.NETによるスマートフォンWeb UI開発ガイド【導入編】

Webフォーム vs. ASP.NET MVC
 ― スマートフォン向けWeb開発で使えるのはどっち?

WINGSプロジェクト かるあ(監修:山田祥寛)
2011/04/18
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 ここ数年で、日本においてもiPhoneやAndroid端末といったスマートフォンの所有率が大きく伸び、それに伴い、スマートフォン全般向けのWebアプリの開発や、各スマートフォン・プラットフォーム向けのネイティブ・アプリの開発が注目を浴びている(本稿では「アプリケーション」は「アプリ」と略す)。

 本稿では、ASP.NETが提供する、Webフォーム、ASP.NET MVCという2つのWeb開発技術を取り上げ、スマートフォン向けのWeb開発を行ううえで、どちらが適しているのかを検証していきたい。

Webアプリとネイティブ・アプリの比較

 スマートフォン向けのアプリを作成する場合、HTMLベースのWebアプリとして提供するか、端末に直接インストールするネイティブ・アプリとして提供するかを最初に検討する必要がある。

 ほとんどのアプリはどちらであっても作成可能だが、表1に示す特徴から、素早く多くの端末に対応させたい場合は、Webアプリを選択し、各スマートフォンに搭載されたデバイスに特化したサービスを構築したい場合や、実行速度を重視する場合はネイティブ・アプリを選択することになる。

ネイティブ・アプリ Webアプリ
開発利用技術 プラットフォームで異なる
・iPhone(Objective-C、MacOSのみ)
・Android(Java)
・Windows Phone 7(C#、VB、など)
プラットフォーム間で同一
HTML/CSS/JavaScript
開発環境 無料 無料
プラットフォーム間の移植性 低い 高い
アプリの配布・課金 有料の開発者登録が必要
(基本的に)審査後にマーケットプレイスでの公開
自前のWebサーバで公開
特に審査などはない
利用者からの課金 プラットフォームごとのマーケットが利用可能 自前で構築
高度なUIの表現 容易 難しい
デバイスへのアクセス すべてのデバイスにアクセス可能 Webブラウザでアクセス可能な範囲
表1 Webアプリとネイティブ・アプリの比較表

 以下では、この表の内容を利点と欠点という形でまとめ直す。

ネイティブ・アプリ

【利点】

 加速度センサやカメラなど、スマートフォンに搭載されたデバイスの力を最大限に発揮できる。また、有料の開発者登録をすることで、プラットフォームなどが提供するマーケットプレイスを利用してアプリの配布を行えるようになる。

 Webアプリに比べて高速に動作する。このほかにも、常に起動していたい、例えば「サービス」のようなアプリを構築したい場合も、ネイティブ・アプリを選択する必要がある。

【欠点】

 プラットフォームごとに開発環境が異なるため、1つのソース・コードで複数のプラットフォームに対応するには、PhoneGapなどのJavaScriptなどの共通コードからネイティブ・アプリを生成できるサービスを利用する必要がある。

 マーケットプレイスでのアプリの公開には、(基本的に)プラットフォームでの審査が行われるため、公開には若干のリード・タイムが必要となる場合があるので注意したい。また、iPhoneのネイティブ・アプリの開発には、Mac OSを搭載したコンピュータが必要となる点にも注意が必要だ。

Webアプリ

【利点】

 スマートフォン向けといっても、あくまでHTMLをはじめとする、Webの標準技術で構築するため、プラットフォーム間の移植性が高く、多くの端末に対応したサービスを手軽に、素早く開始できる。

【欠点】

 高度なUI(ユーザー・インターフェイス)を必要とする場合は、JavaScriptとCSSを駆使して構築する必要がある。また、(GPSなどの一部機能を除き)カメラや加速度センサなどの端末に搭載されているハードウェア機能を直接利用することはできない。

Webアプリの特徴:ビューポート(ViewPort)

 また、特に注意してほしいWebアプリならではの特徴として、「ビューポート(ViewPort)」(=ブラウザのコンテンツ領域)がある。

 iPhoneのWebブラウザでコンテンツを表示すると、何も指定しない場合、ビューポートの横サイズは980ピクセル(Android端末は800ピクセル、Windows Phone 7端末は1024ピクセル)となり、論理画面サイズが(例えば)320ピクセルしかない領域にこのビューポートが表示されると、Webコンテンツが非常に小さく表示される。図1はWindows Phone 7のエミュレータ(後述のコラムを参照)上のWebブラウザ「IE Mobile」(以下、IE)でHTMLコンテンツを表示した例だ。

図1 Windows Phone 7のIEで、ビューポートを指定せずにHTMLコンテンツを表示した例

 もちろん、読みやすい大きさまでコンテンツの表示を拡大すれば、この表示でも問題ないのだが、できればデバイスのWebブラウザに最適化した解像度でコンテンツを表示したい。そこで登場するのが、「ビューポートの指定」だ。

 たいていのスマートフォンのWebブラウザでは、次のHTMLコードのように<meta>タグを指定すると、デバイスに最適化されたサイズでコンテンツを表示できる。

<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0, minimum-scale=1.0, maximum-scale=1.0, user-scalable=no" />

 このようにビューポートを指定した場合の表示例を図2に示す。

図2 Windows Phone 7のIEで、ビューポートを指定してHTMLコンテンツを表示した例

[コラム]スマートフォンのエミュレータ

 Webページの見え方を確認するうえでは、実機で確認するのが一番だが、開発中のちょっとした表示や動作確認なら、それぞれのプラットフォームに用意された、エミュレータを利用するのが手っ取り早い。それぞれ次のURLからエミュレータをダウンロードできる。

 iPhone SDKの純正エミュレータはMac OS向けのみの提供となるが、無料のMobile SafariエミュレータであるiBBDemo2を利用すれば、Windows環境でもiPhoneでのブラウザ表示をエミュレートできる。

 以上、Webアプリの特徴を理解しやすいように、ネイティブ・アプリとの違いを説明した。次のページからは、実際にASP.NET技術を利用したスマートフォン向けWebアプリの開発方法を見ていこう。


 INDEX
  .NETによるスマートフォンWeb UI開発ガイド【導入編】
  Webフォーム vs. ASP.NET MVC ― スマートフォン向けWeb開発で使えるのはどっち?
  1.Webアプリとネイティブ・アプリの比較
    2.Webフォームを利用したコントロール中心の開発
    3.ASP.NET MVCを利用したHTML中心の開発
    4.WebフォームとASP.NET MVCの使い分け指針

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