特集

女性エンジニアが本音を語る座談会

ソフトウェア業界で働く女性の実情とは?

座談会参加者:eパウダ〜
(聞き手、文責:デジタルアドバンテージ 一色 政彦)
2007/08/07
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 開発者やエンジニアというと、どうも「パソコンに黙々と向かう『男性』」がイメージされることが多い。しかしここ数年、そんなイメージを払しょくするように、女性エンジニアの活躍が目に留まるようになってきた。さらには、IT業界で働く女性エンジニアが運営するコミュニティも盛んになってきている。

 そこでInsider.NET編集部では、女性エンジニアらを招いて座談会を開き、「現在のソフトウェア業界についてどのように思っているのか?」「開発者として働く理由」「女性エンジニアとして働く喜びや苦悩」などについて、彼女らの本音を率直に聞いてみた。男性エンジニアに対するコメントもふんだんに盛り込まれているので、女性だけでなく、男性にとっても本稿の内容は参考になるだろう。

 今回の座談会には「eパウダ〜」にご協力をいただいた。eパウダ〜は女性エンジニアのためのコミュニティで、特に(.NET開発を含む)マイクロソフト系の開発者たちの間では知名度も高い。座談会の参加者は、eパウダ〜所属の次の6人である(敬称略。以下同)。

  • 山田 真由美
  • 藤城 さつき
  • 永幡 直子(なおこ(・∀・))
  • 林 宏美
  • M
  • 村岡 淳子
[注意]ジェンダー(=性差)に絡む問題について

本稿のように、エンジニアを男性/女性に区別することに対して、社会・文化的な平等性の観点からよく思わない読者もいると思う。しかし現実には、身体や精神において生物学的な性差(例えば妊娠など)は存在し、それによる仕事への影響は無視できないものがある。従って筆者はそういったことをよく理解するためにも、あえて「女性」エンジニアという事項について積極的に目を向けてみたいと考え、今回の座談会を企画した。

女性にとって、ソフトウェア開発はどのような仕事なのか?

女性から見た開発者/エンジニアという職業に対するイメージ

―― 皆さんが開発者になる前は、ソフトウェア開発の世界って、女性の目から見てどのようなイメージでしたか? 女性で開発者になるということについて不安はなかったのでしょうか?

山田 わたしは学生時代から授業でプログラミングを学んでいました。本当はその当時、ゲーム業界にあこがれていたので、ゲーム会社に入ることを目指していました。ですが、(入社の競争率などの)厳しい現実を見て、であれば一般的なソフトウェア開発企業のプログラマーやSEになりたいと思い、結果的にソフトウェア業界に入ることを決めました。

 入社する前のイメージは「やっぱり男だらけだろうなぁ」と思っていましたが、実際にそうでした(笑)。でも、学校自体も男だらけで慣れていたので、特に不安などはなかったです。

現場での「男性」対「女性」の比率

―― やはり女性の割合は、学生時代も入社してからも少ないですよね?

村岡 私は以前、専門学校でプログラミングを教えていました。その授業では、男の子20人に対して、女の子が2人ぐらいの割合でした。

山田 えー?! かなり低いですね。

藤城 そこまで女性が極端に少ないと、みんな仲良し?

村岡 仲良しですね〜。男の子と女の子に分かれることもなく、割と普通に仲良しでした。

 それは職場と一緒ですよ。

―― ちなみに、就職したソフトウェア会社での女性の割合はどれくらいでしたか?

藤城 女性はわたし1人、という職場がほとんどです。

半数の人 わたしも。

 わたしの場合は、3割ぐらいが女性です。

山田 それは多い方ですね。

M この前、eパウダ〜で紹介されていたネットの記事に、300人の女性SEに対するアンケートなどがありましたよ。

藤城 300人も女性SEがいることに驚きました。すごいなぁと思って。一体どこに隠れているんでしょうねぇ(笑)。

村岡 派遣協力会社に登録している女性SEはけっこういますよ。

―― 女性がソフトウェア開発会社に入社するのは困難なのでしょうか?

M わたしはゲーム会社に勤めています。システム開発に携わる女性プログラマーへの門戸は広いです。だけど、ゲーム開発者となるとガクッと減るんですよ。

―― それはゲーム開発には女性の応募者が少ないからなんでしょうか?

M 確かに応募者も少ないですが、1割ぐらいはいるんです。でも、たぶん実際に入社できる人は本当に(約100人に)1人か2人ぐらいなんですね。

―― 女性がゲーム開発者になるのは難しいんですね。

M そうですね。技術開発やネットワーク・システム管理系などの、ゲーム開発ではない仕事には、それなりに女性がいるんですけども、なぜかゲーム開発になると少なくなっていますね。あとはやっぱりもともと「ゲームを作りたいです」というだけの人はあまり採用しないことが多いのですよ。そういうマインドだけではなく、さまざまな要素、スキルや指向性の人達を採る方針なのですが、女性の応募者の場合「ゲームを作りたいです」という気持ちを最優先している人が多く、もともとゲームに興味のない人はあまり応募してこないのではないか、とか思います。

開発者になったきっかけ

―― ところで、女性エンジニアである皆さんは、どのようなきっかけでプログラミングを始めたのですか?

M わたしは工学系の勉強がしたくて、理系の大学に入りました。行ってみたら、「あっ、そうか! (女性のわたしも)プログラミングを勉強しないといけないよね……」と、そこで初めて気付きました。それがきっかけです。

―― 文系出身の方はどうでしょうか?(参加者の半分が文系出身)

 私は学校の授業でプログラミングの実習があって、そのときに初めてプログラミングに触れたのですが、そのときわたしは、それを「面白い」と思ったんですよ。人によって書き方が全然違うじゃないですか。

村岡 それは、まずくないですか?

一同 あははは(笑)。

 課題をこなすにも、ある人はこういうアプローチ、ある人は違ったアプローチと、さまざまなロジックを組み立てます。だから、「プログラミングというのは表現できる世界なんだ」と思ったのです。

一同 あ〜、なるほど。分かる分かる。

―― まぁ男性でもアルゴリズムやロジックに凝って、「おれの書き方はスマートなんだ!」というのはありますよね(笑)。

一同 (爆笑)

村岡 確かに(人によって)アルゴリズムやロジックが違うっていうのは分かる。

―― ほかの方はどんなきっかけですか?

村岡 わたしはみんなと全然違って、(開発者になる前に)専業主婦の期間が長かったのですが、たまたま「専門学校の事務に席が空いているからおいでよ」と誘われて、いつの間にかプログラムを組むようになり、「どうせだったら学生に教えてみない」という話になり、気が付いたら開発者の道に進んでいました。事務の仕事もそうなんですけど、手作業よりもプログラムを作ってしまった方がミスも少なくなるし、作業も早く終わるし、自分が楽をできますよね。プログラミングを始めた理由はただ単純にそれだけなんです。でも、やってみたらすごく面白かった。達成感を感じられます。

なおこ わたしは最初、スーパーマーケットのレジで働いていたんですけど、でもお客さんとけんかしたりすることも多くて…・・・(笑)。「わたしには客商売はどうも向いていないようだ」と気が付いて、家にたまたまパソコンがあったので、パソコンの勉強をしていたんですよ。その後、アルバイトで、Excelで作った棚卸し表にデータを打ち込む仕事などを担当しました。そこでさすがに「面倒くさい」と思ったので、作業を効率化できるプログラミングに興味を持つようになりました。そうなると、「もっとちゃんと開発をやってみたいな」と思うようになり、開発会社に入社したという経緯です。だからやっぱり、ナルシストなのか(笑)、自分が楽になるからプログラミングを始めた。その点では村岡さんと同じなんです。

―― なるほど。皆さんは、身の回りのことを効率化したいと思ったのがきっかけで、ソフトウェア開発というクリエイティブな仕事に入っていったという方が多いんですね。

藤城 わたしは全然違うかも。わたしは短大を卒業した後、音楽をやりたくて就職もせずフリーターだったんです。そのとき、音楽の仕事をするためにパソコンを買ったんですけど、そのときはまだ“Windows”か“Mac”かさえも分からなくて、取りあえずMacを買いに行ったら、その当時Windows 95が出た次の年ぐらいだったので店員にWindows 95をすごく勧められて、それでWindows 95を買ったつもりで、Macを買って帰ってきたんです。

一同 ははははは(笑)。

藤城 それがコンピュータとわたしの最初の接点です。そこで、これで仕事できないかなと思って。1996〜97年当初は、まだ世の中の多くの人はパソコンを持っていなかったので、パソコンを持っているだけで仕事ができたんですよね。簡単なポスターを作ったり、ちらしを作ったりとか、「やりたいです」というと、本当に仕事を発注してくれたので、そういうアルバイトを始めました。それが最初のコンピュータのお仕事です。

 そのころから、「女性として将来のことをまじめに考えないといけない」と考えていました。「女の人って、もしすごく好きな人ができて結婚したら、家族が病気になったり結婚した相手が転勤になったりしたとき、好きで選んだ仕事と大好きな家族のこと、どっちもやりたくて悩むことがあるかもしれないんだよな」と思い、「そういうときに、こういう(自宅でできる)仕事っていいんじゃないかな」と。それでソフトウェア関係の会社を探し始めました。

 その当時は、まだプログラムについてよく分かっておらず、マクロをちょっと組んだことがあるだけなのに、勘違いして「プログラミングの経験はあります!」といったところ(一同:笑)、そのソフトウェア会社は「そうですか」とそのまま採用してくれたんです。だけど、実際には(プログラミングの経験がないから)全然できないじゃないですか。そのころはプログラミングについて教育を行うサービス会社も出始めた時期だったので、そこでCOBOLから学び始めました。

 手に職が付けば、結婚と出産で会社を辞めたりしても、子育てに余裕が出てきたら別の会社に中途採用で採ってもらったり、SOHOのように在宅で仕事ができたりします。そういうところがやっぱり、わたしがこの仕事を選んだ理由の1つですね。

藤城 わたしも、結構前からアメリカでは、プログラマーは在宅で仕事ができるという話を聞いていましたので、「日本でもできるんじゃないか?!」と思っていました。そう思ってソフトウェア業界に就職した女性エンジニアというのは、意外に多いんじゃないかなぁと思います。

村岡 eパウダ〜に登録されている女性エンジニアの中には、介護があるからプログラマーという仕事をやっていますという方も確かいたと思います。女1人で子どもを育てなければならなくなって、「これはできない」「あれもできない」という状況になったことがあるから、「絶対に、もうそうはなりたくない」と思い、「開発もする」「トレーナーもする」「ネットワーク管理もする」と、手に職を付けようと励んでいる方も実際にいらっしゃいます。

藤城 子どもがいる方は、(家事以外の)副職の手段としてやっぱり手に職を持っている方が有利ですね。たとえば技術者の需要がまだまだあるソフトウェア業界なら、結婚する前にプログラミングの経験がない人でも「これから頑張って勉強するのなら、入社はOKですよ」という会社もあるようです。

開発者になって良かったこと

―― では、実際に開発者になって良かったことって何でしょうか?

 わたしは自分で作ったものが実際に動くということ自体が面白いと思っているので、そういう仕事に携われることが一番うれしいですね。

―― 開発自体が楽しい、好きだと思っている方は、どれくらいいるんでしょうか?

全員 楽しいです。

―― 皆さん開発という仕事を楽しんでいらっしゃるのですね。

山田 徹夜しても楽しい(笑)。

藤城 ソフトウェア業界で「プログラミングが嫌い」という人は、たいていすぐに辞めちゃうか、他部署に異動してしまったり。で、プログラマーという仕事を長く続ける人に何が嫌かを聞くと、基本的には「人間関係」という答えが多いです。「仕事内容自体は好き」という人が大半で、「派遣されて常駐しているクライアントの担当者が嫌な人で……」とか、「社内の先輩がすごく嫌な人で……」とか、そういったことが悩みのことが多いみたいですね。

村岡 仕事は面白いよね〜。子どもはいうこと聞かないけど、プログラムは聞いてくれるから(笑)。

一同 (爆笑)

 

 INDEX
  [特集]女性エンジニアが本音を語る座談会
  ソフトウェア業界で働く女性の実情とは?
  1.女性にとってのソフトウェア開発という仕事
    2.開発で生かされる女性の感性/盛り上がる女性エンジニア支援
    3.女性エンジニアの苦悩/男性たちのこんな勘違い

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