ステップバイステップで学ぶ

初めてのWebアプリケーション・サーバ




第4回 WebSphere Studioで開発するための準備

 4.データソースの構成

 データソース(DataSource)を作成するためには「パーシスタンス・ネーム・サーバー(Persistent Name Server)」を開始しなければなりません。パーシスタンス・ネーム・サーバーを開始する前に、WindowsのサービスでIBM WS AdminServerサービスが停止していることを確認してください。WASを停止させる必要があるのは、ブートストラップ・ポート900番がWebSphereテスト環境のパーシスタンス・ネーム・サーバーと衝突してしまうからです。それから、ネットワークの設定でMicrosoft Loopback Adapterのインストールを行っていないときは、ネットワーク・カードがPCに装着済みであることを確認してください。

 もう1つ、事前に行っておくことがあります。それは、DB2のJDBCドライバをVAJのワークスペース・クラスパスに追加することです。VAJのメニューから[Window(ウィンドウ)]−[Options...(オプション...)]を選択してOptions(オプション)を開き、左側のメニューから「Resources(リソース)」を選択します。すると、「Workspace class path(ワークスペース・クラスパス)」を入力する欄が現れますので、ここに「C:\SQLLIB\java\db2java.zip」と入力します。そのほかのデータベースを使うときは、「;(セミコロン)」で区切ってJDBCドライバ・ファイルを追加してください。追加したら、[Apply(適用)]ボタンをクリックして、[OK]ボタンをクリックします。

画面15 JDBCドライバをVAJのワークスペース・クラスパスに追加する

 それではデータソースの構成を行います。まず、コントロール・センターの左側のトポロジー・ツリーから「Persistent Name Server(パーシスタンス・ネーム・サーバー)」を選択してください。すると右側には[Start Name Server(ネーム・サーバーの開始)]ボタンや「Bootstrap port(ブートストラップ・ポート)」、データベースの設定などが現れます。ここで、「Database URL(データベースURL)」「Database driver(データベース・ドライバ)」「Database ID(データベースID)」「Database password(データベース・パスワード)」を変更します。


1. まず、「Database driver」を「COM.ibm.db2.jdbc.app.DB2Driver」に変更します。すると、ほかの入力項目がアクティブになります

2. あとは「Database ID」と「Database password」に「wsadmin」と「wsadmin2」を入力します

画面16 データベースに関する設定を行う

3. 最後に[Apply]ボタンをクリックして[Start Name Server]ボタンをクリックしてください

4. コンソール(Console)に「com.ibm.ivj.control.node.NameServerRunner.main()」が現れます。出力(Output)に「Server open for business」と表示されたらパーシスタンス・ネーム・サーバーの開始は成功です。sampleデータベースにはBINDINGBEANTBL、CONTEXTBEANTBL、PROPERTYBEANTBLの3つの表が作られているはずです。気を付けなければいけないのは、すでにこれらの表が存在するデータベースをデータベースURLで指定した場合で、その場合、パーシスタンス・ネーム・サーバーの開始が失敗することがあります。特にWASと同じデータベースは絶対に指定しないでください

5. 次に、コントロール・センターのトポロジー・ツリーから「DataSource Configuration(データソースの構成)」を選択します

6. [Add...(追加...)]ボタンをクリックして[Add DataSource(データソースの追加)]を開きます

7. ここでは、sampleデータベースを追加します。「DataSource name(データソース名)」を「sample」、「Database URL(データベースURL)」を「jdbc:db2:sample」、「Maximum connections(最大接続)」を「3」にして、[OK]ボタンをクリックします

画面17 サンプルデータベースの追加を行う

8. Datasource list(データソース・リスト)にsampleが追加されたらデータソースの構成は完了です。このデータソースの構成を変更するには、いったん削除(Remove)して、もう一度、データソースの追加作業を行います

 JSP実行モニターの開始

 JSP実行モニター(JSP Execution Monitor)を開始するためにはコントロール・センターの「JSP Execution Monitor Options(JSP実行モニター・オプション)」で設定します。コントロール・センターのトポロジー・ツリーから「JSP Execution Monitor Options(JSP実行モニター・オプション)」を選択してください。右側に現れた設定項目の中で「Enable monitoring JSP execution(JSP実行のモニターを使用可能にする)」にチェックを付け、[Apply(適用)]ボタンをクリックすれば、JSP実行モニターの開始準備が整います。あとはServletエンジンを開始して、ブラウザからJSPファイルを呼び出すだけです。サンプルは「http://localhost:8080/JSP/sample3/LeapYearInput.html」にあります。

 新規Webアプリケーションの作成

 次回からStudioを使ってWebアプリケーションを作成していきますが、その際使われるWebアプリケーション・パスをWebSphereテスト環境で設定する方法を説明します。

 まず変更が必要なファイルがdefault.servlet_engineです。これはC:\Program Files\WebSphere\VAJ35\ide\project_resources\IBM WebSphere Test Environment\propertiesにあります。「Test」Webアプリケーションを作るには次のようにします。


1. default.servlet_engineのバックアップを取ります

2. ワードパッドでdefault.servlet_engineを開きます

3. 「<websphere-servlet-host」で始まるタグに注目してください。これが仮想ホスト「default_host」を定義しているのが分かります。そしてそのすぐ下に「<websphere-webgroup」で始まるWebアプリケーションを定義するタグが続いています。新しく作る「Test」Webアプリケーションはこの部分をコピーして編集することにします

4. 「default_app」の定義のすぐ下に「Test」の定義を追加します(赤字部分)

<websphere-webgroup name="default_app">
  <description>Default WebGroup</description>
  <document-root>$approot$/web</document-root>
  <classpath>$approot$/servlets$psep$$server_root$/servlets
</classpath>
  <root-uri>/</root-uri>
  <auto-reload enabled="true" polling-interval="3000"/>
  <shared-context>false</shared-context>
</websphere-webgroup>

<websphere-webgroup name="Test">
  <description>Test Web Application</description>
  <document-root>$approot$/web</document-root>
  <classpath>$approot$/servlets</classpath>
  <root-uri>/test</root-uri>
  <auto-reload enabled="true" polling-interval="3000"/>
  <shared-context>false</shared-context>
</websphere-webgroup>

5. default.servlet_engineを保存して閉じます。このとき「テキスト形式で保存すると、書式情報はすべて失われます。保存しますか?」というメッセージが現れますが、このまま「はい」を選択して結構です

画面18 default.servlet_engineを保存する

 さて、次はディレクトリを新規作成します。作るのは文書ルート(<document-root>)とサーブレット・クラスパス(<classpath>)のためのディレクトリです。「 C:\Program Files\WebSphere\VAJ35\ide\project_resources\IBM WebSphere Test Environment\hosts\default_host」の下に「\test\web」ディレクトリと「\test\servlets」ディレクトリを作ってください。このようにdefault_hostの下に作るディレクトリ構造は<root-uri>で指定したものになります。

 ディレクトリを作ったら、最後にTest.webappファイルを\test\servletsディレクトリの中に作ります。Test.webappを作るには\default_app\servletsにあるdefault_app.webappをコピーして名前を変更してください。「.webapp」のファイル名ですが、default.servlet_engineファイルで<websphere-webgroup name="Test">で付けた名前(name)である「Test」をファイル名の頭に付けます。Test.webappの編集個所は次のとおりです。

<init-parameter>
  <name>workingDir</name>
  <value>$server_root$/temp/Test</value>
</init-parameter>

<init-parameter>
  <name>scratchdir</name>
  <value>$server_root$/temp/JSP1.0/Test</value>
</init-parameter>

 さて、以上で新規Webアプリケーションの作成は完了です。この新規Webアプリケーションの作成はWebSphere Developer Domainの一般技術情報にも紹介されています。default.servlet_engineファイルやTest.webappファイルの変更が有効になるのはServletエンジンを再開始したときです。

 さあ、これで次回からの開発作業の準備は整いました。今回はここまでとしたいと思います。次回まで待ちきれないという方はご自分でいろいろ試してみてください。WebSphereテスト環境はすでに使える状態になっていますので、ご自分で作られたサーブレットを動かしてみることはできるはずです。次回は、WebSphere Studioを使って簡単なWebアプリケーションを作ります。ご期待ください。

WebSphere Studioのインストール

初めてのWebアプリケーション・サーバ(第4回)
  1.開発ツールのインストール
  2.WebSphereテスト環境を使う準備
  3.WebSphereテスト環境の稼動
4.データソースの構成
  WebSphere Studio 3.5.2 Entry Editionのインストール
  VisualAge for Java 3.5 Entry Enterprise Editionのインストール

連載内容
 

第1回 開発者キットの入手とDB2までのインストール
第2回 WebSphereのインストールと動作確認
第3回 WebSphereを使う前の基礎知識
第4回 WebSphere Studioで開発するための準備
第5回 MVCモデルとWebSphere+VisualAge for Javaの連携
第6回 PageDesignerによるJSP開発
第7回 EJBツールによるEJB開発


連載記事一覧



Java Agile フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Java Agile 記事ランキング

本日 月間