.NET Tools
Visual Studio .NETで自作プログラムにセットアップ機能を付ける


4.セットアップを仕上げる(2)

(株)ピーデー
川俣 晶
2002/12/05
Page1 Page2 Page3 Page4 Page5

■スタート・メニューのアイコン修正

 このままセットアップを実行すると、以下のようなメニューが作成されてしまう。

セットアップ実行後のプログラム・メニュー
ここまでの段階でセットアップを実行すると、メニューにはショートカットが登録され、プログラムの実行も可能だが、アイコンが文書アイコンとなっている。

 機能という意味では正しく機能する。[マイハロー]を選べば、ワタソン君自慢のプログラムがスタートするし、[始めに読んでね]を選べば、説明を書いたHTML文書が開く。しかし、プログラムと文書のアイコンが同じというのは格好が悪い。せっかくだから、プログラムのアイコンを変更してみよう。

 統合開発環境のファイル・システムの画面に戻る。そして、左側のツリーからフォルダ名の[マイハロー]をクリックして選択し、右側でショートカットの[マイハロー]をクリックして選択する。こうしてプロパティを見ると、Iconという名前のプロパティがあることが分かるだろう。これを指定すれば、プログラム・メニューに指定アイコンを設定できるというわけである。

プログラム・メニューに登録されるアイコンの設定
ファイル・システムの画面でマイハローのショートカットをクリックし、プロパティでIconプロパティの設定を行う。
  このIconプロパティでアイコン・イメージを指定する。

 Iconという部分をクリックすると、値の横にボタンが出てくるので、それをクリックしよう。すると、ドロップダウンするリストが表示される。その中の[(参照...)]を選択すると、次のような味も素っ気もないダイアログ・ボックスが表示される。

[アイコン]ダイアログ・ボックス
このダイアログ・ボックスは、Iconプロパティの値の横にあるボタンをクリックして、ドロップダウン・リストから[(参照...)]を選択して開く。

 ここで、[参照...]ボタンを押すと、次のようなダイアログ・ボックスが表示される。

[プロジェクトから項目を選択]ダイアログ・ボックス
アイコンの指定ダイアログ・ボックスで[参照...]ボタンをクリックすると開く。ここで[アプリケーション フォルダ]をダブルクリックする。

 ここで、[アプリケーション フォルダ]をダブルクリックする。すると表示内容が以下のように変化する。

[アプリケーション フォルダ]を開いた[プロジェクトから項目を選択]ダイアログ・ボックス
セットアップ・ウィザードで追加しておいたアイコン・ファイル「App.ico」が表示される。

 ここに表示されたApp.icoファイルは、最初にウィザードで登録したアイコン・ファイルである。このファイル名を選択して、[OK]ボタンを押そう。すると、さっきのダイアログ・ボックスに戻る。そして、以下のように指定したアイコンが登録されている。

アイコン設定後の[アイコン]ダイアログ・ボックス
[プロジェクトから項目を選択]ダイアログ・ボックスで、表示されたアイコン・ファイルを選択して[OK]ボタンを押すと、登録されたアイコンのビットマップが表示される。

 ここで、登録したアイコンを選択してから[OK]ボタンを押そう。これでメニューに対応づけられるアイコンが指定された。Setup1をビルドしてインストールしてみよう。

アイコンが設定されたスタート・メニューのショートカット
アイコンの設定後、再度ビルドしたセットアップを実行し、インストールが完了した状態。プログラムのショートカットにもアイコンが設定された。以上でセットアップは完成だ。

 これでひとまず、ワタソン君が欲しいと思ったセットアップは完成である。

 残された問題が1つだけある。それは、.NET Frameworkのランタイムがインストールされていない場合、セットアップが無情にもエラー・メッセージを表示して止まってしまうことだ。気を利かせて、それもインストールしてくれるようなセットアップが作成できればよいのだが、それはまだ実現されていない。.NET FrameworkのランタイムはWindows Updateからインストールすることができるので、それをユーザーにお願いするしかないだろう。なお、Windows Updateでも、標準で無条件にインストールされるわけではなく、ユーザーが明示的に指定する必要があり、その点でも面倒が多いといえる。最近では.NET Frameworkの項目が、意識して調べないと表示されないWindows Updateカタログの方へ移動されたこともあり、なかなか難しいところである。完全な解決策は、マイクロソフトから.NET Frameworkランタイムを入手して、一緒に配布することしかないのかもしれない。

最後に

 ワタソン君は、セットアップを作成できたことで、さらに夢が広がった。ファイルの関連付けや、レジストリへの登録、ワタソン印のスプラッシュ・ウィンドウの表示など、より高度なセットアップを作りたくなってきた。だが、これらの機能は、VS.NETのセットアップ作成機能でも容易に作れるものなのである。もし、この記事の評判がよければ、ワタソン君と一緒に、もっと高度なセットアップ作りを学んでいくことにしよう。End of Article

 

 INDEX
  [.NET Tools]
  Visual Studio .NETで自作プログラムにセットアップ機能を付ける
     1.ソリューションにセットアップのプロジェクトを追加する
     2.セットアップをビルドする
     3.セットアップを仕上げる(1) - 製品名の変更とスタート・メニューの作成 -
   4.セットアップを仕上げる(2) - スタート・メニューのアイコン修正 -
 
インデックス・ページヘ  「.NET Tools」


Insider.NET フォーラム 新着記事
  • 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
     ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている
  • 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
     Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう
  • 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
     C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える
  • Presentation Translator (2017/7/18)
     Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Insider.NET 記事ランキング

本日 月間