
企業システムの常識をJBossで身につける(2)
“全部入り”のEclipseで学ぶ統合開発環境の常識
株式会社ビーブレイクシステムズ
相原 淳、上川 伸彦
2009/9/16
企業向けアプリケーションのさまざまな“常識”をJavaのオープンソース・フレームワーク群である「JBoss」から学んでいきましょう。企業システムを構築するうえでの基礎となる知識をリファレンス感覚で説明していきます。初心者から中堅、ベテランまで大歓迎!
連載第1回の「企業向けアプリの常識を学び、JBossの環境構築」では、企業向けアプリケーションに必要な要素としてフレームワークやアプリケーションサーバ、そしてその一例として、JBossプロジェクトの概要を説明しました。
今回は、企業向けアプリケーションを構築する際に必要な要素として「統合開発環境」を説明し、実際にサンプルアプリケーションを作成します。企業向けアプリケーションの構築における、統合開発環境の機能やその重要性を学んでいきたいと思います。
もはや実案件開発では“常識”の「統合開発環境」とは
例えば、Javaのプログラムを作成するには、どのように、何をしていけばよいのでしょうか? 読者の皆さんなら、ご存じだと思いますが、実際に必要な作業工程は、以下のようになります。
- テキストエディタで、Javaプログラムのコードを記述
- 作成したJavaプログラムをコンパイル
- コンパイルが完了したプログラム(バイナリファイル)を実行
- プログラムが期待通りの動作であることを確認
このような工程を繰り返すことによって、プログラムは完成していきます。ですが、これらの作業を何のツールもなしに行っていたのでは非常に時間がかかり、効率が良くありません。大規模な企業アプリを開発していくうえでは、生産性や品質が問われます。上記の手順で作業を行っていたのでは、とても要件を満たせません。では、どうすればよいのでしょうか。そこで登場するのが、統合開発環境の存在です。
統合開発環境(以下、IDE(Integrated Development Environment))とは、テキストエディタ、コンパイラ、デバッガなどを1つにまとめたソフトウェアの開発環境のことです。導入すれば、上記の作業工程を、すべてIDE上で行うことができます。そのため、今日の企業アプリケーション開発において必須といえる存在になっています。
■ イロイロあります。JavaのIDE
では、JavaのIDEには、どのようなものがあるのでしょうか。以下に、各ベンダが提供している主なIDEをいくつか挙げてみます。
- Eclipse:Eclipse Foundation
- NetBeans:netbeans.org
- JBuilder:エンバカデロ・テクノロジーズ
- JDeveloper:オラクル
- IntelliJ IDEA:JetBrains
これらのIDEには、無償のものと有償のものがあり、それぞれに特徴があります。今日の企業アプリケーションを開発するうえで、IDEは、非常に重要な役割を果たしています。
■ 実開発におけるIDEの有効性
では、IDEの有効性とは、一体どのようなものでしょうか。具体的なものとして、以下の有効性が挙げられます。
- プログラミングのスピードの向上
- プログラミングのバグの軽減
- ソースコードのリポジトリ連携
これらの有効性により、アプリケーション開発の生産性が向上し、開発の時間短縮につながります。結果としてプロジェクトのコスト削減にもつながるのです。
■ Eclipseとは、NetBeansとは
IDEの重要性が見えてきたところで、その例として、Eclipse Foundationが提供しているEclipseとNetBeans.orgが提供しているNetBeansに焦点を当てて説明します。
まずEclipseとは、米アイ・ビー・エムによって開発されたIDEで、無償で提供されています。多彩な機能が充実していて、非常に人気があります。現在では、運営者が米アイ・ビー・エムから非営利組織であるEclipse Foundationに変わって、提供されています。
![]() |
| 図1 Eclipse(後述するJBoss Toolsを組み込んだもの)の画面サンプル |
次にNetBeansとは、米サン・マイクロシステムズによって運営されているオープンソースのIDEです。もともとは、チェコのNetBeans Ceska republikaで開発されていましたが、米サン・マイクロシステムズが買収して現在に至っています。
![]() |
| 図2 NetBeansの画面サンプル |
EclipseとNetBeansは、今日のアプリケーション開発で日常的に使用されています。では、EclipseとNetBeansには、どのような違いがあるのでしょうか。
Eclipseは、開発に必要なツール群をプラグインとして提供しています。このプラグインがEclipseのメインともいえる機能です。プラグインは、数多くのものが存在し、開発者は必要となる機能のプラグインを各自で取り入れることで開発環境を構築していきます。
一方のNetBeansでは、インストール時に一通りの開発環境がそろっており、アプリケーションサーバも同梱されています。Eclipseとは違いプラグインの導入の必要はないため簡単に環境構築できることが魅力的です。
| 表 EclipseとNetBeansの違い | ||||||||||||
|
今回の連載では、Eclipseをメインに開発環境を構築していきたいと思います。NetBeansに興味のある方は、NetBeans.orgより自身の環境にインストールして各機能を参照してください。また、NetBeansについては下記記事が参考になると思います。
“全部入り”=オールインワンのIDEとは
では、Eclipseを導入するに当たって、それ以外のソフトウェアは、一体何をインストールすればよいのでしょうか。各プラグインを個別にインストールしていく方法もありますが、それ以外の方法としてオールインワンのIDEというものがあります。この「オールインワン」(All in One)とは、開発環境に必要なツール群を1つにまとめたものを指します。
具体的な例を挙げると、前述のEclipseには、All-In-One Projectが提供している「All-In-One-Eclipse」があります。これは、開発時に必要なプラグイン群が内包されているEclipseのインストーラです。Eclipseでの開発時に必要なプラグインがすでにそろった状態でインストールできるので、簡単に環境構築でき、時間短縮や間違いの防止につながります。
All-In-One-Eclipseでは、Eclipseとそのプラグイン群が対象でしたが、実際の開発案件では、前回説明したとおり、アプリケーションサーバやフレームワークなどが必要になります。例えば、実際にJBossを用いてサンプルアプリケーションを作成するには、JDK、Eclipse、JBoss Tools、JBoss Seamをインストールする必要があります。
JDKは個別にインストールする必要がありますが、それ以外を一括してインストールするには、日本JBossユーザーグループ(Japan JBUGプロジェクト)が提供しているJBoss Toolsのオールインワンインストーラである「JBossTools-installer」を使用することで簡単に環境構築ができます。
今回は、この「JBossTools-installer」を使用して開発環境を構築していきます。早速、開発環境の構築といきたいところですが、その前に、この「JBossTools-installer」に同梱されている「JBoss Tools」「JBoss Seam」に注目したいと思います。JBossプロジェクトのツールであり本連載にとって重要な項目なので、次ページでは、まずJBoss ToolsとJBoss Seamについて説明します。
| Index | ||||||||||
|
||||||||||
企業システムの常識をJBossで身につける バックナンバー 連載インデックスへ»
- 第1回 企業向けアプリの常識を学び、JBossの環境構築
- 第2回 “全部入り”のEclipseで学ぶ統合開発環境の常識
- 第3回 DI(依存性の注入)×AOP(アスペクト指向)の常識
- 第4回 企業でも情報整理で利用が進む「ポータル」の常識
- 第5回 非同期処理と疎結合ができる「メッセージング」の常識
- 第6回 いまさら聞けない「Webサービス」の常識
- 第7回 クラウドで再注目の「分散コンピューティング」の常識
- 第8回 悲観もあれば楽観もある「トランザクション」の常識
- 第9回 社内システムのセキュリティとアクセス制御の常識
- 第10回 内部統制に効く! ID管理・シングルサインオンの常識
- 第11回 「全体を見る」ためのビジネスプロセス・BPMの常識
- 最終回 急速なビジネスの変化に対応できる「BRMS」の常識
| Java Solution全記事一覧 |
TechTargetジャパン
- EclipseでScalaプログラミングを始めるための基礎 (2012/2/10)
概要や5つの特徴を紹介し、開発環境を構築して対話型実行環境「REPL」やEclipse上でHello Worldを実行します - 並列分散処理の常識をHadoopファミリから学ぶ (2012/2/8)
並列分散処理の課題やHadoopの長所/短所、そして短所を補うHadoop関連プロジェクトの構成や概要などを簡単に紹介 - WebLogicサーバ最新版「12c」の気になる4つの特徴 (2012/1/31)
久々にメジャーアップグレードしたJavaアプリケーションサーバについて、製品担当者に軽量インストーラなどの特徴を聞いた - GitHubをもっとソーシャルに使いこなすための7つ道具 (2012/1/23)
ソースコードホスティングのGitHub周辺で便利な新サービスが続々登場しているので、まとめて紹介しよう。特に連動クラウド「fluxflex」が注目だ
|
|
キャリアアップ
スポンサーからのお知らせ
- - PR -
イベントカレンダー
- - PR -




