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エンジニアのキャリアアップに役立つ!
連載:最新の人材サービス活用法 第3回
コンサルティングで初めて見えてくるキャリア


辻俊彦(@IT Job Agent担当
2002/2/21

 人材会社での勤務経験がある筆者(現@ITジョブエージェント担当)が、現在最も注目しているもの、それはキャリアコンサルティングなどの人材会社による人材サービスだという。そんな人材サービスの最新動向を紹介するとともに、エンジニアがキャリアアップを実現するために、どのようにサービスを利用していけばいいのかを解説する。

 前回(「第2回 やりたいこととできること」)は、現在取り組んでいる仕事がやりたいことではなかったり、できることではない場合に、どうすればいいのかについて考えました。しかし、やりたいことがない、もしくは分からないという人が多いのが現実でしょう。その場合の打開策が、キャリアコンサルティング(カウンセリング)です。今回は、その効能について紹介します。

自分のことを話した経験は?

 キャリアコンサルティングといっても、キャリアコンサルタント(キャリアカウンセラー)から転職に関する“秘中の秘”を教えてもらうものではなく、ひたすらコンサルタントに自分のことを話すだけというのが現実です。

 実際のところ、1時間でも自分のこれまでのキャリアや、これからの方向性について話したことがある人はまれでしょう。本来のキャリアコンサルティングでは、長時間話をしている間に、ゴールと思っていたことが世間体を気にした建前であったり、自分自身の考えの矛盾に気付くのです。日々の行動が自分のゴールを目指してのものなのかどうか、本当に目指しているものは何なのか、といったことに対する確認ができれば、日々の行動に対するモチベーションが高まるキッカケになります。

プロがあなたの話をじっくりと聞く

 延々と話すだけであれば、時間さえ取れれば壁に向かってでもできそうです。それでは、キャリアコンサルティングを利用した場合は、壁に話すことと何が異なるのでしょうか? キャリアコンサルティングで実際に話を聞いてくれるのは、コンサルタント=プロの聞き手です。多くの人に会った経験を生かし、うまく本音を引き出してくれたり、ほかの人の生き方(キャリアアップ・スキルアップ)を聞かせてもらうことで、思わぬヒントを得ることは多いものです。また、否定的に評価していた自分のことに関して、それとは異なる評価を得たり、自分特有と考えていた悩みが、ほかの多くの人も悩んでいることだと知ることで安心を得られたりします。

 少なくとも、自分自身だけで抱え込むよりは、他人に話すことで心理的負担はかなり軽減されるものです。逆に、そういった「癒し(いやし)」が得られないコンサルタントやエージェントとは距離を置く方が適切だと思います。

キャリアゴールが明確に

 ただし、癒しが得られるだけでキャリアアップへの道が開けるわけではありません。キャリアコンサルティングの重要な効用は、キャリアゴールが明確になることです。人間が抱く現状への漠然とした不満や不安感は、大半は目標が見えないことによるものだといわれています。目標が明確にならない限り、取り組むべきことも明確にならないし、やりたいことが分からない状態では、すべてが不安となります。

 自分がどういうふうになりたいのかが明確でないまま転職した場合には、客観的には成功した転職であれ、転職後に必ず違和感を覚え、大きなストレスになるはずです。最悪の場合、3カ月以内に再び転職することになってしまいます。だからこそ、世間体がよく響きのいい建前の目標ではないかどうかの見極めをきちんとする必要があります。その点をプロの聞き手に聞いてもらい、(延々と話すことにより)自分自身と向き合うようになり、ゴールをきちんと見極めることができれば、不安感を抱くこともなく、眼前の課題に取り組むことができるようになります。そういう状態になれば、転職自体が自己目的化するようなこともなくなります。

 さらに、コンサルティングのメリットは、それだけではありません。実際のキャリアアップにも携わっているプロから、生き方(キャリアに関する部分)に関する貴重なアドバイスを受けることもできます。仮に自分よりかなり年下のコンサルタントであっても、キャリアアップに関する場数は、コンサルタントの方が多く経験しています。少なくとも当事者には考えつかないアイデアを得ることができるでしょう。もちろん、数少ない例を強引に当てはめられるような事態は避けたいのですが、思わぬキャリアアップのチャンスを知ることの方が、圧倒的に多いのが現実です。経済環境の変化が激しい現在、キャリアアップのリアルな現場にいる人の意見は傾聴に値します。

占いを受ける感覚で

 以上のようにキャリアコンサルティングは、転職や仕事情報以外の生き方に関する部分の価値が大きいものです。単純な転職あっせんや仕事マッチングであれば、いずれWebなどの自動マッチングサービスが代替機能を果たすでしょう。

 ハローワークとは別に人材会社が存在する意義は、キャリアコンサルティングにあり、その役割が果たせないエージェントは淘汰されていくと思います。法律の規制の恩恵で、こうしたサービスを求職者は無料で受けることができます(今春より一部有料化が可能になりましたが、取りあえず一般の転職には関係がありません)。キャリアコンサルティングに力を入れている会社は、コンサルティングを受けた人のうち10%(10人に1人)が転職してもらえば、ビジネスになるモデルを確立しています。

 まずはエージェントの門をたたき、キャリアコンサルティングを受けることで、幸運のチャンスを視野に入れることを勧めます。とてもよく当たる占いを無料で受けることができるのであれば、受けない手はありません。ただし、未来を的中させるのは、自分自身にかかっているところが占いとは異なるところであるわけです。なお弊社の@ITジョブエージェントでも、キャリアコンサルティングを匿名で受けられるサービスを提供しています。 

筆者紹介
辻俊彦 ●2001年3月まで、エンジニア派遣大手企業で事業企画に携わり、 企業のニーズに合わせた育成プロジェクトを立ち上げる。エンジニアの自己実現をサポートするというポリシーの下に、@ITジョブエージェントのサー ビス企画にも関与。

「最新の人材サービス活用法」
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