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連載:ITエンジニア最新求人レポート No.2<2002年1月版
夏までの転職はいまが勝負?

小林教至(@ITジョブエージェント担当
2002/2/1

アットマーク・アイティのキャリアアップ支援サービス「@ITジョブエージェント」を担当している筆者は、同サービスに参加していただいている会社をはじめ、複数の人材紹介会社/人材派遣会社を毎月訪問している。そこでヒアリングしたITエンジニアの求人動向を定期的にレポートする。マクロ的な動向ではないし、具体的な数値もないが、現状の市況や今後のトレンドを推測する資料としてほしい。

外資系では採用再開も……

 前回の求人レポート(「ITエンジニア求人市場は底を打ったか?」)では、「依然厳しいITエンジニアの求人動向」と報告したが、昨年12月から今年1月のトレンドも同様だ。ただし、前回に比べて唯一明るい材料は、一部の外資系企業での採用活動が再開されたことだ。「9月のテロ直後、10〜12月の四半期(Quarter)ではテロの影響を測りかね、取りあえず全面的な予算凍結となった外資系企業が多かったが、1月に入り期が変わったこともあり、凍結解除、つまり採用活動を再開したところもある」(人材紹介会社)。

 しかし、「米国本社から中途採用してもよい、と許可されても、日本の経営陣がOKを出さないケースがある」らしい。つまり、国内の景気が依然不透明な状況のままでは、中途採用はできない、という判断を下しているようだ。業績次第で自分自身もクビを切られかねない外資系企業の経営陣にとっては、中途採用にも慎重になるのだろう。

新卒採用活動が中途採用に影響か?

 国内企業に目を転じると、「全体として厳しい状況に変わりはないが、関西は比較的堅調。関東は採用している企業としていない企業がはっきりしてきた」という。求められるスキルとしては、「UNIX、Linuxなどのネットワーク関連スキルを持っていると有利です。とはいえ、技術スキルがあるのは当たり前で、いまはヒューマンスキル(コミュニケーションスキル、交渉力)がポイントです」と、これは前月と同様の傾向だ。さらに、採用をしているといっても、合格基準が高くなっているということは、人材紹介会社・人材派遣会社を問わずよく聞くことだ。

 1〜2月は、中途採用を求める求職者が最も多い時期だという(人事紹介会社)。そうした理由もあって、東京都内では「エンジニア適職フェア」の電車の中づり広告をよく見掛ける。しかし、この時期は来年度の入社を目指し、学生の転職活動が1年で盛んになる時期でもある。「日本企業は2月から夏ごろまで、新卒採用に人事部門のリソースが割かれる季節変動要因があるため、中途採用は不活発になる」と人材紹介のベテランはいう。

 もちろん、新卒採用をしない外資系企業では、こうした季節変動はない。また、国内企業でもすべての企業に当てはまる傾向ではないと思うが、「夏までに転職を」と考えているならば、2月中旬までに人材紹介会社に登録するなど、転職活動を開始した方がよさそうだ。

 このように厳しい求人状況とはいえ、とにかく転職したい方、転職しなければならない方もいるはず。そこで今回は、この時期の転職活動で注意すべき点をキャリアコンサルタントに聞いた。

給与など条件だけで決めない慎重さ

 まずは技術スキルが高く、マネジメント経験もあるようなハイレベルなエンジニアへのアドバイス。

 「いい人がいれば採用する、というようにニーズは高いので、ハイレベルなエンジニアには転職は容易でしょう。しかし、ハイレベルなエンジニアの多くは、いまのような買い手市場では動きません。“安売り”となる可能性があるからです。そこで企業側では、レベルの高いエンジニアは、熟慮せず、とりあえず押さえよう(採用)とします。ぜひ来てほしい、と好条件を提示するわけです。エンジニアとしても好条件を提示されると、つい転職してしまうようなのですが、後から『話が違う』といって早々に退職してしまうケースも見受けられます」

 求人・求職側ともに、給与など一部の条件面の一致だけで合意してしまい、求人側が欲する能力と求職側のやりたいことに食い違いがないか、求人側の本当の求人事情は何か、求職側の本当の転職理由は何か、企業風土に合うかなど、本来転職に必要な情報を十分に検討する機会が失われがちになるようだ。

 そうしたリスクを排除するためにも、第三者つまり人材紹介会社の仲介が重要になる。彼らが間に入っていれば、当事者間では分からないミスマッチを防ぐことができる。ただし、人材紹介会社の収入は成功報酬にある。中には人材紹介会社の報酬だけを考え、転職さえさせればよしとする者(会社)もいるようだ。人材紹介会社の選択はくれぐれも慎重にしてほしい。

まずはやりたいことを明確に

 続いて、第2新卒やエンジニア経験2〜3年のエンジニアへのアドバイスだ。

「現状では、第2新卒や2〜3年の経験程度では、条件にかなった転職は困難とお考えください。それでもという場合には、転職活動をする前にまず、自分が何をやりたいのか(ビジョン)を明確にし、それに向けて努力をすることから始めてください。例えば、“30歳までにはネットワークエンジニアのチームリーダーとして活躍したいので、現在の業務に関係ないが、シスコの資格を取得しよう”というものです」

 ビジョンが明確で、それに向けて努力しているのであれば、経験不足を補うことができるという。あとはそのビジョンと努力を認めてくれる企業があるかどうかだ。ここから先は、やはりプロ(人材紹介会社)に任せた方がよいだろう。個人で調べようにも、求人情報で分かるのは応募条件や求人要件だけ。ましてや自分のビジョンや努力が認められるかの判断は到底できない。そのためにも、人材紹介会社をうまく活用してほしい。

事業構造の転換を迫られている人材派遣会社

 人材派遣市場に目を転じてみよう。こちらは一層厳しいようだ。「開発系の派遣案件は、本当に少なくなりました。派遣エンジニアで案件があるのは、ネットワークの運用管理などに限られます。それでもUNIXやLinux、IPネットワークのスキルがあれば、ニーズはありますね。また、ヘルプデスクなどのサポート系も引き続き堅調です。新年度以降も予算は取れないという話ばかりですので、4月以降も状況は変わらないと思います」(某人材派遣会社)

 開発系の派遣案件が減っているのは、景気動向ばかりでもないらしい。ある人材派遣会社は次のようにいう。「開発系、特にWeb関連の開発は、開発期間がどんどん短くなる傾向にあります。従来なら半年だったものが、3カ月になり、いまでは1カ月というのもあります。それに伴って、派遣エンジニアを依頼する場合も、派遣期間が1〜3カ月程度だったりします。これでは利益率が低すぎます。また、派遣エンジニアを受け入れる側からしても、3カ月ならば多少割高でも派遣ではなく、業務を委託する方がいい。派遣社員を受け入れる場合、受け入れに付随するコスト(場所や管理に要する人件費)はそれなりにかかりますから。つまり、人材派遣する側、される側ともに開発系の案件は、人材派遣という形態が成り立ちにくくなっているのです」

 一般的に派遣事業は、1人のエンジニアを半年間派遣してペイすることを前提に、事業計画を組み立てている(詳しくは「知っておきたい人材会社の裏事情 第1回」)。つまり、1〜3カ月間の派遣では、事業が成り立たないことを意味する。それでは、このような状況でエンジニアを専門にしている人材派遣会社は、どう対応しているのか?

 「開発系の案件については、人材派遣事業ではなく受託事業とすべく事業を再構築しています。これは開発系のエンジニアを抱えている多くの人材派遣会社に見られる傾向ですね」とのことだ。開発系の案件は受託業務として請け、その後の保守や運用を人材派遣業務として請けることを狙っているようだ。

 このようなエンジニア派遣業界の現在のトレンドで留意すべきなのは、人材派遣会社の契約形態だ。実際の労働形態は人材派遣にもかかわらず、個人事業主として業委託契約を結ぶ、いわゆる“偽装請負”のケースを聞く。個人事業主としての契約なのか、派遣社員としての契約なのかによって、社会保険や健康保険、交通費の支給などの有無が異なる。「契約について問題になる場合は、往々にして派遣会社とエンジニアのコミュニケーション不足に起因しています。ご自分の意向を明確に伝えるとともに、きちんとした説明を求めてください」という(人材派遣会社)。正社員からフリーランスになったばかりのエンジニアに、特に注意してほしい点だ。

■取材協力企業
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パソナテック
リーディング・エッジ社
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 @ITジョブエージェントは、匿名でビジョンやスキルを登録し、キャリア コンサルティングを受けることも可能です。キャリアプランの参考にしてみてはいかがでしょう。

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