英語が苦手なITエンジニア必見!
体験レポート TOEIC 600点への道
第4回 禁断のTOEIC対策ソフトに手を出す

北浦訓行
2001/10/24

■決心は……

前回の筆者のTOEICの点数。ここからいかに600点にアップさせられるか?

 次のTOEIC受験まで1カ月を切ってしまいました。学習日記を見た方はお気付きでしょうが、8月に続いて9月も、ほとんど勉強することができませんでした。このままでは非常にまずいのです。なんとかせねば……。

 第1回の原稿にも書きましたが、私の英語力に決定的に足りないのは「語彙(ごい:vocabulary)」です。語彙が増えれば、TOEICの点数も上がるに違いありません。これまでは、リスニングに偏った勉強をしてきて、ある程度の成果は出ました。しかし、語彙が不足しているために、伸びも頭打ちになっているような気がします。そこで、残りの1カ月は語彙力(単語力)の強化に努めることにしました。

 学生時代には、単語を暗記するときは徹底的に書いて手に覚えさせていました。たぶん、私にとってはいまでもこの方法がベストなのだと思います。でも、この企画は、パソコンソフトでどれくらい英語力がアップするかを試すのが目的です。単語力の強化にもパソコンを使わなければ意味がありません!(本末転倒ですかね?)

 早速パソコンショップに出向いて、単語力強化を目的としたソフトを探しました。店頭には、単語力強化ソフトとして、ソースネクストの「特単 TOEIC TEST対策シリーズ」がありました。それを購入しようと思ったのですが、考えてみると第2回の原稿で紹介した「英語上達」も同社が発売しているものです。同じメーカーに偏ってしまうのも芸がない(?)ので、別のメーカーのソフトはないかと探してみると……。

 目に付いたのは、アルクの「TOEICテストパーフェクト600点」というそのものズバリのソフトです。もちろん、第1回(筆者の英語力大公開)の原稿に、「この企画の目的はあくまでも英語力の向上であって、TOEICの点数アップではありません。従って、ソフトのタイトルなどで『TOEIC対策』などと銘打っているものは、原則として対象外としました」と書いたことは、ハッキリと覚えています。

 しかし、「あまりに成果が上がらない場合は使うかもしれません」と書いたことも覚えていたのです(笑)。TOEICの点数は上がっていますが、勉強の時間が取れなかったので、このままでは連載タイトルの「TOEIC 600点」に到達できそうにもありません。「原則として対象外だぞ」、「600点に届かなかったらマジに赤っ恥だぞ」。心の中で天使と悪魔が戦います。時計を見ると、打ち合わせの時間が迫っています。取材なので遅れるわけにはいきません。「どうしよう……」

 気が付いたら、お店の袋(もちろん中にはソフトが入っています)を持って、待ち合わせの場所に走っていたのです。ちなみに、価格は5280円でした。

■TOEICテストパーフェクト600点

 というわけで、禁断の(?)TOEIC対策ソフトに手を出してしまったわけですが、意外というか、当然というか、目からウロコがボロボロ落ちるくらい、TOEIC対策に関する素晴らしい解説がしてあります。早速このソフトの概要を説明しましょう。

 アルクは、「ヒアリングマラソン」などの通信講座でも有名な出版社です。もちろん、英語関係の書籍や参考書なども数多く出版しています。今回購入した『TOEICテストパーフェクト600点』(以下、「パーフェクト600点」)は、書籍として発売されている『600点突破 TOEICリスニング標準問題集』『600点突破 TOEICリーディング標準問題集』『600点突破 TOEIC語彙・イディオム標準問題集』『600点突破 TOEIC文法標準問題集』の4冊を再構成してCD-ROM化したもので、学習プログラムは「リスニング強化プログラム」、「リーディング強化プログラム」、「語彙・イディオム増強プログラム」、「TOEIC重要文法事項20」の4つに分かれています(画面1)。

画面1 「TOEICテストパーフェクト600点」のメインメニュー。4つの学習プログラム以外に、CD-ROMの使い方やTOEICの内容などを説明した「学習を始めるまえに」や、達成度チェックのミニテストが用意されています

 誌面(?)に限りがあるので、それぞれのプログラムを簡単に説明します。

■リスニング強化プログラム

 TOEICのリスニング問題は、写真を見て問いに答えたり、会話を聞いて問いに答えたりというふうに、さまざまな形式で出題されます。「パーフェクト600点」のリスニング強化プログラムは、TOEICで実際に出題される問題形式に即しています(画面2)。

画面2 リスニング強化プログラムのメニュー。この6つのメニューの下には、それぞれの問題に対応するための、さらに細かいメニューと問題が用意されています

 当然のことながら、リスニングの問題は音声でスピーカーから流れてきます(画面3)。音は、試験会場で聞くのと変わらない程度のクオリティです。

画面3 写真問題の画面。写真の内容に合う英文を答える問題です。右下のスピーカーボタンをクリックすると問題が読み上げられ、中央下の「ANSWER」ボタンをクリックすると答えが表示されます

■リーディング強化プログラム

 リーディング強化プログラムは、まずリーディングの基礎力を測定することから始めます。TOEICのリーディングでは、速読力と理解力が特に必要とされます。画面に表示される文章を速読し、質問に答えることで、速読力と理解力が具体的な数字として計算され、リーディング基礎力の目標が表示されます(画面4)。

画面4 リーディング基礎力の目標画面。測定によって計算された現在のリーディング基礎力は、緑色の★印で表されます。グラフ右上のクリーム色の部分に★が表示されるだけの力を付けることが目標となります

 自分の実力と問題点が分かったところで、「スキル別リーディング訓練」や「素材別リーディング訓練」によって、リーディング力の向上を図ります。TOEICでは、全問題を回答するのが不可能なくらい、大量のリーディング問題が出題されます(私の力が足りないだけかもしれませんが)。従って、点数をアップさせるためには、速読がカギとなるのです。「パーフェクト600点」には、音声を使った速読訓練のプログラムも用意されています。

■語彙・イディオム増強プログラム

 語彙・イディオム増強プログラムは、おそらくは私が最も利用するはずのプログラムです。このプログラムでは、TOEICで出題される語彙やイディオムの傾向や、学習方法などについての説明もあります。もちろん、重要な単語を表示して、最後にその単語を使った問題を出題する「最重要語400」や「最重要イディオム100」といったプログラムもあります(画面5)。

画面5 「最重要語400」の単語一覧画面。「EXERCISES」ボタンをクリックすると、これらの単語を使用した例題が出題されます

■TOEIC重要文法事項20

 TOEIC重要文法事項20は、文字どおり、TOEICで出題される問題でキーとなる文法の項目20個の説明です。項目は「主語と動詞」「瞬時の動詞と継続の動詞」「群動詞」「可算名詞と不可算名詞」「不定代名詞」など、落とし穴となりそうな文法ばかりです。それぞれの項目で解説を読み、練習問題に挑戦して学習します(画面6)。

画面6 「主語と動詞」の解説画面。「EXERCISES」ボタンをクリックすると、練習問題が表示されます

■「パーフェクト600点」を使ってみて

 「パーフェクト600点」の問題や解説はとてもいいと思います(問題のクオリティをうんぬんする実力は私にはありませんが)。ただし、操作方法に関しては、いくつか改善していただきたい点があります。

 1つは、メニューが深すぎる点です。例えば、写真問題の勉強をするときは、メインメニューの「リスニング強化プログラム」−「写真問題は視点の把握から」−「写真問題のポイント」−「ナチュラル」−「1」とクリックしていって、やっと問題が表示されます。しかも、サブメニューから1つ上のメニューに戻ることができないので、問題が終了して次のメニューへ進むためには、再度「リスニング強化プログラム」から選択し直さなければならないのです。

 もう1つは、「My Dictionary」という単語帳機能が使いにくい点です。「My Dictionary」には、単語を検索したり、単語にマークを付けたり、オリジナルの単語帳を作成する機能があります。ほとんどの学習画面から「My Dictionary」を呼び出すことができるのは便利なのですが、「My Dictionary」は画面の中央に表示され、動かすことができません(画面7)。隠れた画面をちょっとだけ見たいときでも、いちいち「My Dictionary」画面を消さなければならず、とても不便です。

画面7 語彙・イディオム増強プログラムの学習中に呼び出した「My Dictionary」の画面。動かすことができないので、例えば「agree」の意味を見たいときは、一度「My Dictionary」の画面を閉じなければなりません

■「パーフェクト600点」の効果は?

 まだ、学習を始めたばかりですが、次回のTOEIC受験に関してはだんだん自信がなくなってきました。「パーフェクト600点」の解説が素晴らしいだけに、自分の実力のなさを痛感したのです。この原稿を書くに当たって、一通りの問題を解いてみましたが、リーディングは(予想どおり)最悪でした。

 リスニングは、正味2カ月弱勉強してきたわけですが、自信を持って答えた問題がけっこう間違っていたりして、こちらも自信喪失です。

 このソフトを購入した目的のはずの単語力強化については、地道に努力を続けています。しかし、学生時代のピチピチした(?)脳みそですらなかなか覚えられなかった英単語が、現在の朽ち果てかけた記憶力で簡単に覚えられるはずもありません。連載中に受験するTOEICは、残り2回の予定です。「600点への道」に、またしても黄信号が点灯したようです。

ご注意!
 この企画では、学習ソフトが役に立つかどうかについてレポートしていますが、学習方法や学力アップの判定方法について、(いうまでもなく)学術的な手法は取っていません。また、結果については筆者個人の能力によるものであり、すべての方に有効または無効とは限りませんし、それを筆者およびアットマーク・アイティ社が保証するものでもありません。このレポートは参考とするにとどめ、学習については自己の責任において行ってください。

「連載 TOEIC 600点への道」


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