビューに一覧され、さらにそれをダブル・クリックすると検索結果のページが表示されるというアプリケーションだ。

 これでは単にGoogleのWebインターフェイスを置き換えているだけなので、あまり面白くないように感じるかもしれない。「これならいまでもブラウザ1つでできるじゃん」というわけだ。筆者はこれを逆の視点から考える。逆とはつまり、渋谷区桜ヶ丘、あるいはカリフォルニア州マウンテンビューからの視点だ。

 Googleのビジネスにおけるキー・テクノロジ、コア・コンピタンス(Core Competencies:最も競争力のあるもの)はいうまでもなくサーチ・エンジンであり、キャッシュされている独自に分類されたWebページだ。サーチ・エンジンの機能がGoogleの命だというわけだ。それ以外のものは、Googleのビジネスにとってはすべて周辺事業に過ぎない。そう、検索ができるようにHTMLページを作ったり、検索結果をHTMLで整形したりする機能も、Googleからすればサーチ・エンジンの付属物に過ぎないのだ。

 筆者がGoogleを一目で気に入った理由は、検索結果もさることながら、そのシンプルで使い勝手のいいWebインターフェイスにある。ほかのゴテゴテゴチャゴチャしたページと違い、Googleはしたいこと(検索)だけを思いっきりさせてくれるような気がした。検索結果も一般的なページング処理がされていて、同じサイトからのページは除かれたりインデントされたりと、利用者の使い勝手に十分配慮された設計になっていると思う。

 だが、それでも筆者が作った自分専用のインターフェイスには到底かなわない。当たり前だ。自分で作れば自分好みの機能だけを自分の使いやすい場所に配置できるのだから。そこがポイントなのだ。Googleにとって、HTMLによる検索ページ、HTMLによる結果表示ページは付属物でしかないにもかかわらず、使う人の立場に立った使いやすいインターフェイスを提供しなければならない、そうでないと使ってもらえなくなるかもしれない、というジレンマがあるのだ。

 XML Webサービスで自社のサーチ・エンジンの機能を公開すれば、Googleはサーチ・エンジンの機能(コア・コンピタンス)だけに注力することができる。もちろん最後の手段としてのwww.google.comのWebページは残すにしても、ほかのさまざまなWebページやアプリケーションから、XML Webサービスを通じて自社のエンジンをより便利に使ってもらうことができるのだ。GoogleはこれによってWebページのメンテナンス・コストを大幅に削減できるようになるかもしれない。

 XML Webサービスは実用的じゃない、HTTP+HTMLで十分だという人もいる。だが、ほとんどのビジネスにとって、HTMLが利益を生み出すことはない。HTMLで表現されたビジネスの内容こそが利益の源泉だ。だとしたら、かつてDell Computerが工場とユーザーを直結したように、ビジネスと顧客を直結するためにはHTMLは邪魔だ。Amazon.comのWebページは、製作にいったいいくらくらいのお金がかかっているのだろうか。Amazon.comのビジネスの中心はなんだろうか。

 XML Webサービスはすでに実用期に入り始めている。HTMLベースのWebページを完全に置き換えることはないだろうが、それでも今後数年間で、インターネットのトラフィックにおけるSOAPが占める割合は、HTMLを逆転するに違いない。

 なお、Google XML Webサービス・インターフェイスの詳しい使い方はGoogle Web APIs(http://www.google.com/apis/)から参照できる。JavaとC#によるサンプルがついた開発者キットがダウンロードできるので、早速アクセスしてみてほしい(編集部注:実際にXML Webサービスを利用するには、同ページよりまずGoogleアカウントを作成し、ライセンス・キーを取得する必要がある)。End of Article


吉松 史彰(よしまつ ふみあき)
 インフォテリアネットワークスにおいて、.NET FrameworkやXMLを活用したシステムの開発とコンサルティングを行っている。また、個人でも執筆や講演活動を通して.NET Frameworkの啓蒙活動をマイクロソフトに黙って勝手に行っている。

更新履歴

【2002.4.23】−追加情報− HTTPによるリクエスト時のCONTENT-TYPEを、「Content-Type: text/xml」(「charset=utf-8」等を付けない)などに設定すると、日本語での検索も可能であることが判明しました。現状のGoogle XML Webサービスでは、エンコーディングの処理に若干問題があるようです。

【2002.4.16】
本文中の図に誤りがありました。図中では「XML Webサービス UDDI SOAP WSDL」で検索していましたが、現時点では、Googleが提供するXML Webサービスでは、日本語を使用できないということが判明しました(このため、これは「XML Web UDDI SOAP WSDL」で検索していることになります)。お詫びして訂正させていただきます。


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