米持幸寿のJava Issue


EJB部品の流通をめぐる動き
“EJBコンポーネントに関するコンソーシアムの現状”

米持幸寿
日本アイ・ビー・エム
2001/12/6


 コラム第1回は、「今度こそソフトウェアの部品化は現実になる?」という話題だったが、この中でご紹介したコンソーシアムの最新情報をお届けしよう。

◆コンソーシアムの概要◆

 コンソーシアムは、昨年10月から活動を続けているが、2001年2月に正式名が「EJBコンポーネントに関するコンソーシアム」となった。設立当時は、3つの部会で活動していた。その後、「EJB日本語用語部会」が追加され、現在では次の4つの部会で活動を行っている。また、新たに「パフォーマンス研究会」という会も発足した。各部会/研究会の目的を要約する。

  • ポータビリティ部会
    EJBコンポーネントをプラットフォームに依存せず、ポータブルに作るための規約「ポータブルコンポーネント規約」を策定

  • コンポーネント公開情報部会
    EJBコンポーネントが流通されたときに、EJBコンポーネントを検索したり、吟味したりするときに必要な情報項目を取り決め、「コンポーネント仕様/品質公開情報規約」として策定

  • デザイン部会
    EJBコンポーネントをデザインするとき、再利用を考慮してデザインするためのデザインガイドなどを策定

  • EJB日本語用語部会
    EJBに関するドキュメントや翻訳文を作成するときに利用可能な対訳集を「EJB日本語用語規約」として策定

  • パフォーマンス研究会
    EJBにまつわるパフォーマンスに関する研究を行い、会員内で共有する。

 各部会/研究会は、月1回程度の会合を持ちながら、メーリングリストを中心に活動を行っている。

◆ポータビリティ部会の状況◆

 ポータビリティ部会では、設立以来、参加企業の経験に基づいた規約案を基に「ポータブルコンポーネント規約 第1版」を策定、2001年2月1日に公開した。この規約は、机上での議論のうえに作られた規約であった。

 その後、いくつかの参加企業が協力し、実証実験が行われた。ただし、この活動は「策定した規約が正しいかどうかを検証する」ためのものではなく、「新たな規約項目がないか」を探すためのもの、という位置付けのものである。なぜなら、規約案自体が「ポータブルコンポーネントを作るときにやるべきでないこと」を決めたものであり、あるべきでないものは分かっている。ただし、この規約に従ったからといって、ポータブルになる、という保証はできない。なぜなら、「まだほかにも『やるべきでない』ことがあるかもしれない」からだ。

 実証実験によって発見されたいくつかの項目などを追加したり、第1版では記述があいまいだった点を修正したりして、「ポータブルコンポーネント規約 第2版」が策定され、今年の9月10日に公開された。

 今後は、第2版に当たる規約を英語化し、ワールドワイドに参照できる形態で公開する予定を持っている。EJB 2.0仕様に関する活動は、現在のところプラン化されていない。なぜなら、EJB 2.0仕様のコンテナがそろってからでないと、規約が作れないからだ。

◆コンポーネント公開情報部会の状況◆

 コンポーネント公開情報部会では、コンポーネントの公開情報の項目を洗い出している。例えば、コンポーネントがコンポーネント流通機構などで販売されるとき、コンポーネントを選定したり、購入後、アプリケーションを組み立てたり(アセンブル)、開発したりする際に必要になるであろう情報項目である。

 コンポーネント公開情報部会では、2001年7月16日に、「コンポーネント仕様/品質公開情報規約 第1版」を発表した。この規約では、コンポーネントを提供する際に公開すべき情報項目が策定されている。

 今後の活動予定としては、XML-DTDを策定するために複数企業で実証実験を行い、XML-DTDを公開することなどを次の目標としている

◆デザイン部会の状況◆

 デザイン部会では、「コンポーネント・デザイン・ガイドライン」を策定した。まだ一般公開されていないが、今後テクニカルレポートとして公開していく予定である。EJBコンポーネントを開発する際に、再利用しやすいコンポーネントの作り方の一例を示してくれる。

◆EJB日本語用語部会の状況◆

 2001年7月16日に「EJB1.1日本語用語規約 第1版」を一般公開した。これは、EJBに関連する用語を日本語にするときに、どのような単語に置き換えればよいかをまとめたものだ。

 ただし、EJBドキュメントの日本語化については、すでに複数の企業がそれぞれの辞書によって日本語化を進めてきており、いまから各社の足並みをそろえようと思っても無理な話である。この規約の位置付けとしては、「これから翻訳などをする人に対する、1つの指標を示す」と考えていただければいいと思う。

◆パフォーマンス研究会が新設◆

 去る10月25日に行われた総会に併せて、パフォーマンス部会が新設された。当部会では、EJBコンポーネントに限らず、J2EE全般において「いかにパフォーマンスの良いアプリケーションを作るか」ということを研究することを目的とする。カン違いしないでいただきたいのは、各ベンダが提供するサーバのパフォーマンス比較などをするのが目的ではない、ということである。あくまでも開発者が気を付けるべきこと、利用者が気を付けるべきことを研究しようという部会である。当部会では、パフォーマンスに関する研究結果を成果物として編さんする予定である。

◆EJBコンポーネント流通の現状◆

 EJBはコンポーネント流通を可能にする技術である。このため、EJBコンポーネントの流通をしようという企業が出てきている。

  1. Flashline.com
    こちらは、古くからJavaBeans、COMなどのコンポーネント流通を行っているUSのサイトである。最近では、Webサービス関連商品なども取り扱い対象になりつつあるらしい

  2. IBM alphaWorks
    こちらは正確には流通サイトではないが、「alphaBeans」というページにJavaBeans、EJBなどのコンポーネントが公開されている。このサイトにあるプロダクトは、アルファ版という位置付けのもので、製品になったものはWebSphere Business Componentsに入れられたり、Flashline.comなどで販売されたりしている

  3. コンポーネント・スクエア
    コンポーネント・スクエア社は、ビジネス・コンポーネントの流通を専門に行う会社だ。コンポーネント・スクエア社のサイトには、すでにたくさんのビジネス・コンポーネントが掲載されている

  4. コンポーネント・バンク
    EC-One社は、EJBコンポーネントにかかわるシステム開発を行うEJB専門のSI企業だ。EJBに専門化している点が興味深い。同社が開発したcFramework、およびコンポーネント群を流通するためのしくみがcBankである

  5. 富士通コンポーネントセンター
    インターネット環境におけるシステム開発向けのコンポーネント(ソフトウェア部品)を提供するWebサイトである。富士通が開発したEJBコンポーネントComponentAAの流通サイトと考えればよいだろう

 コンポーネント流通企業が増えることにより、ビジネスアプリケーションを「開発」するのではなく「組み立てる」ということが可能になる。「でも、実際にはどうやるの?」と疑問に思われる方もおられるだろう。コンポーネント・スクエアが行うセミナーなどに出席していただければ、どのような部品を使って、どのような手順でアプリケーションが組み立てられるか学べるはずだ。 

Index

第1回 ソフトウェアの部品化は現実になる?(2000/12/19)
第2回 Javaの歴史と21世紀への5つの提言
(2001/1/16)
第3回 Javaの開発にUMLは必要?
(2001/3/2)
第4回 ここはJavaプログラマの天国?(2001/4/24)
第5回 Javaコンソーシアムが卒業式 (2001/7/6)
第6回 EJB部品の流通をめぐる動き(2001/12/6)
第7回 開発ツールのプラットフォーム“エクリプス”とは? (2002/1/17)

プロフィール
米持幸寿

1987年、日本アイ・ビー・エム入社。
IBMメインフレームOSであるVSE、およびVM関連ソフトウェアプロダクト の保守、 システム無人化ソフトウェア開発を手がける。現在はJava、XML、EJBに関わるプロモーション活動を行っている。

[筆者執筆記事一覧]
・JavaとXMLはなぜ仲良し?
・Java Servlet徹底解説(JSPとの連携)
・Java Servlet徹底解説(EJBとの連携)




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