特集:フレッシュマン企画

【2006年度版】
.NET開発者のためのオンライン・リソース・ガイド

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2006/04/22

本稿は「.NET開発者のためのオンライン・リソース・ガイド」の改訂版である。

 本稿は、これから.NETでプログラミングを始めようとしている方や、新しく.NETでの開発に携わることになったフレッシュマンに贈るオンライン・リソース・ガイドの2006年度版である。インターネット上に数ある.NET関連サイトの中で、.NET開発者がまずは押さえておくべきWebサイトについてまとめている。

本稿がまとめているサイト&ジャンル分けについて

 .NET開発者がよく利用するサイトの代表は、やはり.NET Framework & Visual Studioを提供するマイクロソフトのサイトだろう。だがひとくくりに「マイクロソフトのサイト」といっても、マイクロソフトが運営するサイトは本当にたくさんあり、それぞれのコンテンツも膨大となっている。さらにそれにマイクロソフト以外のサイトも加えてしまうと、とても消化できる情報量ではないだろう。実際にそんなことをしていれば、サイトの情報を読むだけで一日が終わってしまうに違いない。

 そこで本稿では、.NET開発者がよく使うサイト、本当に使えるサイトに厳選して紹介する。

 また本稿では、サイトを整理して分かりやすくするために、簡単なジャンル分けを行っている。具体的には、次の3つのジャンルだ。

  1. 技術解説が多数掲載されているサイト
  2. サンプル・コードや実装技術情報が充実しているサイト
  3. 掲示板やブログなどのコミュニティ・サイト

 なお現実的には、これらの複数のジャンルに属しているサイトが多いが、最も特徴的なコンテンツから筆者が独断でジャンル分けしていることをお断りしておく。

 以下の記載で、 というマークが付いているサイトは英語のコンテンツ・サイトで、それ以外は日本語のサイトだ。また というアイコンは、そのサイトのRSSフィード(RSSリーダーなどのツールを使って、より効率的に情報収集するための仕組み)へのリンクである。RSSリーダーについては、本稿最後の「RSSリーダーを活用しよう!」という項目を参照されたい。

1. 技術解説が多数掲載されているサイト

 まずは、アプリケーションを構築するうえで欠かせない.NETのクラス・ライブラリの情報や、.NETのコア・テクノロジについての技術解説記事などが充実しているサイトを紹介する。この手のサイトは、やはり.NET開発者が最も頻繁に利用する種類のサイトである。

MSDN2 ライブラリ
MSDN2 Library

 MSDN2ライブラリは、主に.NET Framework 2.0クラス・ライブラリとVisual Studio 2005(以降、VS 2005)、SQL Server 2005に関連する技術情報、サンプル・コードなどを含む製品ドキュメントを提供しているサイトである。このサイトは.NET開発を行う限りは必ずやお世話になるだろう。

 ここでは日本語と英語(米国)のサイトの両方を紹介しているが、基本的に日本語のサイトを参照すれば事足りる。ただし日本語サイトの内容の多くは英語サイトの内容を翻訳したものであり、一部の日本語コンテンツはその訳が不適切だったり不明瞭だったりする。そのような場合には英語サイトの方で原文を確認すればよい。


MSDN ライブラリ
MSDN Library

 ここでは分かりやすいように敢えて分けて紹介しているが、MSDNライブラリは上記のMSDN2ライブラリとは異なり、従来の.NET Framework 1.xおよびVisual Studio .NET(以降、VS.NET)に関する製品ドキュメントを提供するサイトだ。

 まだVS.NETを利用している場合や、VS.NET用のコードなどを扱う場合にはこちらのサイトを参照する必要がある。


MSDN Japan ホーム
MSDN Home

 MSDNホームは、その名のとおり、開発者向け情報を提供するMSDN(Microsoft Developer Network)のトップ・ページである。

 マイクロソフトが発信する.NET開発関連の最新情報を入手するには、まずここにアクセスするとよい。RSSフィードも用意されているので、RSSリーダーを使って情報収集することもできる。


MSDN Magazine
MSDN マガジン オンライン日本語版

 『MSDN Magazine』は、先進的で高度な技術情報を掲載する月刊誌なのだが、その内容がリアルタイムにオンラインでも読める。かなりレベルの高い技術情報もたくさん取り上げられているため、先端技術に触れたいと考えるなら、欠かさず読みたいオンライン・コンテンツである。

 翻訳された記事が掲載される日本語版の雑誌は残念ながらすでに廃刊してしまったが、現在ではこのオンライン日本語版が提供されている。ただし、オンライン日本語版の公開は英語版の数カ月後になってしまっているだけでなく、すべての記事が翻訳されるわけではないのが現状だ。


Microsoft patterns & practices
Microsoft patterns & practices 日本語版

 Microsoft patterns & practicesでは、.NETアプリケーションの構築における一般的なアーキテクチャや共通的な設計パターン、数多くの事例から得られたプラクティス(=実践すべき項目)に関する情報が掲載されている。

 特に大規模アプリケーションの構築に携わる.NETアーキテクトなら、ここに取り上げられている情報は一通り知っておきたい。やはり英語版(米国)の方が、公開されている情報は多いが、有用な情報は鋭意、日本語に翻訳されているので、まずは日本語サイトを確認してみるとよいだろう。


TheServerSide.NET

 TheServerSide.NETは、.NET全般の情報を提供しているサイトで、特にエンタープライズ系の情報や先進的な情報を積極的に公開している。1日に公開される情報も数件程度と適度なので、.NETで最先端の情報を毎日ウォッチするにはもってこいのサイトである。

 取りあえずはRSSフィードを購読して、このサイトの新着情報を収集することをお勧めする。


Visual Studio Magazine

 Visual Studio Magazineは、同名の雑誌(FTPOnline社発行)の公式Webサイトである。.NET関連のレビュー、オピニオン、インタビュー、技術解説、書籍紹介、レポート記事など、しっかりとした読み応えのある記事が公開されている。

 内容はアーキテクチャの話題からプログラミング(実装)の話題までさまざま。MSDN Magazineと同様に、雑誌(月刊)で掲載された記事がインターネット上で読める。


【ビデオ・コンテンツを提供するサイト】
MSDN TV
Channel 9
MSDN eye
300 秒でズバリ !! [Visual Studio 2005 対応版]
300 秒でズバリ !! [Visual Studio .NET 版]

 最近では、ストリーミングによるビデオ・コンテンツでも情報収集ができるようになってきている。特にマイクロソフトのサイトでは、積極的に数多くのビデオ・コンテンツが提供されている。

 MSDN TV英語版(米国)が公開するビデオ・コンテンツには、実際の製品やプラットフォームの開発者がその機能概要などを直接語っているものや操作デモなどもあり、映像でテクノロジの説明が見聞きできるので直感的に理解できることが多い。気になるテクノロジがある場合は、そのテクノロジのビデオ・コンテンツがないかどうか、これらのサイトを一度調べてみるとよいだろう。

 また「300秒でズバリ!!」シリーズは、冗長になりがちな技術解説を、映像と音声を活用して5分という短い時間で凝縮して伝えようという試みだ。すでに多くのコンテンツがそろっているので、.NET初学者はまずはこれを一通り眺めてみるのもよいだろう。


@IT/Insider.NETフォーラム

 @IT/Insider.NETフォーラムは、本稿が掲載されている.NET専門のサイトで、.NETの最新技術情報やC#、VBなどのプログラミングに関する解説記事、コーディングに役立つ.NET TIPSなどを多数公開している。ぜひこれからも定期的にご利用いただければ幸いである。


【コラム】技術情報の検索について

 技術情報を検索する際、MSDN2ライブラリサポート技術情報のコンテンツが最も役立つだろうが、これらのコンテンツは、検索エンジンであるGoogleで上位にヒットするので、まずはそちらで検索した方が使い勝手がよいことが多い。
 なおGoogleでは、
 site:msdn2.microsoft.com/ja-jp writeline
といったように、「site:」に続けて検索対象となるサイト名を指定し、その後に(半角スペースを空けて)キーワードを入力することで、そのサイト内のみの検索が行える(この例では「msdn2.microsoft.com/ja-jp」内で「writeline」というキーワードの検索を行っている)。余計な検索結果を省きたければ、このsite:指定を覚えておくと便利だ。

2. サンプル・コードや実装技術情報が充実しているサイト

 例えばある機能の実装方法やクラスの使い方が分からないとき、そのサンプル・コードがすぐに手に入れば、実際に動作する完成したコードから実装方法を学ぶことができる。ここでは、そのようなサンプル・コードや実装技術情報が充実しているサイトをいくつか紹介しよう。

CodeZine

 CodeZineは、翔泳社が運営するサイトで、ソース・コードを含む実装寄りの技術情報を提供しており、実際に何かを開発する際に参考にできる情報が多い。

 現在は翻訳記事(その多くはjapan.internet.comからの転載らしい)を中心に公開しているが、基本スタイルは読者から投稿された記事を順次公開するシステムになっている。優れた.NET開発ノウハウを持っている読者諸氏は、日本の.NET開発を盛り上げるためにも、ぜひ投稿してみてはいかがだろうか。


The Code Project

 The Code Projectでは、12000を超える記事(article)、サンプル・コード(アプリケーション全体のコード)、スニペット(断片的なコード)などが公開されている。

 対応している開発言語は、C#、Visual Basic、MFC/VC++、HTML/CSS/JavaScriptなどさまざまだが、特にC#のものが多い。またジャンルとしては、ASP.NETのコードやWindowsアプリケーション用のコントロールが充実している。The Code Projectは、サンプル・コードを提供するオンライン・リソースの中で最もお勧めできるサイトの1つだ。


【プログラミングTIPSを提供するサイト】
@IT:.NET TIPS
DOBON.NET
C# と VB.NET の入門サイト
10 行でズバリ !! [Visual Studio 2005 対応版]
10 行でズバリ !! [Visual Studio .NET 版]
ステップ 7 ハンズオン シリーズ
MSDN Tips シリーズ
ASP.NET 2.0 スクリーンキャスト

 ちょっとした開発テクニックを記事化したTIPSのコンテンツは、実際の開発でヒントとなったり、そのまま流用できたりすることが多い。日本ではこのようなTIPSコンテンツを提供するサイトが非常に多いが、それはやはりTIPS情報の1つ1つが非常にコンパクトなので、個人的にも情報公開しやすいからだろう。

 TIPS情報には、現実的にはGoogleなどの検索エンジンから探して、たどり着くケースが多いだろうが、見つかりにくい場合はこれらのTIPSサイト内を探してみるとよいだろう。

3. 掲示板やブログなどのコミュニティ・サイト

 以上で紹介してきたサイトのほとんどは、メディアとして一方向の情報提供を行うものだ。しかし、技術的な質問をしたい場合や、よりインタラクティブに情報交換したい場合などは、掲示板(BBS)やブログなどのオンライン・コミュニティが役立つ。

MSDNフォーラム
MSDN Forums

 MSDNフォーラムは、Visual Studioを提供するマイクロソフトが公式にサポートする掲示板である。特に製品に密接に関連する質問はこの掲示板を利用するとよいだろう。

 なお、従来は「GotDotNet Japan」というマイクロソフトが運営する掲示板があったが、2006年3月31日以降は掲示板機能を停止し、全面的にこのMSDNフォーラムへ移行している(2006年6月末日より閲覧もできなくなる)。


@IT/Insider.NET会議室

 Insider.NET会議室は、この記事が掲載されているサイトが運営する掲示板で、.NET関連の質疑応答が活発に行われており、利用者も多い。また過去の質疑応答は、もちろんキーワード検索することもできるが、「ディレクトリ分類による検索」(=テクノロジごとにスレッドを分類している)も提供されている。


Visual Studio ユーザーグループ(VSUG)

 翔泳社が運営する掲示板で、名前のとおりVisual Studioを中心として.NET開発全般の質疑応答が行われている。各フォーラムには専任のボードリーダーがいるので、掲示板の管理が行き届いているのが特徴だ。


MSDN ブログ
MSDN Blogs

 MSDNブログやMSDN Blogsでは、マイクロソフト社員によるブログの新着記事がまとめて表示される。ブログでしか公開されないような細かい情報や、ほかでは公開されていない最新情報も多いので、そのような情報をチェックしたい先進的な.NET開発者は、両サイトのRSSフィードを購読するとよい。


GotDotNet

 米国のGotDotNetは、.NET系のオープンソース・プロジェクトを管理する「Workspaces」という機能があり、主に.NET開発関連のフリー・ツールが開発されている。例えばVisual Studio関連でほしいと思っている機能などがWorkspacesでツールとして提供されているといったこともあるので、そのような場合はぜひチェックしてみるとよいだろう。また自らオープンソース・ツールの開発メンバーとなり、世界の.NET開発者のために貢献するのも悪くないだろう。


MSDN Product Feedback Center

 MSDN Product Feedback Centerは、.NET FrameworkやVisual Studio関連のバグなどを報告するためのサイトだ。

 もしマイクロソフトの開発製品(クラス・ライブラリも含む)でバグを見つけたら、ここで報告するとマイクロソフト社員が対応してくれ、次期バージョンでの対応や回避策などの応答が得られることがある。日本語で入力できるので、必ずしも英語が読み書きできる必要はない。また同じバグが報告されていないかここで検索すれば、そのバグの回避策などの情報を得られることがある。

RSSリーダーを活用しよう!

 最近のサイトの多くは、新着記事の要約情報などを「RSS」と呼ばれるXMLファイルで配信している。そこで「RSSリーダー(もしくはRSSアグリゲータ)」と呼ばれるRSS収集ツールを使えば、これらの情報(RSS)を定期的に収集して、Webサイトを開くことなく記事をまとめて読める。

 RSSリーダーとしてはさまざまなものが無償で入手可能であるが、現在最も普及しているのは次のものだろう。

goo RSSリーダー

 ウェブ版、アプリ版、ケータイ版の種類がある。どれを利用してもOutlookなどのメーラーでメールを読むような感覚でWeb上の記事を読むことができる。同一PC上で利用するならアプリ版がお勧めだが、複数のPCでRSSリーダーを共有したい場合はウェブ版がお勧めだ。

 本稿で紹介したサイトの多くがRSSを配信しているので、日常的に読みたいサイトはそれをRSSリーダーに登録しておくと新着情報を効率的かつ網羅的にチェックできる。

 今回は技術情報が入手できるオンライン・サイトを説明したが、もちろんここで紹介したものはほんのごく一部でしかない。しかしまずはこれらのサイトをチェックするとともに、必要な情報を的確に検索できるテクニックを磨いてさえおけば、たいていの場合で事は足りるだろう。現在では非常に多くの情報を簡単に見つけることができるが、その取捨選択に無駄な時間を取られないようにしたいものである。

 なお、.NET関連の情報を提供する雑誌メディアもいくつかあり、これらの雑誌や書籍から情報収集することも考えられる。.NETに関しては日本では次のような雑誌が代表的だ。

 雑誌や書籍のメリットはやはり携帯できるところにある。出勤や帰宅の電車の中などでゆっくりと情報収集したい場合などでは、このような雑誌や書籍から情報収集するのもよいのではないだろうか。End of Article



Insider.NET フォーラム 新着記事
  • 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
     ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている
  • 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
     Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう
  • 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
     C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える
  • Presentation Translator (2017/7/18)
     Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Insider.NET 記事ランキング

本日 月間