Java2 Enterprise Editionの基礎知識

EJBのメリットとは何ですか?

テンアートニ 中越智哉
2001/2/27

 EJBとは、Enterprise JavaBeansという名称が示すとおり、エンタープライズ向けのコンポーネントを提供するための仕組みです。最近は、Javaの世界に限らず、「コンポーネント」「ソフトウェアの部品化」という言葉をよく耳にします。では、エンタープライズの分野でEJBが注目されているのには、どういった理由があるのでしょう。

 優れたビジネスモデルを少しでも早く市場に投入し、高い利益を得たいという要求がエンドユーザーには常にあります。特に、変化の激しいIT業界ではその要求はさらに高いものとなっています。

 市場への投入を少しでも早くし、かつ、クオリティの高い製品を提供するためには、新しい案件があるたびに、コードを一から作り直していては、とても対応できません。そのため、個々のロジックや、汎用的なライブラリを再利用することで、開発コストを下げることを考える必要があります。モジュールの再利用を促進するためには、個別のシステムに依存するようなコーディングをなるべく避け、再利用性の高い部品(コンポーネント)を作る必要があります。これらの考え方を、Javaのエンタープライズの分野で実現していくためのモデルが、EJBであるといえるでしょう。

 EJBを使用することによって、開発者にもたらされるメリットには、次のようなものがあります。

■システムレベルのサービスを実装しなくて済む
 これによってもたらされるメリットは2つあります。まず、システムレベルのサービスが、EJBを動作させるEJBサーバに実装されることから、開発者が製造する個々のEJBには、複雑なシステムレベルの実装をする必要がなくなり、そのための開発コストが削減できます。

 また、開発者はビジネスロジックの実装だけに専念することができます。さらに、EJBを使用すると、EJB登場前のアプリケーションサーバに見られた、データベースのプーリングなど、ベンダ依存のコーディングを排除することができます。それによりミドルウェアなどの構成・環境に依存するコーディングの入る余地がなくなり、別のアプリケーションやアプリケーションサーバであっても、容易に再利用することができます。結果として、コンポーネントとしての再利用性が高まります。

■クライアントを限定しない
 J2EEのアプリケーションモデルに従うことで、クライアント環境をHTML(Webブラウザ)に限定しません。EJBでは、クライアントに依存しないロジックだけを記述すれば済むため、クライアントが変わっても、EJBに変更を加える必要がありません。

■CORBA準拠
 EJBはCORBAに準拠した規格として策定されており、EJBサーバ自体も、CORBAサーバ上で動作させることができます。ベンダにとっては、これまで提供してきたCORBAのミドルウェアを、EJBに適用しやすいというメリットがあります。実際、ベンダの提供するEJBサーバには、CORBAサーバ上で稼働するものが多くあります。


[関連記事]
WebアプリケーションにおけるサーバサイドJavaの役割 (Java Solution)
サーブレットとEJBの連携 (Java Solution)


「Java Solution FAQ」




Java Agile フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Java Agile 記事ランキング

本日 月間