Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9

SLES 9のそのほかの特徴

サーバ用途に合わせたパッケージング

ソフトウェア
バージョン
カーネル 2.6.5
glibc 2.3.3
GCC 3.3.3
Apache 2.0.49
Samba 3.0.4
XFree86 4.3.99
KDE 3.2.1
GNOME 2.4.1
JBoss 3.2.2
heartbeat 1.2.2
表2 主要ソフトウェアの
バージョン

 SLES 9には、エンタープライズ用途に合わせたソフトウェアが収録されている。その1つがオープンソースのアプリケーションサーバ「JBoss」(製品紹介:JBoss 3)である。JBossの使用にはJava Runtimeが必要だが、SLES 9にはIBM、BEA、Sunの3種類から選択できる。

 また、HAクラスタ用にheartbeat(DB2マイスター養成講座 第5回)が収録されており、YaSTを使って2ノードのアクティブ−スタンバイ構成のクラスタを簡単に設定できる。ほかにも、Linux上で仮想的なLinuxを動かすことができるUML(User Mode Linux)(仮想OS「User Mode Linux」活用法)を収録するなど、パッケージングにおいてもSUSE LINUXの意気込みが感じられる。

 なお、JBossやheartbeatなどは追加インストールする必要がある。ただし、YaSTを使用すれば、指定されたインストールディスクをドライブにセットするだけであり、依存関係も自動で解決してインストールしてくれる。こうした作業はそれほどの手間を必要としない。

SUSE LINUXのディレクトリ構造

 Pro 9.1のプロダクトレビューでも触れられているように、SUSE LINUXはRed Hat Linuxとディレクトリ構造が若干異なる。これは、SUSE LINUXとRed Hat Linuxそれぞれが採用しているFHS(File System Hierarchy Standard)のバージョンの違いによるものだ。SUSE LINUXは、はいち早くFHS 2.3に対応している。

 FHS 2.3で新しく設けられた主なディレクトリは以下のとおり。

  /media リムーバブルメディアのマウントポイントとして利用
  /srv wwwやftpなど、サーバが提供するサービスのためのデータディレクトリ
  /lib64 64bitライブラリを格納(32bit環境では存在しない)

 USBストレージやCD、DVDメディアは/media下にマウントされるため、いままで/mnt/cdromなどを使用していた場合は多少の違和感がある。また、/var/wwwに置いていたApacheのドキュメントデータやCGIファイルも/srv/wwwへ収めることになる。

 初めはこうした差異に多少戸惑うが、今後ほかのディストリビューションでもFHS 2.3が採用されていくと予想される。

前評判どおりの完成度

 以上、簡単にSLES 9の特徴を紹介してきた。前評判どおり、強力なエンタープライズOSとなっている。

 ただし、死角がないわけではない。SLES 9には、Pro 9.1と同様に膨大な量のドキュメントがPDFで付属しているが、オンライン情報となると、やはり日本語のものは少ない。一方、TurbolinuxやMIRACLE LINUX、Red Hat Linuxは日本語によるサポートサイトが充実しており、ユーザーサイトも無数に見つかる。日本市場においては後発となるだけに、この辺りをどうばん回していくかがSUSE LINUX普及のカギになるだろう。

3/3

Index
Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9
  Page 1
SLES 9の位置付けと開発体制
 SLES 9とPro 9.1の位置付け
 マルチプラットフォーム対応と品質維持管理システム
  Page 2
カーネル2.6がもたらすスケーラビリティと堅牢性
総合管理ツール「YaST」の魅力
 YOU(YaST Online Update)
  Page 3
SLES 9のそのほかの特徴
 サーバ用途に合わせたパッケージング
 SUSE LINUXのディレクトリ構造
前評判どおりの完成度

Linux Squareプロダクトレビュー


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