特集

.NET Framework 3.0概説(前編)

.NET Framework 3.0がソフトウェア開発にもたらす価値とは?

マイクロソフト株式会社 中原 幹雄
2006/11/15
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 今回から2回にわたり、.NET Frameworkの最新バージョンであり、Windows Vista世代の新しいアプリケーション開発基盤テクノロジである「.NET Framework 3.0」(以前は“WinFX”という開発コード名で呼ばれていた)について解説していく。

 前編に当たる今回では、.NET Framework 3.0の全体像や新機能についての概要を紹介していく。

1. .NET Framework 3.0とは何か?

 .NET Frameworkはご存じのとおり、マイクロソフト・プラットフォームの中核を成しているアプリケーション開発基盤テクノロジである。

 2002年にバージョン1.0が登場以来、2003年にはWindows Server 2003とともにリリースされたマイナー・バージョンアップ版のバージョン1.1が、そして2005年には初のメジャー・バージョンアップ版であるバージョン2.0がリリースされている。

バージョン CLRバージョン リリース時期 関連プロダクト 対応開発環境
1.0
1.0
2001年Q4
Visual Studio .NET 2002
1.1
1.1
2003年Q2
Windows Server 2003 Visual Studio .NET 2003
2.0
2.0
2005年Q4
Windows Server 2003 R2、SQL Server 2005 Visual Studio 2005
3.0
2.0
2006年Q4
Windows Vista Visual Studio 2005+“Orcas”プレビュー *
※正式な開発環境はVisual Studio “Orcas”
.NET Frameworkのロードマップ
* “Orcas”プレビューについては本稿の最後で説明する。

 .NET Framework 3.0は.NET Framework 2.0からのメジャー・バージョンアップ版であり、Windows Vistaにプレインストールされてリリース、すなわち初めてクライアントOSにプレインストールされてリリースされる.NET Frameworkとなり、「Windowsアプリケーションの標準APIとしての.NET Framework」という位置付けがいままで以上に強くなっている。

 では.NET Framework 3.0とはどういうものなのか? それを概観したものが以下の図になる。

.NET Framework 3.0の構成
基本クラス・ライブラリやCLRは.NET Framework 2.0のものがそのまま含まれている。これに4つの新しいコンポーネントが追加されて.NET Framework 3.0となっている。

 この図で示しているポイントは2つある。

 1つ目は、.NET Framework 3.0は.NET Framework 2.0に追加される形で構築されている、という点である。

 過去.NET Frameworkは、1.0から1.1、1.1から2.0と2度のマイナーおよびメジャー・バージョンアップを果たしているが、いずれのケースでも.NET Framework基本クラス・ライブラリおよびサブフレームワーク群(WindowsフォームやASP.NET、ADO.NETなど)と、そのランタイム・エンジンであるCLR(Common Language Runtime)は同期してバージョンアップされており、.NET Frameworkの各バージョンで作成したアプリケーションはそれぞれに対応したCLR上で実行される形態になっていた(例えば、.NET Framework 1.1はCLR 1.1上で、.NET Framework 2.0はCLR 2.0上で実行される)。

 しかし.NET Framework 3.0では、CLRはバージョンアップされず、バージョンは2.0のまま据え置きである。また、.NET Framework 2.0のクラス・ライブラリ群のアセンブリ・バージョンもすべて据え置きである。これはつまり、.NET Framework 2.0上で作られたアプリケーションは基本的にはそのまま.NET Framework 3.0環境上で動作することを意味している(“基本的に”と濁した表現を使っているのは、場合によっては必ずしもまったく動作テストをしなくていいというわけではないからだ。この点については次回の後編で詳しく解説する)。

 2つ目のポイントは、以下の4つの新しいコンポーネント群が追加されている点である。

  • Windows Presentation Foundation
    (以下、WPFと略。開発コード名“Avalon”)

  • Windows Communication Foundation
    (以下、WCFと略。開発コード名“Indigo”)

  • Windows Workflow Foundation
    (以下、WFと略)

  • Windows CardSpace
    (以下、WCSと略。以前は“InfoCard”と呼ばれていた)

 .NET Framework 3.0は.NET Framework 2.0に対し、約40個の新規アセンブリが追加される構成になっているが、追加アセンブリのほとんどはこの4つのコンポーネントのいずれかに属しており、

.NET Framework 3.0 =
  .NET Framework 2.0 + WPF + WCF + WF + WCS

といっても過言ではない。

 それでは、.NET Framework 3.0から追加された主要コンポーネントであるWPF、WCF、そしてWFについて、それぞれその特徴を見ていく。

 なお、本稿ではWCSについての解説は割愛させていただく。WCSについてはこちら(「MSDN:Windows CardSpace の紹介」)を参照いただきたい。

 

 INDEX
  [特集] .NET Framework 3.0概説(前編)
  .NET Framework 3.0がソフトウェア開発にもたらす価値とは?
  1..NET Framework 3.0とは何か?
    2.WPF(Windows Presentation Foundation)
    3.WCF(Windows Communication Foundation)、WF(Windows Workflow Foundation)
    4.対応プラットフォームと開発環境
 
  [特集] .NET Framework 3.0概説(後編)
  .NET Framework 3.0新技術の使い分け指針
    1.WPF活用時の考慮点
    2.WCF活用時の考慮点
    3.WF活用時の考慮点
 

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