Linuxで動く便利ツール

Windowsアプリをそのまま実行
「Wine」


北浦 訓行
2008/11/20



さらなるフォント設定

 Windowsアプリケーションは、多くの場合Windowsに標準でインストールされるMSゴシックやMS明朝、MS UI Gothicなどを使用します。従って、たとえ[Wine設定]ダイアログボックスでフォントの指定を行っても、ボタンの文字などが文字化けするケースがあります。

 以下の画面は、バイナリエディタ「Stirling」の[検索]ダイアログボックスですが、ボタンの文字などが文字化けして判別できません。

画面6
画面6 Stirlingの[検索]ダイアログボックス

 Wineでは、このような事態を回避するために、フォントの代替機能があります。ここでは、Windowsのデフォルトフォントを「IPAモナーフォント」および「IPAフォント」に代替する設定を紹介します。

 IPAモナーフォントは、http://www.geocities.jp/ipa_mona/からダウンロードできます。ダウンロードしたら、以下の手順でフォントファイルをコピーします。

$ tar zxf opfc-ModuleHP-1.1.1_withIPAMonaFonts-1.0.8.tar.gz
$ mkdir ~/.fonts    ←作成済みの場合は実行しなくていい
$ cp opfc-ModuleHP-1.1.1_withIPAMonaFonts-1.0.8/fonts/*.ttf ~/.fonts

 IPAフォントは、http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/index.phpからダウンロードできます。

$ unzip IPAfont00203.zip
$ mkdir ~/.fonts    ←作成済みの場合は実行しなくていい
$ cp IPAfont00203/*.ttf ~/.fonts

 フォントの代替指定は、~/.wine/user.regに対して行います。ただし、代替指定はUnicodeの16進数で記述しなければなりません。テキストエディタで~/.wine/user.regを開いたら、末尾にいずれかの記述を追加します。

■IPAモナーフォントの場合

[Software\\Wine\\Fonts\\Replacements]
"MS Gothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS Mincho"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x660e\x671d"
"MS PGothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS PMincho"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x660e\x671d"
"MS UI Gothic"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc UI\x30b4\x30b7\x30c3\x30af" "\xff2d\xff33 \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \x660e\x671d"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc \x660e\x671d"
"\xff2d\xff33 \xff30\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \xff30\x660e\x671d"="IPA \x30e2\x30ca\x30fc P\x660e\x671d"

 IPAモナーフォントの場合、Stirlingの[検索]ダイアログボックスは以下のようになります。

画面7
画面7 Stirlingの[検索]ダイアログボックス(IPAモナーフォント)

■IPAフォントの場合

[Software\\Wine\\Fonts\\Replacements]
"MS Gothic"="IPA \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS Mincho"="IPA \x660e\x671d"
"MS PGothic"="IPA P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"MS PMincho"="IPA P\x660e\x671d"
"MS UI Gothic"="IPA UI\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA \x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \x660e\x671d"="IPA \x660e\x671d"
"\xff2d\xff33 \xff30\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"="IPA P\x30b4\x30b7\x30c3\x30af"
"\xff2d\xff33 \xff30\x660e\x671d"="IPA P\x660e\x671d"

 IPAフォントの場合、Stirlingの[検索]ダイアログボックスは以下のようになります。

画面8
画面8 Stirlingの[検索]ダイアログボックス(IPAフォント)

 これを見る限りは、IPAフォントの方がきちんと表示されるように思えます。しかし、アプリケーションによっては、IPAモナーフォントの方が整って表示される場合もあります。どちらを使用するかは、常用するアプリケーションによって決めてください。

まとめ

 WineではすべてのWindowsアプリケーションを実行できるわけではありません。まったく実行できないアプリケーションもありますし、比較的すんなりインストールできるものもあります。WineのWebサイト「AppDB」(http://appdb.winehq.org/)では、アプリケーションの動作実績やスクリーンショットなどが公開されているので参考にしてください。

Tips 関連するLinux Tips記事
これまで掲載された記事の中から、Wine関連のものを紹介します
LinuxでWindowsアプリケーションを動かすには
WineでインストールしたWindowsアプリをアンインストールするには

2/2
 

Index
Linuxで動く便利ツール
 Windowsアプリをそのまま実行「Wine」
  Page 1
概要
Wineのインストール
Wineの設定変更
Windowsアプリケーションのインストールと実行
  Page 2
さらなるフォント設定
まとめ

Linux Squareプロダクトレビュー


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