
Javaパフォーマンスチューニング
第1回 パフォーマンスチューニングのルール
| 調査(Assess) |
最初に実施する「調査」の作業では、以下に示す各項目について明らかにしておきます。
| ●システムの構成 ●アプリケーションの設計 ●パフォーマンスの目標 ●ピーク時の負荷の大きさと期間 ●システムやアプリケーションに施された変更内容 ●パフォーマンスの問題が発生する期間 |
特に、「システムの構成」としては、ユーザーからのリクエストが処理される際に通過するすべてのマシンについて、その構成を列挙します。具体的には、以下のような内容についてまとめます。
| ●マシンのCPU数とクロックスピード ●メインメモリ容量とディスク容量 ●Javaプログラムに影響するOSのカーネル・パラメータの設定値 ●OSに適用されるべきパッチ ●JVMのバージョン(「java -version」コマンドで確認) ●JVMに指定しているオプション(-Xmsや-Xmxなど) |
これらの情報は、Javaプログラムのパフォーマンスを評価するうえで欠かせない基本情報となります。問題の内容によっては、最新バージョンのJVMにアップグレードしたり、OSに最新のパッチを適用したり、JVM起動時に適切なオプションを指定したりといった簡単な方法で解決できることもあります。一般的には、最新バージョンのJVMにアップグレードを行い、OSに最新のパッチ・セットを適用することが推奨されます。
また、Javaプログラムの動作に影響を与えるOSのカーネル・パラメータについて洗い出しておくことも不可欠です。よく調整の対象となるカーネル・パラメータとしては、「1つのプロセスがオープン可能な最大ファイル数」や「生成可能な最大スレッド数」などが挙げられます。これらをきちんと把握していなければ、Javaプログラム自体に不具合がないのになぜかパフォーマンスが向上しない、といった状況に陥りかねません。ちなみに、HP-UXなどのOSでは、ベンダが提供するツール(HPjconfig:用語解説参照)を利用することで、カーネル・パラメータの設定を簡単に行えます。
| 測定(Measurement) |
パフォーマンスチューニングにおける次の段階は「測定」です。具体的には、例えば「sar」や「top」など、UNIX OSで標準的な計測コマンドを利用し、OSレベルでの計測を行うのも1つの方法です。また、JVM起動時にオプション「-verbose:gc」を指定することで、JVM内部で実行されるガベージ・コレクション(GC)を詳細にトレースする方法も、必要に応じて使用します。GCとは、不要なJavaオブジェクトを削除する処理であり、JavaアプリケーションのパフォーマンスチューニングではGCの挙動を把握し調整することが重要な作業となります。
一方、ベンダが提供するソリューションもフルに活用すべきです。HP-UXの場合、HPが独自に提供する以下のような手段を利用できます。
| ●HP-UXのパフォーマンス測定ツール「Glanceplus」(用語解説参照) ●HPJVMの拡張オプション「-Xverbosegc」、およびガベージ・コレクション解析ツール「HPjtune」(用語解説参照) ●HP JVMの拡張オプション「-Xeprof」、およびプロファイリング・ツール「HPjmeter」(用語解説参照) |
これらのツールやJVMのオプションは、GCのチューニング作業でとても役に立つ機能を提供します。これらのさまざまなツールや測定方法については、本連載でいずれ詳しく説明する予定です。
| 分析(Analyze) |
測定を終えた後は、収集した大量のデータを「分析」する段階に進みます。とはいえ、それぞれのツールが出力するデータの形態はまちまちであり、それらを正確に解釈することは容易な作業ではありません。JVMのプロファイリングによって得られるデータと、OSの計測コマンドで得られるデータでは、フォーマットや項目の意味もまったく異なるものとなるでしょう。冒頭で述べたとおり、1つのシステムは複雑に依存し合う多数の要素で構成されています。よって、JVMとOSが互いにどのように依存し合っているのかを理解しなければ、これらのデータの解釈は難しくなります。この点についても、本連載で詳しく紹介していきます。
また、分析の作業は、「調整の段階でシステムに手を加える前」に完了させておくことがポイントです。
| 特定(Identify)と調整(Tune) |
分析の作業によって、システムのボトルネックはどこに存在するのかを「特定」することが可能になります。いったんボトルネックを見極めることができれば、パフォーマンスを改善するためにどのような「調整(チューニング)」を施せばよいのかが明らかになります。
調整の作業では、取るべき道は2つあります。それは、「システムのリソースを増やす」か、あるいは「システムへの要求を減らすか」です。実際には、1つのボトルネックを解消すると、今度は別の場所が新たなボトルネックとなる場合も少なくありません。例えば、Javaプログラムが処理するリクエスト数の上限を不用意に引き上げれば、データベースに過大な負荷が掛かる場合もあるでしょう。よって、リソースを増やすか要求を減らすかは、全体の依存関係を見極めたうえで決めるべきです。
いずれにせよ、調整の対象は1回につき1カ所に限定しなくてはなりません。2カ所以上に同時に調整を施すと、どちらの調整によってパフォーマンスが変化したのか分からなくなってしまいます。また、実施した調整の内容は、その都度ノートなどに記録するようにします。調整の履歴を残すことで、後々の混乱を避けることができるはずです。
以上、連載第1回では、Javaパフォーマンスチューニングにおける基本的なルールとチューニング手順について説明しました。次回以降は、ツールを利用したチューニング作業の実際を解説します。
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用語解説 |
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本記事は、HP-UX Developer Edgeに掲載された「連載 Javaパフォーマンスチューニング」を株式会社アットマーク・アイティおよび本記事の筆者が独自の判断のもとに加筆・修正したものです。 |
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INDEX |
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| Javaパフォーマンスチューニング 第1回 | ||
| Page1 パフォーマンスチューニングのルール チューニングの手順 |
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| Page2 調査(Assess) 測定(Measurement) 分析(Analyze) 特定(Identify)と調整(Tune) |
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Javaパフォーマンスチューニング バックナンバー
- 第1回 Javaパフォーマンスチューニングのルール
- 第2回 Javaのガベージ・コレクションを知る
- 第3回 Javaのヒープ・メモリ管理の仕組み
- 第4回 Javaのマルチスレッドによるリソース競合から守る
- 第5回 Javaアプリのメモリ・リークを発見する
- 最終回 HotSpot VMの特性を知る
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