エキスパートに聞く ぼくのスキルを支えた本
第6回
今回のエキスパート:三木 浩氏(日立ハイソフト)

遠竹智寿子
2001/11/14

 「最前線で必要なスキルとキャリアを知る!」でインタビューしたITエンジニアに、自分のスキルとキャリアを語るうえで欠かせない本を挙げてもらった。その本について熱く語る姿から、ITエンジニアの仕事への情熱が本を通して垣間見えるはず。

 今回お話を伺ったのは、日立ハイソフト ビジネス開発本部の三木浩氏。

 1990年代前半に新卒採用で日立ハイソフトに入社した三木氏。バブル崩壊前の景気が過熱し、コンピュータを軸とする技術革新が急速に進んだ時代であった。PCの環境からいえば、ちょうどDOSからWindows(Windows 3.1やWindows 95)へと移り変わろうとしていた時期に当たる。それに伴って言語でも、Visual Basic(VB)が注目されだした。初心者にも扱いやすいVBはその後、瞬く間にWindows開発ツールの主役の1つを担うほどの存在となった。まさにそうした時代の変わり目に入社し、プログラミングに携わってきた三木氏の“お助け本”となった数冊を紹介してもらった。

  ソフトウェアの動向がこの1冊で分かる

日経ソフトウエア

日経BP社
月刊誌(毎月24日発売)
980円(税込み)

 日経BP社発行のソフト開発者向け月刊誌。プログラミングのための実用情報、最新ニュースやダウンロード・コーナーなどがある。通常のマニュアルや参考書に掲載されていない実践的なテクニックやノウハウを取り入れた内容で、現場で活躍するプログラム開発者に好評だ。

三木氏:
 「何といっても、これは欠かせませんね」と三木氏が、最初に取り出したのが本書である。「2年前ぐらいから毎月欠かさず購読しています。ソフトウェアやプログラムの新旧の情報がすべて書かれているので、この1冊を読んだだけでも、開発のだいたいの流れが分かります。初心者にも分かりやすく書いてあるので、これからプログラムを始めたい人にもお勧めできる雑誌です

  Windowsのプログラムの根本が分かる初心者にお勧めの1冊

Visual BasicユーザのためのWindowsプログラミング入門

矢沢久雄著
日経BP社
1999年10月
ISBN4-8222-1681-0
2000円(税別)

 

 この前に取り上げた『日経ソフトウエア』の人気連載記事「VBの向こうに見えるWindows」(1998年7月号〜1999年6月号)の12章分を加筆・修正し、さらに8章分の書き下ろしを新たに追加した1冊。トピックが分類され、各章ごとにまとめの出題問題もある。VBの機能を実践で操作して覚えるための1冊といえよう。

三木氏:
 「Windowsでプログラミングするというのは、どういうことなのかが書いてあります。Windowsプログラムは、初心者にも割と簡単に作れるのですが、やはり基本的なこと、根本的なことが分かっていた方が、理解の深さが違ってきます。例えばこの本には、メッセージボックスの裏ではどう処理されているかといったことがでていて面白いですよ。基本というよりも根本的なことが書いてあるといえますね

  Jetエンジンを利用したデータベース作成に欠かせない存在

Microsoft Jetデータベースエンジンプログラマーズガイド改訂新版

Dan Haught、Jim Ferguson著、日本ドキュメンテックス訳
アスキー
1998年3月
ISBN4-7561-2189-6
8500円(税別)

 

 データベースプログラミングに必須の1冊とうたわれるJetデータベースエンジン開発チームによるハウツー本。使い勝手の良さが売りのVBだが、奥深いところではつまずくことも多いだろう。本書は、VBユーザーが知っておくべきWindowsの仕組みが、初心者でも分かりやすく説明され、マイクロソフトOfficeのVBA(Visual Basic for Applications)からVBやVisual C++といった言語のプログラミング環境に対応できるように記述されている。また、サンプルコードやデータベース開発のためのテクニックやヒントが数多く含まれているのも特徴の1つ。

 三木氏が持っていたのは、1996年6月発売の初版本(写真は初版本)。現在はJetデータベースエンジン3.5に対応した「改訂新版」が発売されている。この新版には、インターネット経由でHTTPまたはFTPサーバ上の外部データにアクセスする方法や、DAO(Database Access Object)3.5の新機能であるODBCDirect、パフォーマンスなどについて詳細に解説している。なお、サンプルコードを収録したCD-ROM付き。

三木氏:
 「Windows 95時代に購入した1冊です。Accessなどはその当時のバージョンですが、データベースやVBに関する内容は、現在でもそのまま使えます。実際、クライアントの環境によっては、Office 97などを前提としてプログラム構築する案件はいまだにありますから、いまもよく目を通します

  ネットワーク関連のプログラムを作る前に読みたい入門書

ゼロからはじめるネットワーク

アスキー
2001年3月
ISBN4-7561-3741-5
1480円(税別)

 本書は、アスキーの『ネットワークマガジン』に掲載された記事をまとめたもので、ネットワークの基本を学べる1冊。プロトコルやTCP/IPの話から、メールサーバ、バックアップ、ネットワーク機器、さらにはセキュリティ対策について、分かりやすく解説されている。この本は、開発者だけでなく、ネットワークを理解しておきたいあらゆる人にお勧めできる1冊だ。

三木氏:
 「プログラムとは直接関係はありませんが、現在ではネットワークの基本や概念を理解できていないとプログラムは書けません。そういった意味で、これからネットワーク関連のプログラムにも挑戦するような人にお勧めします。TCP/IPからメールサーバ構築、ファイアウォールに至るネットワーク全般の知識やノウハウが書かれていて、意外と参考になります

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