特集:Silverlight 2アプリを開発しよう!(前編)

ついに登場! Silverlight 2正式版。その概要を押さえよう!

シグマコンサルティング 菅原 英治
2008/12/16
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Silverlight Chart Control

 このアプリケーションでは、ブラウザ上で非常に美しいグラフを作ることができます。画面左側の入力フォームの値を変更することで、グラフのデータはもちろん、タイトルや、凡例なども変えることができるので、いろいろ試してみてください。美しいグラフが素早く描画されるのが分かるでしょう。

Silverlight Chart Control
Silverlight Chart Control

 以上簡単ですが、Silverlight 2のご紹介でした。ブラウザにプラグインをインストールすることで、ブラウザ上でリッチなアプリケーションを動作させられることを実感できたでしょうか。

 Silverlight 2では、このような新しいユーザー・エクスペリエンス(UX)を簡単に提供できます。先日行われた Microsoft Innovation Dayでの大場 章弘執行役のスピーチでは、今後は、Silverlight 2も含めたマイクロソフトが提供する技術を利用し、「使いやすいだけではなく、使っていて心地良い、気持ちよい、面白い、と感じる」ユーザー・エクスペリエンスを提供することが重要とのことでした。

 今後、そのようなユーザー・エクスペリエンスを意識することが当たり前となるような時代が来るのかもしれません。わたしは、これまで「良いユーザー・エクスペリエンス = 使い勝手の良さ」と考えてきましたが、その考えは改める必要がありそうです。

Silverlight 2の特徴を押さえよう

 リッチなWebコンテンツを提供する技術として、さまざまに利用されることが期待されるSilverlight 2ですが、ここではその特徴を簡単に押さえていきます。本稿では、特にSilverlight 2アプリの開発者という観点からとらえます。

クロスプラットフォーム

 上述のSilverlight 2プラグインの動作環境で触れましたが、Silverlight 2は、Windows PCとIntelベースMacのクロスプラットフォームで動作します。PowerPCのMacがサポートされないのは残念ですが、それでもクロスプラットフォームで動作することは大きな魅力といえるでしょう。

多彩な開発言語のサポート

 Silverlight 2では、多彩な開発言語がサポートされています。開発言語として中心的役割を担うのは、Visual Basic、C#となります。しかし、DLR(Dynamic Language Runtime:動的言語ランタイム)と組み合わせることによって、Python、Ruby、JScriptなどの言語で開発することもできます。DLRを利用した開発方法についてはCodePlex内の次のページをご参照ください。

Silverlight Dynamic Languages SDK
Silverlight Dynamic Languages SDK

デザイナーとの協業を可能にした開発ツール

 Silverlight 2の有償のプロ向け開発ツールとしては、現在、Visual Studio 2008Expression Blend 2の2つがあります。執筆時点で、これらのツールはそれぞれのSP1を適用することで、Silverlight 2に対応します。

Visual Studio 2008
Visual Studio 2008

Expression Blend 2
Expression Blend 2

 開発ツールの詳細については、本稿の最終章で紹介しますので、ここではこの2つのツールを利用した開発者とデザイナーとの協業について説明します。Silverlight 2アプリを開発するときには、1つのアプリケーションに対し、ソリューションと呼ばれる1つのファイル構成を作成することになります。そして開発者向けのVisual Studio 2008とデザイナー向けExpression Blend 2のどちらでも、同じソリューションを開いて、編集し、ビルドすることができます。

Visual Studio 2008とExpression Blendの関係
ソリューションのソース・ファイルがC#になっているが、もちろんVisual BasicでもOK。

 従って、あるSilverlight 2アプリを開発するに当たって、そのソリューションを共有することで、開発者はVisual Studioでロジックの記述を担当し、デザイナーはExpression Blendで画面のデザインを担当する、という協業が実現できます。

DRMに対応した動画の配信

 Silverlightでは動画を配信できます。特にSilverlight 2の特徴としては、DRM(Digital Rights Management)に対応した動画の配信が可能です。DRMとは、デジタルデータの著作権を保護するための技術です。

 Silverlight 2のDRMは、PlayReadyという新DRM技術を基盤としたもので、従来のWindows Media DRM 10と互換性があります。動画配信方法としてはライブ・ストリーミング、ワン・タイミング・ストリーミング、そしてプログレッシブ・ダウンロードが可能です。詳しくは次のサイトをご参照ください。

 Silverlight 2の動画配信技術は、すでにGyaoやYahoo! Japanの提供するMAJOR.JPで採用されています。

 Silverlight 2の特徴については以上です。Silverlight 2は、クロスプラットフォーム対応やデザイナーとの協業など、これまでの開発とは一味違った可能性を秘めていることをご理解いただけたでしょうか。

 それでは次に、Silverlight 2の動作の仕組みを説明します。


 INDEX
  特集:Silverlight 2アプリを開発しよう!(前編)
  ついに登場! Silverlight 2正式版。その概要を押さえよう!
    1.Silverlight 2アプリケーションを動かしてみよう
  2.Silverlight 2の特徴を押さえよう
    3.Silverlight 2の仕組みと開発方法を理解しよう
 
  特集:Silverlight 2アプリを開発しよう!(後編)
  無償環境でSilverlight 2アプリの開発を始めよう!
    1.Silverlight 2開発環境を作ろう
    2.hello, worldを表示しよう
    3.画面のレイアウト方法を押さえよう
    4.イベントを制御しよう


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