第1回 EclipseでJavaプログラミング超入門 小山博史 2006/3/11
本連載は、これからプログラミングについて学びたいと考えている初心者を対象とした記事です。無償で入手できる開発環境「Eclipse」を使い、プログラミングの基礎を学びます。使用するプログラミング言語はJavaになりますが、オブジェクト指向についてはあまり説明しません。まずは自分の手を動かして本連載の内容を実践していただき、プログラミングとJava言語に慣れていただくのが、本連載の目的です。 さて、プログラミングの基礎を学ぶのになぜEclipseを使うのかというと、次のような理由があります。
コマンドベースのツールを組み合わせてプログラミングを学ぼうとすると、プログラミング以外のところでの知識が多く必要になり、つまずいてしまう場合があります。しかし、Eclipseを使えばそんな心配はありません。初心者でもプログラミングに集中することができるのです。
本連載は「Eclipseではじめるプログラミング」の続編で、プログラミング言語Java入門者を対象としています。前回の連載では紹介できなかった、コンピュータによる計算方法の基礎や、プログラミングへの理解がさらに深まるようなテーマをいくつか用意しましたので、プログラミングの基礎知識をさらによく身に付けてもらえるはずです。大げさかもしれませんが、オブジェクト指向プログラミングを実現する土台ともいえる基本をしっかり身に付けて、真のプログラミング力向上を目指してください。 さて、「Eclipseではじめるプログラミング」では、初心者でも手軽に使うことができ、しかも無償で手に入るGUIプログラミング統合開発環境(Integrated Development Environment:IDE)であるEclipseを採用してプログラミングの基本について解説をしました。Eclipseは当時としては新しいバージョン2.1を使い紹介しましたが、いまはバージョン 3.1を使って開発する現場も多くなってきています。そこで、今回はこの新しいバージョンを使うことにします。さて、Eclipseの基本は英語版で、そこへ日本語のパッケージを追加インストールして簡単に対応させることができますが、初心者にとってはちょっと大変かもしれません。そこで今回は、http://aioec.sourceforge.jp/で公開されている「All-In-One Eclipse」という、あらかじめ日本語対応されたEclipseをインストールできるパッケージを使うことにします。 *本連載では基本的に無償で利用可能なツールを使いますが、各ツールが採用しているライセンスは異なりますので、読者の皆さんが各自で確認をして利用するようにしてください。 ■JavaプログラミングにはEclipse 最初に、簡単にプログラミング言語JavaとEclipseについて確認しておきましょう。プログラミング言語Javaとは、サーバーサイドのアプリケーション開発によく使われているオブジェクト指向言語です。Sun Microsystemsによって開発され、発表当時はWebブラウザ上で動作するJavaアプレットが注目を浴びていました。最も普及しているデスクトップOSのWindowsで動作する開発環境が無償で配布されていたこと、本格的なオブジェクト指向言語であったこと、ネットワークプログラミングが簡単に実現できることなど、いろいろな要素もあって人気が出ました。ちなみに、昨年の2005年はJavaが誕生してから10周年という記念すべき年でした。 Javaが登場した当時はSun Microsystemsから提供されていたJDKという開発キットを使ってプログラミングの勉強をすることが主流でしたが、Javaの人気が高まるとともにオープンソースのグラフィカルユーザーインターフェイスを備えた開発環境への要望も高まってきました。そんな中で登場したのが、EclipseというGUIベースの開発環境です。EclipseはEclipse Foundation により開発が進められていて、http://www.eclipse.org/でオープンソースのソフトウェアとして公開されています。Windows、Linux、Solaris、Mac OS Xなど多くのOSに対応しています。「連載 Eclipseを使おう!(1)オープンソースのEclipseは仕事に使える開発環境」でも紹介されているように、製品版IDEと同等の充実した開発機能、プラグイン・アーキテクチャ、動作の速さ、充実したヘルプ、柔軟なライセンス内容といったことから、多くの開発者が注目して大人気となりました。 多くの開発者からも支持されたEclipseですが、初心者の視点から見ても、前回の連載で紹介した次のような点から、ぜひ利用するべきだといえます。EclipseのようなGUIベースの開発環境が簡単に手に入って学習に利用できるなんて、本当にうれしいことです。 1. GUIツールなので、コマンドプロンプトのコマンドを覚えなくても使える さらに詳しくは、「Eclipseではじめるプログラミング<」をご覧ください。ちなみに、Javaで動作するGUIベースの開発環境としては、NetBeansも有名です。これもEclipseと同様にオープンソースですので、興味のある人は使ってみるとよいかもしれません。 ■JDK 5.0 update 6のインストール それでは、学習環境の準備としてEclipseのインストールをしましょう。Eclipseを使うためにはJREというJavaVMの実行環境が必要です。JREだけをインストールしてもいいのですが、せっかくJavaプログラムを開発するのですから、いろいろと便利なコマンドツールが含まれるJava開発環境の方、つまりJDKをインストールしておきましょう。JDKの最新バージョンは記事執筆時点でJDK 5.0 update6 です。前のメジャーバージョンはJava2 SDK 1.4で現在もまだまだ現役ですが、JDK 5.0も発表されてから時間がたち実際に現場で採用してきているところもあります。何よりも大きく機能が向上していて、便利になっています。肝心のEclipse 3.1 でも対応していますので、新しい方を使うことにします。 ダウンロードはSunのJavaサイト(http://java.sun.com/)からしましょう。日本語のページ(http://java.sun.com/j2se/1.5.0/ja/download.html)がありますから、そちらからダウンロードします。開発キットだけでなく、実際の開発時に必須となるAPIリファレンスを含むドキュメント一式も一緒にダウンロードしておきましょう。ちなみに、JDKにはJREも含まれていますから、別途JREをダウンロードする必要はありません。 画面 ダウンロードページ jdk.dl.01.png ファイルをダウンロードするときには、ライセンスに同意する必要があります。「Review License Agreement」を開いてライセンスを読んでから、「Accept License Agreement」をチェックしましょう。ここではWindows版のjdk-1_5_0_06-windows-i586-p.exeをダウンロードしたとします。このオフライン版だとダウンロードには時間がかかりますが、インターネットに接続していなくてもインストールができます。何かあったときに簡単に再インストールができて安心です。ドキュメントは英語と日本語がありますので必要なものをダウンロードしてください。ここでは日本語版のjdk-1_5_0-doc-ja.zipをダウンロードしたとします。 画面 JDKのダウンロード jdk.dl.02.png 画面 Javaドキュメントのダウンロード jdk.dl.03.png ダウンロードが終わったらインストールします。開発キットのJDK 5.0のインストールはとても簡単でjdk-1_5_0_06-windows-i586-p.exeをマウス左ボタンでダブルクリックすると表示されるインストールウィザードの指示に従うだけです。使用許諾契約書が表示される画面では契約書を読み、[使用許諾契約書の条項に同意します]をチェックしてから[次へ]ボタンをクリックします。後は基本的にはデフォルトで表示される値のままでインストールをしてよいでしょう。デフォルトでインストールすると、JDKは「C:\Program Files\Java\jdk1.5.0_06\」へ、JREは「C:\Program Files\Java\jre1.5.0_06\」へインストールされます。 画面 JDK ライセンス jdk.01.png ドキュメントは別にインストールします。マウスの右ボタンでzipファイルをクリックして表示されるポップアップメニューで[すべて展開]をクリックしてください。すると、docsディレクトリが作成されます。これは開発に関係するものですから、そのままJDKをインストールしたディレクトリの直下へ移動しておきましょう。ドキュメントはHTMLで書かれていますから、「docs\ja\index.html」をWebブラウザで開いてブックマークに登録しておくと便利です。 さて、インストールが終わったら、早速動作確認をするために、javaコマンドというツールを動かしてみます。[スタート]→[プログラム]→[アクセサリ]→[コマンドプロンプト]からコマンドプロンプトを起動して、次のように実行します。Javaのバージョンが表示されるはずです。 > java -version
■All-In-One Eclipse v2.0.0 のインストール JDKのインストールが終わったら、次はEclipseの番です。Eclipseの本家サイトは <a href="http://www.eclipse.org/">http://www.eclipse.org/</a> になりますが、今回は「All in one pack Eclipse」を使いますから、<a href="http://aioec.sourceforge.jp/">http://aioec.sourceforge.jp/</a> からリンクをたどって必要なファイルをダウンロードすることにします。本来のEclipseを手に入れたい場合は、「<a href="http://www.atmarkit.co.jp/fjava/rensai3/eclipse31_01/eclipse31_01_1.html">Eclipse 3.1を使おう(1)Eclipse 3.1の導入と日本語化</a>」などの記事をご覧ください。 <a href="http://aioec.sourceforge.jp/">http://aioec.sourceforge.jp/</a> へアクセスすると表示されるWebサイトの左側のメニューに「download」という項目があります。ここをマウスでクリックするとダウンロードサイトの<a href="https://sourceforge.jp/projects/aioec/">https://sourceforge.jp/projects/aioec/</a>が表示されます。3.1.1-oldとv2.0.0がありますが、v2.0.0の方が新しいバージョンになります。All-In-One Eclipseでのバージョンの付け方が最近変わったからです。v2.0.0の「Download」をクリックするとリソースファイル・リストが表示されます。v2.0.0のリソースファイル・リストに含まれる5つのファイルをすべて同じディレクトリへダウンロードしてください。 画面 ダウンロードサイト eclipse.dl.01.png install.txtを読むと分かりますが、Windows上でAll-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.batファイルをマウスの左ボタンでダブルクリックすると、コマンドプロンプト画面が表示されて、All-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.001、All-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.002、All-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.003を1つにまとめてAll-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.exeというファイルが生成されます。このファイルがAll-In-One-Eclipseのインストール用実行ファイルとなります。 画面 ダウンロードするファイル一覧 eclipse.01.png All-In-One-Eclipse-Setup-2.0.0.exeができたら実行すると、インストールが始まり言語の選択ダイアログが表示されます。次へ進むとライセンス画面が表示されるので、ライセンスを読んで「このライセンス契約書に同意します」にチェックをします。次の画面ではコンポーネントを選ぶことができますが、ここでは初期の設定のままインストールします。インストール先も初期設定の「C:\Program Files\All-In-One-Eclipse」を指定します。[インストール]ボタンをクリックするとインストールが始まり、終了するとインストール完了の画面が表示されます。また、デスクトップ上にはAll-In-One Eclipseのアイコンが配置されます。このまま、All-In-One Eclipse 2.0.0 を実行してみましょう。後で実行するときは、デスクトップのAll-In-One Eclipseアイコンからできます。 画面 インストーラ言語の選択 eclipse.03.png ■All-In-One Eclipseを使ってみよう All-In-One Eclipse 2.0.0 が実行されると初期化処理が始まります。起動時にはどのディレクトリをプログラム開発で使用するかを指定する画面が出ますが、ここでは初期値のままにして進みましょう。workspaceディレクトリが作成され、Eclipseが起動し、「Welcomeページ」が表示されます。「概説」「チュートリアル」「サンプル」「新機能」といったEclipseの機能を紹介するページへの入り口が用意されているのです。「概説」を一通り読むだけでも、Eclipseがどんなものなのか理解を深めることができますから、興味があったら読んでおきましょう。前のバージョンから使い慣れているユーザーは右上のワークベンチのボタンをクリックしてすぐに作業へ入りますが、ここではチュートリアルを開いて、そこにある「Java開発」に従ってEclipseの基本的な使い方を確認しましょう。もし、間違えてほかのページを開いてしまい、最初の「Welcome」ページへ戻りたいときは、メニューの[ヘルプ]→[ようこそ]を指定します。 画面 Welcomeページ eclipse.run.01.png 「Java開発」をクリックすると「Java開発チュートリアル」の画面が右端に表示されます。筆者の環境では「Javaパースペクティブ」というJavaプログラムの開発用画面が左側に表示されていました。もし読者の環境でその画面が表示されていなくても心配はありません。チュートリアルの中で表示できるようになっています。チュートリアルを開始するには、緑色の右側を指している三角形をクリックします。 画面 Java開発チュートリアル ecipse.run.05.png チュートリアルの画面に書いてあるように、次の順番でHello Worldという文字列をコンソールへ表示するプログラムを作成します。各手順の説明を読んで、作業をした後に緑色の右側を指している三角形をクリックして進めていきます。「Javaパースペクティブを開く」では、最初からJavaパースペクティブが開かれている場合はチュートリアルが進むだけです。 1.「Javaパースペクティブを開く」 ■簡単なプログラムを作ってみよう それでは、実際にチュートリアルに従ってプログラムを作成してみましょう。「Javaプロジェクトの作成」では、[新規Javaプロジェクト]ダイアログを表示して必要な情報を入力してプロジェクトを作ります。Eclipseではプログラムの開発はプロジェクトという単位で管理するようになっているため、最初にプロジェクトを作成する必要があるのです。ここで作成したプロジェクトの中に、プログラムのソースコードやライブラリを登録していきます。 画面 新規Javaプロジェクト ecipse.run.06.png チュートリアルの次の手順では、作ったプロジェクトへJavaのプログラム単位であるクラスを登録していきます。「HelloWorldクラスの作成」では、HelloWorldクラスを登録するために、[新規Javaクラス]ダイアログを使っています。チュートリアルの指示どおりに「public static ...」の項目をチェックして[終了]ボタンをクリックします。これで、自動的にHelloWorldクラスのひな型となるプログラムコードが生成されます。Javaの場合はソースコードを記述するファイル名はクラス名に「.java」という拡張子を付けることになっているので、そのファイルが出来上がります。初心者のうちは、ファイル名を間違えてしまったり、ひな型で生成されるようなプログラムコードの部分でもちょっとしたスペルミスをしてしまうことが多いものです。それらが原因で発生するコンパイルエラーで悩んで無駄に時間をかけてしまうことが多いので、こうやって必要最低限のコードでも生成してくれるというのは、とても便利な機能です。 画面 新規Javaクラス ecipse.run.07.png この先は自分で独自の処理を追加していくのですが、その方法が次の「mainメソッドのSystem.out.println行の追加」で説明されています。指示に従って「System.out.println("Hello World");」のプログラムコードを追加しましょう。正しく入力しないと赤い下線が出て間違いがあることを教えてくれますから、こういった機能も初心者にとっては魅力的です。 画面 Javaエディタ ecipse.run.08.png プログラムができたら最後はプログラムを実行します。最後の手順「Javaアプリケーションのテスト」に従って、画面の左の[パッケージ]で「HelloWorld.java」が選択されていることを確認してから、メニューの[実行]→[実行]→[Javaアプリケーション]を指定します。ファイルを保存するための画面である[リソースの保管]ダイアログが表示されるので[OK]ボタンをクリックして保存すると、プログラムが実行されます。実行結果は画面の下にあるコンソールの領域へ、「Hello World」と表示されるはずです。チュートリアルが無事終了したら「ようこそ」は「×」をクリックして消しましょう。もう一度チュートリアルを見たいときは、メニューの[ヘルプ]→[ようこそ]を指定して最初から同じような順番でたどればいいだけです。 画面 プログラムの実行 ecipse.run.09.png ■既存プログラムのインポート さて、新規にプログラムを作成する方法について説明をしましたが、既存のプログラムをAll-In-One Eclipseで使えるようにすることはできないのでしょうか? 答えはもちろん「できる」です。そのためには、インポートという機能を使います。例えば、前回の連載で作成したプログラムをインポートしてみましょう。 前回の連載では「C:\eclipse\workspace」というディレクトリを使っていました。ここで「Sample」プロジェクトを作成し、ソースコードを登録していったので、作成されたファイルは「C:\eclipse\workspace\Sample」というディレクトリの中にあるということになります。 画面 Sampleプロジェクトのディレクトリ eclipse.import.01.png これをインポートするためには、[ファイル]→[インポート...]を指定して[インポート:選択]を表示します。そこで[既存プロジェクトをワークスペースへ]を選んで[次へ]をクリックします。[インポート:プロジェクトのインポート]が表示されるので、[ルートディレクトリの選択]に「C:\eclipse\workspace」を指定します。これで[プロジェクト]に「Sample」が表示されるのでチェックがされていることを確認してから[終了]ボタンをクリックします。これで、無事Sampleプロジェクトがインポートされ、[パッケージ・エクスプローラ]にプロジェクトが表示されます。 画面 インポート eclipse.import.02.png 前回の連載で紹介したプログラムは同様に動作しますから、興味のある読者は実行してみてください。1つだけ注意があります。取り込んだプロジェクトはコピーをしたわけではありませんから、「C:\eclipse\workspace\Sample」ディレクトリを削除すると消えてしまいます。間違えて削除することがないように気を付けてください。 ■連載の今後の予定 今回は「All-In-One Eclipse のインストール」ということで、All-In-One Eclipse のインストールと、Eclipseのチュートリアルを使って簡単なプログラムの作成から実行までの方法を確認しました。また、インポート機能を使って既存のプロジェクトを取り込む方法についても紹介しました。初めてEclipseを使った読者でも簡単に使えたのではないかと思いますが、いかがでしたか? 興味が持てたら、どんどん使ってもらいたいと思います。 最後に今後の予定について簡単に紹介しておきましょう。入出力、例外、型、文字、ファイル操作といった順に「Eclipseではじめるプログラミング」から1ステップ上の文法事項、基本事項について解説をする予定です。プログラムによって計算された結果をメモリ上からディスクへ保存することができるようになると、プログラミングの幅がぐんと広がります。ところが、このときに連載で紹介する各項目について理解をしていないと思わぬ落とし穴にはまることがあります。そんなときに対応できる応用力を身に付けてもらえるよう、本連載を通して解説をしていく予定です。次回以降をお楽しみに。
プログラミング言語を使ってプログラムを記述(コーディング)します。これを「ソース・コード」と呼び、普通はテキストファイルに保存します。そして、ソース・コードが保存されたファイルをソースファイルと呼びます。 ここで、Java言語は、人間にとっては比較的分かりやすく記述されています(人間が解釈しやすい言語を「高級言語」または「高水準言語」と呼びます)が、コンピュータではそのまま実行することができません。 コンピュータが実行できるようにするためには、ソース・コードに対してコンパイルという処理を行い、オブジェクトコードと呼ばれるものを生成します。このコードは、コンピュータが解釈・実行できるものです(図1)。Javaの場合、オブジェクトコードを「Javaバイトコード」と呼びます。オブジェクトコードは、バイナリファイルとして保存されます。
実際にこのプログラムを動作させるには、補助記憶装置(通常はハードディスク)に保存されているファイルを読み込んで主記憶装置(メインメモリ)へロードして実行させます(図2)。これらプログラムの実行を普通はハードウェア上でするのですが、Javaの場合は特殊なことを行っています。難しい理屈はここでは説明しませんが、ハードウェアの上にソフトウェアで実現された仮想のハードウェアがあって、その上で動作すると覚えておいてください(仮想のハードウェアを「Java仮想マシン(Java Virtual Machine)」と呼びます)。Java Virtual Machineは、JavaVMと略されることが多いので、本連載ではJavaVMと表記します。また、JavaVM上でプラグラムを実行することをインタプリタ方式と呼びます。インタプリタ方式は、Javaに限って作られた方式ではありませんが、Javaはインタプリタ方式で実行されると覚えておいてください。
さて、プログラム作成と実行の手順を理解したところで、次には何が必要かを考えてみましょう。ソースコードを編集するためのエディタやソースコードをコンパイルするためのコンパイラといったものが必要になります。プログラムの不具合を調べるツール(「デバッガ」と呼びます)や、動作確認のためにプログラムの実行環境といったものも必要になります。Eclipseには、これらをすべて簡単に使えるような環境が用意されています。 Eclipseのようにプログラム開発に必要な各ツールの機能を統一感のある操作方法で利用できるものを、統合開発環境(IDE)といいます。 Eclipseは、正確にいうと開発環境のための基盤(プラットフォーム)となるものなので、JavaだけでなくC/C++などのプログラム開発もできる、いわば“マルチな開発環境”です。そのため、ダウンロードサイトを見るといくつもの種類があって驚きます。ですが、今回はJavaの開発環境があればよいので、Eclipse SDKバージョンを使うことにします。このEclipse SDKバージョンには、Eclipse Platform、Java Development Tools(JDT)、Plug-in Development Environmentといったものが含まれているので、これがあればJavaプログラムの開発ができます。
Eclipseの動作には、Javaの実行環境(JRE)か開発環境(Java2 SDK)が必要です。かつ、これらのバージョンは1.3か1.4でなければなりません。ここでは記事執筆時点での最新版であるJava2 SDK 1.4を使うことにします。日本語のドキュメントもダウンロードしておきましょう。Eclipseには、記事執筆時点で最も情報が多い2.1系の最新版を使うことにします。まずは表1の手順に従って必要なファイルをダウンロードしてください。 表1 ダウンロードするファイルと入手先
インストール作業は、Java2 SDK、Eclipseの順に行います。ZIPファイルを展開するには、マウスの右ボタンでファイルをクリックすると表示されるポップアップメニューで[すべて展開]をクリックします。
Java2 SDKをインストールしましょう。j2sdk-1_4_2_04-windows-i586-p.exeをマウスの左ボタンでダブルクリックするとインストールウィザードが表示されます。この指示に従ってインストールを行います。使用許諾契約書が表示される画面では契約書を読んで、[使用許諾契約書の条項に同意します]をクリックしてから[次へ]ボタンをクリックします(画面1)。後は、表示される値のままでインストールを行ってください。インストールが終了したら、C:\j2sdk1.4.2_04へJava2 SDKがインストールされているのを確認しましょう。
ドキュメントは別にインストールしないといけません。j2sdk-1_4_0-doc-ja.zipを展開するとj2sdk-1_4_0-doc-jaディレクトリが作成されます。ここにあるdocsディレクトリをC:\j2sdk1.4.2_04の直下へ移動しておきましょう。動作確認をするためには、[スタート]メニューから[プログラム]→[アクセサリ]→[コマンドプロンプト]を実行しコマンドプロンプトを起動します。そして、以下のように実行します。Javaのバージョンが表示されるはずです。
次にEclipseをインストールします。eclipse-SDK-2.1.3-win32.zipを展開するとeclipse-SDK-2.1.3-win32というディレクトリが作成されます。この中にあるeclipseというディレクトリをCドライブの直下(C:\eclipse)へ置いてください。 次に、Eclipseのメニューを日本語化する作業を行います。これには「言語パック」と呼ばれるものを適用します。2.1.3用の言語パックはありませんが、2.1.2用の言語パックがそのまま利用できるので、それを使います。 eclipse2.1.2.1-SDK-win32-LanguagePackFeature.zipを展開すると、eclipse2.1.2.1-SDK-win32-LanguagePackFeatureというディレクトリが作成されます。この中にあるeclipseディレクトリをそのまま、C:\eclipseへ上書きコピーします。こうすると、C:\eclipse\featuresとC:\eclipse\pluginsの中に言語パックのファイルを追加できます。 ここまでの作業を終えたら、C:\eclipseディレクトリにあるeclipseをマウスの左ボタンでダブルクリックしてください。すると、スプラッシュ画面が表示された後、日本語版のEclipseが起動します。
インストール直後に始めてEclipseを起動する際、スプラッシュ画面が表示されている間、内部では、ある初期化処理が行われています(C:\eclipse\workspaceというディレクトリが作成されるなど)が、Javaの学習には直接関係ないのでここでは詳細には触れません。初期化処理が行われるため、起動までに少し時間がかかります。起動すると、以下の画面が表示されます。
これで、Eclipseで Javaプログラミングを行う環境が整いました。今回はここまでです。次回は、ごく簡単なプログラムを書いて、早速Javaプログラムを動作させてみることにしましょう。
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