特集

.NET開発者のためのPDC 2003レポート

吉松 史彰
2003/11/12

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PDC(Professional Developers Conference)とは?

 米国Microsoft本社が開催する大規模イベントは、大きく分けて2つある。1つは毎年6月に開催されるTechEdで、Microsoft最大のテクニカル・イベントである。もう1つがPDC(Professional Developers Conference)で、開催は不定期である。このうちTechEdは、開発者のみならず、Microsoftテクノロジをベースとするシステムの運用管理を行う、いわゆるITプロもターゲットにしている。一方のPDCは、名前のとおり開発者だけを対象に、Microsoftが現在取り組んでいる近未来の様子を見せ、製品について早期のフィードバックをもらうことを目的に開催される。つまり、特に早期に見せるべきものがなければ、PDCは開催されないのである。最近の例だと2000年、2001年には開催されたが、2002年には開催されず、今年の開催は2年ぶりとなった。

 PDCでMicrosoftが見せるのは、あくまでも近未来の技術であり製品であるため、PDCで発表された技術仕様や、PDCをきっかけに公開された製品の早期評価版は実業務での利用に耐える品質のものではない。仕様は開発者からのフィードバックを元に「必ず」変更される。製品の内容も大幅に変更される。PDCは、いくらか先にある未来に備えるためのイベントである。

PDC 2003で明らかになったこと

 ロサンゼルスで開催された今年の「PDC 2003」は、.NET Frameworkが発表された2000年のPDCに匹敵するインパクトを備えていた。PDC 2003で発表された製品/技術は大きく3つ、すなわちYukon、Whidbey、Longhornに分類することができる。

1) SQL Server “Yukon”

 Yukonは、今回のPDCで発表になった3つの新製品/技術のうちで現在最も実装の安定度が高いものである。PDC開催前にすでに(アルファ版ではなく)ベータ版が早期評価のために配布されているし、2003年7月に開催された日本のTechEdでも解説のセッションがあったほどである。そのため、Yukonの特徴についてはすでにほかの場所で耳にしたことがあるかもしれない。その情報に大きな変更はなかったといっていいだろう。

 開発者にとってのYukonの魅力はいくつかある。まず、Yukon自身が共通言語ランタイムのホストになることが挙げられる。SQL Serverのストアド・プロシージャをC#やVisual Basic .NET(以下VB.NET)などの.NET対応プログラミング言語で記述できるということである。さらに、SQL Server上でADO.NETのコードを実行できるため、非常に柔軟かつ高速に動作するコードが記述できるようになる。

 また、XML機能の強化も見逃せない。Yukonでは、データベース上のあるテーブルのカラムを「XML型」として定義できる。XML型のカラムには、XML文書を格納することができる。XML型のカラムには専用のインデックスを付けることができるため、XML文書中のある一部分を対象に高速な検索を行うことができる。

 XML機能の強化で無視できないのがW3CのXQuery仕様への対応である。XQueryを使うことで、従来のDOMやXPathでは難しかった集合演算を含むクエリを簡単に記述できるようになる。また、XQueryライクな文法でXMLカラムのデータを更新するためのTransact-SQLの文法が追加されている。

 実はもう1つ重要な機能がある。Yukonには「Service Broker」と呼ばれる機能が追加される予定である。Service Brokerは、2つのYukonのインスタンスの間でメッセージをやりとりすることで、非同期に動作するサービスを実装するためのメカニズムである。メッセージ・キューのようなサービスがSQL Serverの内部に統合されているものと考えることができる。重要な点は、この機能がSQL Serverに実装されるため、キュー自身をデータベースのように扱うことができ、これによりトランザクショナルな処理を行ったり、統計情報を得たりすることが可能になることである。この機能についてはまだあまり紹介されていないが、BtoBを含む企業アプリケーションになくてはならない機能を実装しているため、開発者にとっては注目に値する技術である。

2) “Whidbey”

 Whidbeyは、.NET Framework/Visual Studio .NETの次期版のコードネームである。PDCで配布されたPreview版ではバージョンが1.2.30703.27となっているWhidbeyだが、.NET Frameworkのバージョン1.0から1.1、またはVisual Studio .NETのバージョン2002から2003への変更がバグフィックス程度にとどまっているのに比べると、この1.1から1.2へのアップグレードは非常に大きなステップになっている。Whidbeyのいくつかの新機能については後ででもう少し詳しく解説する。

3) Windows Codename Longhorn

 Windowsはこれまで、いくつかの節目を経験してきた。1995年にWindows 3.1からWindows 95へのバージョンアップが行われたときには、深夜に販売店に行列ができた。Windows NT 4.0によって、企業にWindowsシステムが浸透し始めた。Windows 2000によってCOMベースのアプリケーションの開発・運用が確立した。Windows Codename Longhornはその次の波である。

 Windows XPやWindows Server 2003もさまざまな意味でWindowsの節目となるものかもしれないが、これらはWindows 95やWindows 2000のインパクトに比べればマイナー・バージョンアップであるといわざるを得ない。ウソだと思うなら、それぞれのOS上でWinver.exeを実行してみてほしい。Windows 2000はVersion 5.0、Windows XPがバージョン5.1、Windows Server 2003がVersion 5.2であることが分かるはずだ。ちなみに、PDCで配布されたLonghorn Developer PreviewではVersion 6.0が表示される。Longhornは、Windows 95に匹敵するインパクトを持つ新しい波である。

 LonghornというOSは、大きく次の4つの部分に分けることができる。

  • Base Operating Systems Services(BOSS)
  • Presentation Services(Avalon)
  • Storage Services(WinFS)
  • Communication Services(Indigo)

 今回のPDCでは、Microsoft外部の多くの開発者の関心事である、BOSSを除く3つの部分についての解説に多くの時間が割かれていた。

 

 INDEX
  [特集].NET開発者のためのPDC 2003レポート
   1.PDC 2003で明らかになったこと
     2.Whidbeyの新機能(1)
     3.Whidbeyの新機能(2)
 

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