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米持幸寿のJava Issue


えっ、エクリプス?
“開発ツールのプラットフォームとは”

米持幸寿
日本アイ・ビー・エム
2002/1/17


 アットマークアイティ読者の皆さん、2002年あけましておめでとうございます。今年も「米持幸寿のJava Issue」をよろしくお願いいたします。

 近ごろ、「エクリプス」というのがはやっている。皆さんはエクリプスというのをご存じだろうか。2002年最初のコラムである今回は、Java開発者の皆さんにエクリプスをご紹介しよう。

◆オープンソースのツール・プラットフォーム◆

 一言でいうと、エクリプスとはツール用のプラットフォームである。主にJavaのツールが対象だが、ActiveXのコンポーネントも対象にできる。エクリプスとは英語「eclipse」のことであり、日食とか月食とかの「食」の部分を意味している。「a solar eclipse」といえば日食、「a lunar eclipse」といえば月食を意味している。エクリプスは、IBMの研究所や開発拠点で開発された後、eclipse.org(http://eclipse.org)でオープンソース化された。IBMでの開発コードネームがエクリプスだったため、そのプラットフォーム自身がエクリプスと呼ばれるようになった。

eclipse.orgのホームページ

 「ツール用のプラットフォーム」とは、どういう意味だろうか。例えば、グラフィックスツールとか、Javaのエディタとかデバッガ、あるいはHTMLエディタなどをツールと呼ぶことができる。これらのツールは、通常別々に開発されるが、同時に使うことが多いはずだ。

 そして、多くのツールで「なにがしと連携可能」というのをうたい文句にしている。これはどういう意味かというと、「あるツールが編集したデータ(例えば画像)の結果を、それを参照している別のツール(例えばHTMLエディタ)の画面に自動的に反映させる」ようなものをいう。そのようなツールの開発をするには、何らかの方法(例えば共有メモリ)で相互に通信をするような機能を設ける必要がある。その場合、どちらかのプログラムが決めた方式に対応することになる。しかし、それだと各社でさまざまな規約がはんらんし、開発者にとって楽ではない。

 エクリプスは、このようなツール同士が連携するためのプラットフォームを提供する。ファイルの管理、バージョン管理システムとの連携、ツール間でのドラッグ&ドロップ機能の提供、各種ウィンドウ部品(ウィジェットと呼ばれる)などを提供する。現状では、Windows版とLinux版が存在する。

 エクリプスのホームページから、エクリプス本体を含んだ開発キット、ソースコードなどがダウンロードできる。

 エクリプスには、ワークベンチと呼ばれる実行環境、Java開発機能であるJDT(Java Development Tools)、Javaデバッガ、エクリプス・プラグインを開発するためのライブラリ群、ヘルプ・ドキュメントなどが含まれている。

◆WebSphere Studioとの関係◆

 「IBM WebSphere Studio」というWebアプリケーション開発ツール製品がある。エクリプスは、このWebSphere Studioの後継製品のプラットフォームとして開発された。昨年の5月14日にIBMのソフトウェア製品群がWebサービスに全面対応することが発表されたが、そのときにWebSphere Studioも新しい世代に突入することが発表され、「WebSphere Studio workbench」というものが同時に発表された。そのプレスリリースでは「WebSphere Studio workbenchはオープンソース化される」と表現されていたが、それがエクリプスである。オープンソースのものをエクリプスと呼び、製品に含まれるものをWebSphere Studio workbenchと呼ぶ、と思えばよいだろう。

 現在、WebSphere Studioの後継製品として「WebSphere Studio Site Developer(WSSD)」と「WebSphere Studio Application Developer(WSAD)」という2つの製品が米国で発表されている。これらはエクリプスを使った開発製品である。WSSDやWSADでは、エクリプス上に次のような機能を追加している。

  • EJB開発機能(ウィザードとソースコード、リソースの管理)
  • RDBアプリケーション開発機能
  • Webサービス開発機能
    • JavaBeans、EJBなどからWebサービス生成
    • WSDLからクライアント・コード生成
    • WSDLからひな型コード生成
    • RDBからWebサービス生成
    • MQでのSOAP利用
    • UDDIの閲覧と登録機能
  • XML開発機能
    • XMLエディタ
    • DTDエディタ
    • XML Schemaエディタ
    • XML to XML マッピング・エディタ
    • RDB to XMLマッピング・エディタ
  • PageDesigner(JSP対応のホームページビルダー)
  • J2EE対応アプリケーション管理、開発、エクスポート機能
  • WebSphereテスト環境
  • TCP/IPモニタ

◆ワークベンチ◆

 エクリプスは実行環境だ。実行環境をワークベンチと呼んでいる。エクリプスを起動すると、次のようなウィンドウが表示される。

eclipseのワークベンチ

 これがワークベンチと呼ばれるウィンドウだ。このワークベンチの中に、さまざまな形式でツールが表示される。

 開発ツールは、このワークベンチの「プラグイン」として稼働する。あるルールで開発されたツールをJARファイルに入れ、ワークベンチのディレクトリの下に、登録情報を記述したXMLファイルと共に置くだけでプラグインされる。プラグインには、いくつかの種類がある。

View ツールの中にウィンドウを開き、さまざまな機能を提供
View Action ツールの中に開くウィンドウに付くツールボタン類
Editor 編集ツール群
Editor Action 編集ウィンドウに付くツールボタン類
Popup Menu ポップアップメニュー
Action Set メニューを拡張

◆無料で手に入るJava IDE?◆

 エクリプスのプラグインを開発する目的であれば、エクリプス自身は無料で入手できる。エクリプスにはJava-IDEが付属しているので、これだけで開発は可能だ。ライセンスの詳しい情報は、エクリプスのホームページをよく読んでほしい。もし、有料でサポートの付いた製品が必要なら、IBMからWSSDやWSADを購入することができる。

 今年は、エクリプスを使ってWSADなどにプラグインできるJavaの開発ツールを開発してみてはいかがだろうか。近日中に、エクリプスのプラグイン開発手順などを特集記事として書いてみようと思っているのでご期待を。

Index

第1回 ソフトウェアの部品化は現実になる?(2000/12/19)
第2回 Javaの歴史と21世紀への5つの提言
(2001/1/16)
第3回 Javaの開発にUMLは必要?
(2001/3/2)
第4回 ここはJavaプログラマの天国?(2001/4/24)
第5回 Javaコンソーシアムが卒業式 (2001/7/6)
第6回 EJB部品の流通をめぐる動き(2001/12/6)
第7回 開発ツールのプラットフォーム“エクリプス”とは? (2002/1/17)


プロフィール
米持幸寿

1987年、日本アイ・ビー・エム入社。
IBMメインフレームOSであるVSE、およびVM関連ソフトウェアプロダクト の保守、 システム無人化ソフトウェア開発を手がける。現在はJava、XML、EJBに関わるプロモーション活動を行っている。

[筆者執筆記事一覧]
・JavaとXMLはなぜ仲良し?
・Java Servlet徹底解説(JSPとの連携)
・Java Servlet徹底解説(EJBとの連携)



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