[製品紹介]

Webシステム構築を簡素化するフレームワーク
BEA WebLogic Commerce Server 3.2J


2.WLCS 3.2Jのパッケージ構成

   パッケージの構成

 WLCS3.2Jでは、上記のフレームワークに従って9つのパッケージを提供しています。

  • 電子カタログ管理
  • Shopping Cart Management サービス
  • Shipping サービス
  • Taxation サービス
  • Payment サービス
  • Order Summary and Confirmation サービス
  • Customer Registration and Login サービス
  • Customer Profile サービス
  • 顧客セルフサービス

 各パッケージは、JSPテンプレート、入力プロセッサ、Pipelineコンポーネント、JSPタグライブラリで構成されています。また、これらのコンポーネントの利用例としてwebflow.properties,pipeline.propertiesも用意されています。

 これらのコンポーネントは、コマースサイト構築に特化したパッケージであり、それぞれの業務ドメインをうまく実装しています。例えば、電子カタログ管理では、Dublin Core Open Standard をもとにした階層的なカタログ管理を実現します。パッケージには、商品一覧や検索に関するJSPテンプレートと対応した入力プロセッサ、Pipelineコンポーネントが用意されています。基本的には、すぐに使えます。また、Pipelineコンポーネントは、商品検索などを高速に実現するためにキャッシュ技術を実装しています。WLCSの管理コンソールを使ってキャッシュサイズを制御することで商品の検索ヒット率を上げることができます。

 WLCSでは、ECサイト構築に関する基本的なコンポーネントを用意しているため、開発のほとんどはJSPテンプレートの編集と各propertiesファイルの編集だけでECサイトを構築できます。下記の例は、ショッピングカートを利用するためのJSPテンプレート、チェックアウト処理のためのJSPテンプレートになります。これらのJSPテンプレートに関連する各コンポーネントとプロパティファイルが用意されているため、ほとんどJavaのプログラム開発なしでECサイト構築を実現できます。もし、必要であれば、新たなJSPやPipelineコンポーネントなどを開発することで機能を拡張することができます。

図7 ショッピングカート用のJSPテンプレート

図8 チェックアウト用のJSPテンプレート

   One to Oneマーケットへの対応

 冒頭にも書きましたが、ECサイト構築パッケージのもう1つの重要な要素としてサイトを利用する顧客に対する個別のサービスを実現しなければならないということです。実は、WLCSの技術は、WebLogic Personalizaion Server(以下、WLPS)の上に構成されています(図9)。FlowManagerサーブレットやDBスキーマに柔軟なプロパティセットなどは、WLPSの機能を利用しています。

図9 WLCS/WLPSの構成

 WLPSが持つ主な機能は、以下のようになります。

  • 管理コンソールを使って以下の目的のためのルールを構築できる
    ・顧客プロファイルをもとにルールエンジンを使って顧客を分類する
    ・分類した顧客ごとに個別のコンテンツを動的に表示する
  • 個別コンテンツを分類するためのコンテンツスキーマを提供する
  • JSP(View)の部品化を促進し、MyPageを作成できる機能を持つ

 WLCSでは、WLPSの機能を利用することで個別に分類された商品情報の提供やそのほかのコンテンツを提供することができます。

   今後の機能拡張

 最後になりますが、WLCSの今後の機能拡張として、WebLogic Commerce Server 3.5について少し触れておきます。WebLogic Commerce Server 3.5は、すでに米国でリリース(2001年4月中旬)されています。日本語版のリリースは近日中を予定しています。詳細は、日本BEAシステムズのホームページを参照ください。

 この新しいバージョンの大きな特徴は、WebLogic Campaign Manager1.1をバンドルすることでOne to Oneマーケットに対して効果的なキャンペーンを実現できることです。キャンペーンの仕組みだけを埋め込んでおけば、GUI(Swingを採用)を使ってキャンペーンの登録が簡単にできます。主なキャンペーンとして次のようなものがあります。

  • 顧客などのプロファイルに応じたバナー広告の掲示
  • 顧客などのプロファイルに応じたディスカウントキャンペーン
  • メッセージング(電子メール)サービス

 さらにアーキテクチャとして最も期待できるものが、「イベント」をハンドリングできる仕組みを実装していることです。デフォルトで用意されているイベントもありますが、カスタム化したイベントの作成も可能です。イベント捕そくをJSPに埋め込んでおけば、ECサイトを訪問する顧客のインタラクションをデータベースに格納することができます。つまり、顧客がどのような商品に興味があるか、どのようなキャンペーンに興味を示したかなどの情報を簡単に収集できます。これらのデータをマイニングツールなどを用いて分析することで、効果的でかつパーソナライズ化されたキャンペーンを実現できます。

 以上、駆け足で「WLCS3.2Jを使ったECサイト構築ソリューション」として、製品のアーキテクチャとその拡張方法について説明しました。フレームワークを利用することでアプリケーションの品質や生産性を向上できることは周知の事実です。技術力のある企業は、独自のフレームワークを構築しているケースも多々あります。しかし、独自のフレームワークを持たない開発プロジェクトであるならば、このようなフレームワーク製品を利用することを検討してみる価値は十分にあります。フレームワークを理解することは難しいですが、拡張ポイントさえ明確になっていれば、比較的スムーズに導入できます。

 短期間でシステムを稼働させるためには、豊富な機能を持ったパッケージ製品が効果的ですが、柔軟に拡張できるフレームワークを使って将来的に差別化できるサービスを迅速に提供できることの方が、特にECサイト構築のような分野にとっては大切になります。
 WLCS3.2Jは、ECサイト構築のためのパッケージ製品であるとともに、拡張性の高いフレームワークを提供したハイブリッドな製品体系になっています。

 今回の説明でECサイト構築パッケージ製品の採用を検討してもらえるきっかけになれば幸いです。

[関連リンク]
日本BEAシステムズ「WebLogic Commerce Server Weeek



Index
Webシステム構築を簡素化するフレームワーク
BEA WebLogic Commerce Server 3.2J
  1. 画面遷移とロジックの疎結合を目指したアーキテクチャ
■webflowアーキテクチャとPipelineフレームワークの役割
■webflowアーキテクチャの実体
■FlowManagerサーブレットの動作の仕組み
■webflow.propertiesの記述フォーマット
■入力プロセッサ(InputProcesor)
■PipelineコンポーネントとPipelineセッション
■WLCSが用意するJSPタグライブラリ
■WLCSのフレームワークの全体像
■データベーススキーマに対する拡張性
2. WLCS 3.2Jのパッケージ構成
■パッケージ構成
■one to oneマーケットへの対応
■次期バージョンの拡張機能




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